目指すべき目標
昼食後、シノキの部屋にて
「シノキ、このあたりに木がたくさんある場所知らない?」
漆の樹液を採取するために、木の多い場所を聞く。
「私の家を出て右手の方を進んだところに、いろんな種類の木が生えている場所があるわ」
「右手の先だね。ありがとう。行ってみるよ」
いろんな種類の木か。私は漆の木の見た目を知らないから手当たり次第に樹液を採取する必要があるな……あ、大切なことを言うの忘れてた。
「シノキ、少しの間、一緒に住んでもいい?」
「食事は肉しか出ないけど、それでもいいならいいわよ」
「ありがとう。少しだけの間だけどよろしくね。」
よかった。これでしばらくは住むところに困らない。早く自立できるように頑張らなきゃ。
私はシノキから容器をいくつかもらって、木のたくさんある場所に向かった。
細長くて葉っぱの見えない木、根っこが地上に出てしまっている木、とにかく大きい木など本当に様々な木がある。
早速私は適当な木に傷をつけ、そこに容器を当てる。樹液を出すことに成功したが、うまく容器に入らない。多くの樹液が地面に流れていく。けれど何とか容器いっぱいまで樹液を入れることができた。
・粗悪な樹液 ランクG :木から取れた液体。木のかすが混じりこんでいて、品質が悪い。
樹液がうまく容器に入らないな。うまく入れる方法があるといいけれど。そう考えていると、突然誰かに話しかけられた。
「おおーう。珍しいアイテムでーす。ぜ~ひ私にくださいね」
オレンジ色の髪の毛の色を持ち、後ろ髪が長く前髪はぱっつん。背が高く、かっこいいコートを着ているけれど、顔は子供のような可愛さをしている。そんな女の子が話しかけてきた。
その女の子の隣には、可愛いオオカミが。テイマーか召喚士かもしれないな。分析してみよう。
ソフォン(テイマー) HP15/15
筋力:9
魔力:9
対話:10
知能:10
器用:5
機敏:15
装備:鉄の棒 (与ダメージ+3)
防寒コート(被ダメージ-3)
スキル
テイム LV1
モンスターをテイムできる。自分より強いモンスターをテイムできない。
センサー LV2
未所持アイテムの場所が何となく分かる。
幸運 LV4
アイテムの取得率が上がる。
私よりも能力が高い。テイマーと召喚士でこんなに初期能力に差があったんだ。テイマーにすればよかったかも。
あの子はこの樹液を欲しがっていたけれど、これに価値があるとは思えないな。
「これをあげてもいいけど、そんなに珍しいアイテムなの?これ。ランクGだし。」
「とってもレアでーす。このゲームをプレイしている人の中で、樹液を取ろうと考える人は多分わず~か。そして、おそらくこの世界の人たちも樹液のことを知らないと思いマース」
「そ、そうだったのか。そういえばランクって?」
「ランクGのアイテムはごみデース。使い道もあまりありまセーン。ランクFになると使い道が出てきまーす。ランクEとDがレアアイテムになりマーア。」
踊りながらアイテムのランクについて説明してくれるソフォン。そして、踊りをやめ忠告するかのようにランクC以上の説明を始めた。
「そして、ランクC,B,Aがやばーいアイテムになりマース」
ヤバいアイテムか。どんなだろう。
「です~が、ランクGのアイテムにこそ珍しいアイテムがあるのデース。需要がないからこそ供給がないのです。そういうアイテムがたくさんあるのが、ランクGなのデース」
ソフォンは両手をひろげてランクGの魅力を説明してくれる。
「私の目標はすべてのアイテムをゲット、入手することデース。ということで樹液をもらいマース。代わりにこれをあげマーア」
万能蛇口 ランクG
どんなものにもつけることのできる蛇口。ひねると液体が出る。
「ありがとう、ソフォン。これがあれば質のいい樹液が手に入るよ。あっ……ごめん。まだ名前聞いてないのに」
「気にしなくていいのデース、クロメさん。私が前いた国では結構そういう人がいましたし。」
ソフォンは前に違う国にいたのかな?
「前いた国って?」
「娯楽の国、ゴンドラ。アイテムはたくさんあるんデースけれーど、私にとっては最悪の国でシータ。ですのでこの国に逃げてきました」
「どんな国だったの?」
「私からは話したくないデース。それではおさらばデース」
どんな国なんだろうな?とりあえず樹液を回収していこう。
入手アイテム
・粗悪な樹液×1 ランクG
木から取れた液体。木のかすが混じりこんでいて、品質が悪い
・普通の樹液×3 ランクG
木から取れた液体。木のかすが少しあり、品質があまりよくない。
器用さが低いのか、木のかすを完全に無くすことができない。器用さをあげるか、収穫用のスキルを取得する必要があるね。
「ただいま!」
「おかえり、クロメ。会いたかったわ」
家に帰ると、シノキが笑みを浮かべながら迎えてくれた。
もう外も暗くなってしまったので、シノキを心配させてしまったのだろう。
「ごめんなさい。帰るのが遅くなっちゃって」
「気にしないで。それより容器を使って何をしていたの?」
「樹液を収穫していたんだよ」
漆職人を目指していることを、私はシノキに説明した。
「木に傷をつけると液体が出てきて、道具にそれを塗ると芸術品になるということね。それでクロメはその職人を目指しているということしら」
「うん。この村に何かの職人は居る?」
「この村には居ないけど、ここから遠く離れた場所に職人の国があるの。そこに職人がいっぱいいるわ。」
職人の国か。そこで技術を取得して、すごい作品を作ろう。そして、私の作品が認められれば伝説の職人に近づけるかも。
「私、そこに行ってみたい。その国は、どこにあるの?」
「ここからずっと西に向かって行けばたどり着けるわ。けど行くのはやめたほうがいいんじゃないかしら。」
シノキは難しい顔をしながら職人の町に行かないことを進めてくる。どういうことだろう。
「どうして行かないほうがいいの?」
「ろくでもない国だからよ。職人の町、アクエリア。そこで多くの職人たちが技術を磨いているわ。芸術作品が高く売れ、職人たちは豊かな生活を送っているの」
よさそうな国だと思うけど。
「けれど、職人以外の人たちにとっては最悪な国なの。優れた職人以外には人権が存在しないと考えたほうがいいわ。ひどい扱いを受けているの。」
そんな裏があったなんて。けど、伝説の漆職人になるためには避けては通れないな。
「それでも私はアクエリアに行くよ」
「そう。けれど問題はそれだけじゃないの。アクエリアに行くまでには4つの国を通る必要があって、どこも恐ろしい場所なの」
恐ろしい場所? 一体どんなところなんだろう。
「最初の国は娯楽の町、ゴンドラ。様々な娯楽の存在する国。この村から一時間ほど西に移動すればたどり着けるわ」
ソフォンが最初にいた国だ。彼女にとって最悪の国らしいけど、どこが最悪なんだろう。
「この国は法律がうまく機能していないみたいで、盗みが多発しているの。道具だけでなくスキルまで盗まれることがあるみたいだわ」
盗みかぁ。ソフォンが嫌がるわけだ。私も盗まれないように頑張らないと。
「でも盗み以上のことをしてこない分ほかの国よりだいぶましな国だわ。暴力的な人はほとんどいないらしいし」
よかった。暴力とかは発生しないんだ。
「次の国は戦いの国、プロテン。国民のほとんどが知能5を下回っていて、とても暴力的。お金や道具を暴力で盗んだり、人をサンドバックのように殴りまくるような人たちがたくさんいるの。」
やばそうな国だね。行きたくないな。
「3つ目の国はお菓子の国、マシュロン。かわいらしい子供が多い国なの。お菓子の家に、可愛い子供が住んでいるわ。ただし、お菓子の家の材料は人間なの。人間をお菓子にして家を作る、マシュロンではよくある光景らしいわ」
恐ろしい場所だね。
「そして四つ目の国、名前はわからないわ。とにかく危険な国なの」
危険な国か。不安になってくるよ。
どの国も簡単には行かなそうだな。でも、乗りこえて見せる。
本日の作業により、クロメの能力上昇
最大HP7→8 1up
対話 3→4 1up
器用 6→7 1up
知能 3→5 2up
クロメ(召喚士) HP8/8
筋力:3
魔力:4
対話:4
知能:5
器用:7
機敏:3
装備:アイスソード(与ダメージ+5 氷属性攻撃 命中率+30%)
暖かいコート(被ダメージ-3 氷耐性30%)
スキル
召喚術LV1
モンスターを召喚できる。レベルが低いのでモンスターと一緒に居れる時間が短い。また、モンスターを召喚するためにはある道具が必要。
持ち物
初期装備 ランクG
木の弓 ランクG
粗悪な樹液×1 ランクG
木から取れた液体。木のかすが混じりこんでいて品質が悪い。
普通の樹液×3 ランクG
木から取れた液体。木のかすが少しあり、品質があまりよくない。
万能蛇口 ランクG
どんなものにもつけることのできる蛇口。ひねると液体が出る。