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クロメの過去



「そういえば、この本は何なんだろう」

「開けてみましょう!」


 私達はベンチに腰掛けて、カードパックを開けようとしたのだが、貰った本が気になり先にそちらを見てみることにした。本を開くと、最初のページに謎の番号が。


「……14? 何の番号だろう」

「私は16です。何の数字なのでしょうね?」


 私達はしばらくの間数字を眺めていたが、とりあえず次のページを見てみると、数字がたくさん並んでいた。



 一パック七枚入り


 SSR  1%

 SR  5%

 R   10%

 N   84%



 レアリティ、かぁ。私の運が試されるね。ちょっと楽しみ。


「これはよく分からないですね。次のページを見てみましょう」


 サクラちゃんは本のページを進める。私も自分の本のページをめくってみると、そこにはたくさんのイラストが。


「凄い! きらきら光ってますよこのカード」

「これは、SSRのカードみたいだね」


 輝くSSRのカードを見ていると、欲しくなってしまう。


 ページを少しめくると、少しだけキラキラしているイラストが。どうやらこちらがSRのカードのようだ。SRのカードも見ていると欲しくなってしまう。……でも、SSR欲しい。これ以上カードリストを見ていても仕方ないので、そろそろカードを開封しよう。


「それじゃ、パックを開けてみるね」

「私も行きますよ」


 中のカードが傷つかないように、ゆっくりとパックを開ける。




 ……私がまだ小学生だった頃、一度だけカードゲームの拡張パックを買ったことがある。親友と一緒に一つづつ買ったのだ。これで対戦が出来る! とハイテンションになっていた私たちは、近所に住む中学生のお姉さんのところまで足を運び拡張パックを自慢した。


「カード買ったんだ~ いいでしょ♪」

「スズメ姉も一緒にバトルしよ♪」


 スズメ姉は非常に人懐こい性格で、周りの人たちとすぐに打ち解ける性質を持っていた。近所の小学生ほとんどと交友関係を持つほどに。私達がなつくのも当然だった。


 ピンク色のおさげ髪に、猫耳のカチューシャ、そして低めの身長。可愛らしい格好は子供たちの心をつかみ、彼女にあこがれを抱くものも少なくなかった。もちろん私もその一人であった。なので、彼女と一緒にいる時間は私にとってとても大切なものだった。


「おっ、それはクリワルのカードなのです。デュフっ、クロメ殿たちと対戦が出来るなんて感激なのですよ。デュフフっ、真なるオタクである我相手に、どこまでたち迎えますかな?」


 私達よりも背の低いスズメ姉は、上目使いで私たちを見つめながらバトルの誘いに乗ってくれる。だが……


「どちらが我の相手をしてくれるのですかな?」


「ハーイ! 私がスズメ姉と先にバトルする~」


「クロメが先にバトルね。じゃあ私は二人を応援する~」



 スズメ姉は、身に着けていたポーチからデッキの束を取り出しシャッフルを始め、私に語りかける。


「シャッフルとは熱き決闘魂の証明なのです。さあ、クロメ殿も華麗なシャッフルを見せるのですよ」


「私はシャッフル必要ないんだ~」


「ど、どうしてなのですか?」


「私のデッキはこれだから♪」


 私は再び拡張パックを見せびらかす。しかし、スズメ姉はポカーンとした表情に。



「……それは、デッキとは言わないのです」


 


 彼女曰く、クリワルのデッキを作るには四十枚のカードが必要で、クリワルの拡張パックはカードが五枚入り。たくさん拡張パックを買わなければデッキが作れないのだ。手軽に対戦するためには、少々お高いスタンダートパックとやらを買う必要があるらしい。もちろん、私たちにそんなお金などなかった。



「……仕方がないので、私が買い取ってあげるのですよ。でも、パックを開ける楽しさは皆さんに味わってもらいたいのです。ここで、開封してみてください」


 毎月少しずつためておいたお小遣いで、ようやく手にした拡張パック。しかし、それだけでは対戦できないことを知った私達の目には涙が浮かんでいた。そんな私たちを慰めるようにスズメ姉は私たちの頭をなでる。


 拡張パックにつぎ込んだお金の何割を貰うことが出来るのか、それは出てきたカードによって決まると私は確信していた。願うはただ一つ。凄くレアなカード、来い。


 中のカードが傷つかないように、ゆっくりとパックを開ける。


 ……




 中から現れたのは、黄金に輝く美しいイラスト。


 スズメ姉の顔を見ると、すさまじい表情になっていた。



「それは、SSRのさらに上を行く、URカード! URカードの確率は0.01%しかないうえにこの第八弾のURは30種類もあるのです。しかもそのURカードはどんなデッキにも入れることのできる究極の汎用性のあるURカードなのです。通常ほとんどのURはインフレの犠牲になってしまった貧弱テーマのデッキを、第一線で活躍できるようにするためのものがほとんどであるのにもかかわらず、そのURはすべてのデッキを底上げする力を持っている凄いカードなんです。それだけでも十分凄いのにさらにそのカードはホログラム仕様になっているんです。ホログラムカードはカード一枚につき0.7%の確率で発生するものなのです。その希少性から、ホログラムカードのみでデッキを作るためには100万をつぎ込む必要があるとさえ言われています。私の親友にはホログラムのみで作られた最強テンプレデッキを作るために1000万をつぎこんだ人さえいます。とにかく本当にそのカードはすさまじいものなのですよ」


 すさまじい速さで言葉をつなげるスズメ姉。


「3万で買い取り……いえ、それじゃぁさすがにぼったくりですね。……100万出します。売ってくれませんか?」


「はい! 喜んで」













 あの時の興奮を再び味わいたい。……カードをパックから取り出す。すると……


 

 

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