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異世界転生侍  作者: hiroteru
1/1

ラストサムライは異世界でも最強!?

日本のとある葬式会場に多くの人々が集まり、偉大なる男の最後を見送った。


「ラスト侍、九条くじょう 九朗くろう 葬式会場」

と大きく書かれた看板。


参列者は彼の家族、友人、彼の道場の門弟、著名人など様々。


九朗は古くは戦国時代から続く剣術道場の師範であり、その腕前から多くのドラマや映画、

果ては彼の動きをアニメにも参考に使用されるほど剣術の才能があった。


しかし最愛の妻がなくなり80歳になるまで日夜剣術の鍛錬をしてきた彼であるが、

歳には勝てず、心臓発作を起こし稽古中に死んでしまった。


九朗は死ぬまじかで思い出していた、自分の剣術をきれいだとほめて

芸能界に押してくれた最愛の妻の顔を。


彼女の作る料理の味、何気ない話、旅行に行った時のこと、いつも気苦労をかけ

それでも優しく微笑んでくれた彼女のことを。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


荒れた空模様、激しく打ち付ける雨の中一人のボロを着た女性が一抱えほどの木の籠を

大事そうに抱えながらみすぼらしい建物の間を必死に走る。


木の籠に入れられた赤子は自分の頬に落ちる雫に気づき目を開けうなる。


「う~う~」


赤子に落ちたのは雨なのであろうか、それともボロを着た女性の頬を伝う涙なのか。


「ごめんね。ごめんね。」


誰に向けた贖罪なのであろうか。


少しすると女性は一つの建物の前で止まる、それは教会のようだ。


女性は抱えていた赤子の入った籠を教会の前に置き背を向ける

女性は少し試案をしているのか赤子をちらりと振り向くが、意を決したのか

そのまま走り去ってしまう。


「どうか元気で生きて…」


消え入るような小さな声でそう彼女は言い残し、彼女の背中は消えて行ってしまう。


それまで泣かなかった赤子は彼女がいなくなったからか泣き出してしまう。


「なんだい!?こんな遅くに!」


教会の扉が開き一人のふくよかな女性が表れる、教会前には赤子が入った籠。


教会から出てきた女性は籠を除き赤子を確認すると優しく抱きかかえた。


赤子は泣き止みボロを着た女性の消えていった方角をじっと見ていた。




・・・・・・・それから5年後・・・・・・・・・・


ここは騎士王国家「ロードメア」



「九十八!・・・九十九!・・・・百!!」


その国でも下級層の人間たちが住む貧民街スラム、そこには国が運営している協会があり、

金銭問題で子供が育てられず捨てられた子供を保護する孤児施設でもある。


その教会の裏庭で手製の木刀を振る少年が一人、上半身裸になり汗を大量にかき

5歳と子供ながら鍛えられた身体、手には何百、何千と木刀を振り続けたのであろう皮膚の

厚くなった手、黒髪、黒目の日本人らしい特徴の少年が稽古にいそしんでいた。


「フェル!フェル!ここにいたのかい!」


少年をフェルと呼ぶふくよかな身体のシスター衣装の女性が声と息を上げ少年に声をかける。


「シスターマルチス、なんの用です?」


「フェル!ってあんたまたはしたない恰好をさっさと服を着な!」


上半身裸の少年を見た女性は赤面し目を手で覆う、5歳児の裸など特に色気や下品さなどは感じないが

女性は興奮するように赤面しちらちらと指の間から少年を見ていた。


「ふぅ・・・って今日は半年に一度の面談だろ!あんたがいかないでどうする!」


平静を取り戻した女性は話始める。


この孤児院は身寄りのない子供を育て、養子として必要としている人物へ譲るように

半年に一度子供との顔見せを兼ねて譲る相手側との面談が行われる。


「シスターマルチス、前々から言っていますが俺の名前は九条九朗だ、

それに面談は断ったはずです!」


そうこの少年は前世日本で生まれ、剣術を習得しその腕前から芸能界にまでその名を知らしめた

九条九朗なのである、しかしなんの因果か全く知らない場所で前世の記憶を持ったまま転生して

しまった。


「何を言ってるんだい!あんたの入っていた籠にフェルって書いてあったんだよ!きっとあんたを

生んだ親がつけてくれた名前だろうに!」


「俺を捨てた親だろうが!それに俺がいなくなったらこの教会はどうするんだよ!」


「あんたまだそれを・・・」


ここは貧しい者たちが暮らす貧民街、当然金や食料などでトラブルなど日常茶飯事である。


シスターマルチスもこの教会へ送られる前提で、ある程度の戦闘能力の訓練は行っているが

子供を守りながらではまともに戦うこともできない。


九朗は3歳のころに孤児を襲った暴漢一人を撃退するほど戦闘力があった。


それから彼は教会と孤児たちの護衛を行うようになったのだ。


「それに他の孤児たちの飯はどうするんだ!ある程度料理を覚えたみたいだが、俺がいなくなった後で

またあのまずい飯に戻す気か!?」


九朗が台所に立つようになったのも3歳であった、孤児の食事は基本薄味のスープと硬いパン、

たまにサラダや肉が出る程度であった。


九朗は前世に最愛の妻が教えてくれたレシピを思い出し自分で仕入れた食材を使用し料理を孤児と

シスターにふるまった、この国ではある程度の調味料は安価に仕入れることができる。


野菜や肉、魚などは下層の店を手伝って給料として手に入れている。


「わかったわ、相手側には私が行っておくわ、それと夜は全員食卓に集まるように言っておいて、

あと料理は少し豪勢にお願い」


「え?何かあるんですか?」


「あとから教えるわ、じゃあお願いね」


説得をあきらめ肩を落とし教会内へ戻っていく。


それと入れ替わりで一人の少女が九朗に近づいていく、身長は九朗と同じくらいで深紅の長い髪を

左右にまとめツインテールにしている。


「ルーン?どうした?」


「クロウ!今日は買い物に付き合ってくれる約束でしょ!」


「もうそんな時間か!?すまんすぐ支度する!」


その後汗を井戸の水で洗い流し着替えを済ませた九朗はルーンと一緒に買い出しに向かう。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


九朗とルーンは教会を出て下層でも食料を売っている店へ向かう。


周りはボロ小屋のような家が並んでいる、家の壁や窓はヒビや穴が開き風は入り放題。


年老いた老人などは何をするでもなく布をかぶりどこか遠くを見ながら座っている。


家の陰には怪しい笑みを浮かべた人相の悪い男が立ち周りに目を配っていた。


九朗はそんなものなど気に留めず、上機嫌のルーンの話も聞き流し少し上を見ていた。


九朗には人には見えないものが見えていたそれは、、、


-----------------------------------------------------------

¦【ステータス】 ¦

¦名前:九条九朗 別称:フェル                ¦

¦年齢:5     種族:人間                 ¦

¦性別:男    職業:元侍   レベル:5         ¦

¦                             ¦

¦M P:300                         ¦

¦STR:15 ¦

¦VIT:15 ¦

¦INT:32 ¦

¦AGI:18 ¦

¦DEX:32 ¦

¦ ¦

¦スキル:転生者 前世の記憶 鉄腕料理人 天才 気配察知 ¦

¦ 思考錯誤 ¦

-----------------------------------------------------------


かすかに透けるプレートが宙に浮き、ステータスと呼ばれる表示が九朗には見えていた。


教会のシスターにもこのステータスのことを訪ねたが全く知らないようだった。


今プレートには自身の能力が映し出されている、横のルーンに目をやると、


-----------------------------------------------------------

¦【ステータス】 ¦

¦名前:ルーン・アピス 年齢:5               ¦

¦種族:人間      性別:女               ¦

¦職業:なし      レベル:2              ¦

¦                             ¦

¦M P:50                          ¦

¦STR:05 ¦

¦VIT:03 ¦

¦INT:10 ¦

¦AGI:09 ¦

¦DEX:15 ¦

¦ ¦

¦スキル:料理人                 ¦

¦ ¦

-----------------------------------------------------------


ステータスプレートの内容が変わりルーンの能力が映し出される。


明らかに九朗の能力が高いかわかるが、周りにいる大人たちも見渡すが

レベルと呼ばれる戦闘経験値は一桁が大半である。


九朗の能力が高いのはスキルと呼ばれる才能のおかげである。


「ねぇ・・・クロウ聞いてるの!」


「お、すまんすまんちょっとボーっとしてた。」


「今日は新しいシスターが来るんだってシスターマルチスが行ってたんだよ!」


「ああ、なるほどそれで今日の料理は豪勢にしてくれって言ってたのか。」


店が見えてきた、周りのボロ家とは違い、しっかりとした作りの建物

両開きの門には鉄鎧を着た門番が二人立っており、看板には『大空羽ばたき停』と書かれている

こわもての顔の門番は九朗とルーンを見つけると声をかけてくる。


「お!なんだいデートの再かい?お二人さん?」


「そ!そんなんじゃ!」


「ダンテさん勤務中に私語は禁止なんでしょ?・・・また店長に叱られますよ?」


ダンテと言われた門番は茶化すように二人と仲良く話す。


この大空羽ばたき停はよく九朗が店を手伝い、店から商品を盗む輩を捕まえたり

品の陳列などを手伝っている。


資材や食料の調達などもこの店を利用している。


-----------------------------------------------------------

¦【ステータス】 ¦

¦名前:ダンテ・ケルビン 年齢:28             ¦

¦種族:人間       性別:男              ¦

¦職業:傭兵       レベル:8             ¦

¦                             ¦

¦M P:55                          ¦

¦STR:12 ¦

¦VIT:25 ¦

¦INT:12 ¦

¦AGI:20 ¦

¦DEX:08 ¦

¦ ¦

¦スキル:屈強                      ¦

¦ ¦

-----------------------------------------------------------


ダンテは店に雇われた傭兵である、専属の傭兵ではないが店の店長と仲が良く

よくこの仕事を受けている。


「今日は買い物に来たんですよ、なんでも今日は新しいシスターが俺らの教会に来るらしくて」


「お!そうなのか!じゃあ俺も後から祝いに行くわ!」


「ダンテさんはクロウの料理目当てでしょ!」


「あ、ばれた?」


店の手伝いで九朗は料理をふるまったこともあり店長や傭兵の間では人気になっている。


「別に来るのはいいですよ、今日の料理は豪勢にする予定なので。」


「お!それはご相伴にあずかるしかないな!」


「クロウ!こんなおっさん呼ぶことないわよ!」


「ルーンちゃんそれはひどいよ!」


店の前でにぎやかにしていると店の扉が勢いよく開き、大柄な男性が表れる

ダンテの顔よりこわもてで堀の深い顔、男性の髪は異様に伸び、

その割にはよく手が行き届いたキューティクルが光を反射しきらきらと輝いている。


「ダンテ!あんたまた油売ってるわね!!」


「キュレベル店長!これはお客さんの接客で!」


「ん!?ってあら~クロウちゃんじゃな~い!」


キュレベルと呼ばれた男はクロウに気づくと口調が変わる、顔と姿に似合わない

腰の砕けた物言い、彼がこの店の店長キュレベル・レーテである。


「今日は教会に新しいシスターが来るので歓迎の為に豪華な料理を用意する予定なんです。」


「それでその食材をお使いされたのね、いいわ中にお入り」


「じゃあお二人、あとから教会に行くから。」


「ちょっとダンテ!今日は食材の運送があるから、夜に護衛の依頼を入れてたじゃない!」


「キュレベルの旦那、今日はクロウが腕によりをかけて料理を作るんですぜ!これは食べに行くしか・・・」


「あらぁ?じゃあクロウちゃんの料理より私の一撃を味わっていく?」


店長キュレベルは力を入れた腕をダンテに見せつける、丸太とも思える腕には血筋浮き出て

これで殴られれば無事ではいられないだろう。


-----------------------------------------------------------

¦【ステータス】 ¦

¦名前:キュレベル・レーテ  年齢:42           ¦

¦種族:人間       性別:男?           ¦

¦職業:元冒険者       レベル:14           ¦

¦                             ¦

¦M P:80                          ¦

¦STR:32 ¦

¦VIT:43 ¦

¦INT:18 ¦

¦AGI:22 ¦

¦DEX:12 ¦

¦ ¦

¦スキル:乙女の心 剛腕 作法 屈強 接客        ¦

¦ ¦

-----------------------------------------------------------


「あははは・・・冗談ですよ店長、お二人さっきの話はなしで・・・・はぁ」


ダンテは観念して肩を落とす、キュレベル店長は店の中に入りルーンもそのあとに続く。

クロウはダンテに近づき耳打ちをする。


「作りすぎた料理は次の日に店に持っていくので」


クロウは小声でそれだけ告げて店に入っていく。


ダンテは小さくガッツポーズをして仕事に戻る。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


紙袋の中に両手いっぱいの食料を持ち教会へ戻るクロウとルーンの二人。


その帰りは安全ではなく、どこから飢えた下層の人間が襲い掛かってくるとも限らない。


しかしクロウがいればそれは変わる、今や下層でクロウの名前を知らないものはいない。


不意を打って襲ってきても九朗はスキル気配察知で自分の者の動きがわかる。


襲ってきた相手はもれなく返り討ちにされ、衛兵へ突き出され、豚箱送りにされる。


「早く戻って仕込みしないとね!クロウ今度は何作るの?」


「そうだな・・・今回は簡単にできて豪華にってことで・・・ハンバーグかな?」


「ハンバーグ?また知らない料理・・・でもクロウが作るってことはおいしいに決まってる!」


九郎の元居た世界の料理はこの世界にほとんどない、似たようなものは多いが、どれも

見た目ばかりを重視し、味は良くない。


たわいもない話をしていると目の前の家陰から何かが倒れてくる、

二人は近寄るとそれはボロ布を羽織った一人の男性であった。


衰弱しているのか呼吸が不規則になっている。


クロウは荷物を降ろし、手持ちの水袋から水を男性に飲ませる。


男性はよほどのどが渇いていたのか水をひったくると水袋の水を飲み切ってしまう。


「かー!!うまい!ありがとよ。」


「どういたしまして、おじさん、じゃ急いでるから。」


さっさとその場を離れようとするが、男性はクロウの手首をつかんで止める。


「まあまあ、そういわないで礼をさせてくれ!と言っても今は手持ちがない腹が膨れたら

恩返しするから、飯をくれ」


この辺ではこういった乞食は珍しくない。


「わかった、今日は新しいシスターが教会にきて豪勢な料理を振舞うんだ、おじさんも

食べていきなよ」


「お、これは助かる!」


「でも、冒険者だからって腰の刃物は外してね」


「!?」


男性は目を見開き驚きを隠せないようだ。


「すまないね、職業柄携帯しないと。」


「それは俺が預かるから。」


「おいおい、俺の相棒だぞ!そんなに簡単に預けられるかよ。」


「じゃあ飯はやれないから、さようなら。」


「冗談!冗談だから!ただおもちゃじゃねーんだ、大事に扱ってくれ!」


観念した男性は腰の短剣を九朗に渡す。


クロウとルーンの後に続いてくる男性、ルーンの傍に立ち、男性を不審な目で見る。


「ちょっと!なんで教会になんな小汚いおっさんを呼ぶのよ!いつもなら相手にしないでしょ!」


「まあそう言うな、困っていたらお互い様だろ?」


「何よそれ!もう!」


確かにいつものクロウなら相手にもしないが、それには理由があった。


教会に帰った二人は、男性を食卓に待たせ、料理に入る。


そして夕食の時間、十数人の孤児、場違いな男性、そしてシスター。


男性の件はシスターに話しており、大きな食卓には一人一つずつの料理


サラダやパンが配られている。


「じゃあ、料理を食べる前に皆に紹介しますこの教会に新しく生活するシスター」


シスターマルチスの紹介で部屋の角から一人の女性が出てくる。


金髪のふんわりとしたミディアムヘアー、整った形からどこかの貴族と間違えそうな見た目で

体系もふくよかなシスターマルチスとはくらべものにならないほど整っている。


「彼女がここで生活を共にするシスターベルリーネだよ、ほら自己紹介。」


「シスターベルリーネです教会本部から派遣されました、皆さんよろしく。」


-----------------------------------------------------------

¦【ステータス】 ¦

¦名前:ベルリーネ・ハッシュ 年齢:18           ¦

¦種族:人間       性別:女            ¦

¦職業:シスター       レベル:5           ¦

¦                             ¦

¦M P:80                          ¦

¦STR:08 ¦

¦VIT:06 ¦

¦INT:15 ¦

¦AGI:08 ¦

¦DEX:18 ¦

¦ ¦

¦スキル:祈り 禊 神の加護 箱入り           ¦

¦ ¦

-----------------------------------------------------------



礼儀正しくお辞儀をするシスターベルリーネ、いち早く拍手をしたのは招待された男性であった。


つられるように孤児たちも拍手をする。


そのあとクロウが作った料理を待ちきれなかったのか孤児たちが食べ始める。


孤児たちは初めて食べる料理を皿まで食べる勢いで口に放り込む、

シスター二人も料理の味に驚き、この場に招かれた男性もその料理の味に満足していた。


その後食事が終わり片づけを終えると孤児たちは寝室に向かい眠りにつく。


招かれた男性も開いた部屋を貸し出し就寝する。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


翌日、クロウは招いた男性と裏庭に来ていた。


「なんだ少年?俺に何の用なんだ?」


「おじさん冒険者なんでしょ?ちょっと稽古に付き合ってよ」


クロウは自作の木刀を男性に投げ渡す、男性は木刀をふしぎに眺めている。

この世界では片刃の剣は珍しい、刀のように細くわずかに湾曲した刀は存在しない。


「なんで俺なんだ?」


「冒険者なんでしょ?おじさん見かけによらず強そうだし。」


「じゃあ・・・行きます!!」


九朗は体制を低くして一歩を踏み出す、距離を一気に詰めて胴体目掛け横なぎに木刀を振る。


男性は的確に間合いを見切り木刀で受け止める、そのまま蹴りを九朗に向けて放つが、九朗は

身体をひねって蹴りを回避する。


回避後地面をけって距離をとる九朗、その後、数回男性と九朗の打ち合いが続く。


-----------------------------------------------------------

¦【ステータス】 ¦

¦名前:九条九朗 別称:フェル                ¦

¦年齢:5     種族:人間                 ¦

¦性別:男    職業:元侍   レベル:8         ¦

¦                             ¦

¦M P:400                         ¦

¦STR:20 ¦

¦VIT:20 ¦

¦INT:32 ¦

¦AGI:23 ¦

¦DEX:37 ¦

¦ ¦

¦スキル:転生者 前世の記憶 鉄腕料理人 天才 気配察知 ¦

¦ 思考錯誤 ¦

-----------------------------------------------------------


九朗と男性は疲れから息が上がっている。


男性と稽古をしているうちに九朗のステータスが上がった。


「いやー参った!参った!俺の腕も落ちたか?まさか子供相手に一撃も

当てることができなかったとは!」


「俺も驚いてるよ、これでもちょっとは自身があったけど、一撃も

当てられなかった、しかも叔父さんの攻撃をさばくので精一杯だった」


男性の服には汚れはなく切り株に腰を下ろし、九郎は体中に土汚れが付着し地面に寝転がっている。


「おっさんこれでも腕利きの冒険者だったのよ?自身なくなっちゃうな~」


「おっさん冗談きついよ?本気出せば・・・一撃で、倒せたでしょ?」


「!?」


九郎は疲弊しきった体を起こし鋭い目で男性を見つめる、その視線から放たれる眼力に

戸惑う男性。


(なんなんだ・・・この子供は、まるで俺を見透かすような・・・)


「そう言えば、おっさん名前は?」


・・・ズルッ・・・


さっきまでのシリアスな雰囲気をぶち壊す、気の抜けた質問に頬杖をしていた

男性はその場に転がりそうなくらいバランスを崩す。


「ああ・・・そういえば昨日会った時から名前、言ってなかったな、俺はファブロ、

ファブロ・マッカートニー」


(まあ、知ってるけどね)


ファブロと名乗る男性の少し上を見る九郎。



-----------------------------------------------------------

¦【ステータス】 ¦

¦名前:ファブロ・マッカートニー               ¦

¦年齢:37    種族:人間                  ¦

¦性別:男    職業:元冒険者・現工作員  レベル:20  ¦

¦                             ¦

¦M P:150                         ¦

¦STR:36 ¦

¦VIT:15 ¦

¦INT:22 ¦

¦AGI:23 ¦

¦DEX:40 ¦

¦ ¦

¦スキル:ポーカーフェイス 隠者  偽造 演技 工作    ¦

¦ ¦

-----------------------------------------------------------


ステータスボードに移るのは九郎より高いレベルにステータス、

そして工作員の文字。


九郎は初めて男を見た時、一緒にいたルーンを巻き込まないため、

荒事をせず、教会に招き、男の動向を観察、そして自身の力が

どのくらい通じるかを試した。


「・・・ああ、おっさん、急用思い出したからこれでおいたまするわ、

昨日の料理うまかったぜ」


ファブロは身支度を早々に整えると、手を振って教会から出ていく。


ファブロの去り際はあっさりしてものだったが、最後に九郎を見る目は

鋭く光っていた。


「あれ?昨日の男性は?」


そこへさっきの駆け引きを知らない入ってきたばかりの新米シスター

ベルリーネはあたりを見回しながら九郎に質問する。


「おっさん急用を思い出して、出てったよ、なにかおっさんに様だった?」


「あ、いやそうじゃないけど、元冒険者ならちょっと聞きたいことがあって」


「?」


「私の兄が冒険者だったんだけど・・・」


「だった?」


「兄は・・・3年前魔物の盗伐で行方不明になったの」


「それって、し「そんなはずない!!」」


ベルリーネの願うような叫びに九郎は驚く、昨日の様子からここまで

大きな声を出すとは思っていなかった。


「なるほど、おっさんにそのお兄さんを見てないか聞こうとしてたのか、

まあ、遅からずまたあのおっさんは来ると思うよ」


「え?どういう?」


「あ、俺昼飯の仕込みがあるから、じゃ!」


ここから九郎の物語は急激に動き始める、最初は小さな波紋だが、

周りの人物たちと触れ合い、波紋が大きくなっていく。


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