プロローグ
「やっと着いたぁ…」
深い山奥で少女が長いため息をついている。
少し幼さの残る顔立ちで、群青色の髪を後ろで結んでいる。
山を登り始めて小1時間、ようやく着いた。目的の場所に。
目の前には大きな鳥居がある。かなり古くさい。ふと見ると鳥居の横に女性が立っている。
(あの人に聞けばいいかな…)
とりあえずその女性に聞いてみた。
「すみませーん。この鳥居通りたいんですが…。あの、切符ってどこで買えますか?」
「こちらで買えますよ。私、券売機ですので。どちらへ参りますか?」
(自分が券売機って、なに言ってんだろこの人…)
「えーっと、第一世界までお願いします。」
「分かりました。金貨20枚になります。」
(た、高い…。)
念のため、金をあるったけ持って来といてよかったと胸を撫で下ろし、少女は小さな肩掛けバッグから金貨を取り出す。
「はい、これで…」
「金貨20枚丁度お預かり致します。只今、券を生成しています。少々お待ちください。」
(緊張するなぁ…。あの村出たの初めてだからなぁ…。)
後ろを見ても、もう自分が育った村は見えない。ここへの一本道と木々で視界が埋め尽くされる。
「発券完了です。ご利用有り難うございました。」
「あ、ありが……え…?」
背後で声がしたので後ろを振り向くと、女性が券を口で咥えていた。衝撃の光景である。
(この人、機械か!誰だこんな趣味の悪い券売機造った奴!)
「あ、有り難うございます…。これで通れるんですよね?」
「通れますよ。切符を手で握ってこの鳥居をくぐるだけです。」
その女性、もとい券売機が切符を取るとまたしゃべりだした。
少女は言われた通り、切符を握り恐る恐る歩を進める。鳥居の下を通った瞬間、激しい光が目の前を覆った。
光が収まり目を開くとそこには━━
━━異世界が広がっていた。
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「……?………へ??」
今、少女の脳内のほぼ100%が「?」で占めている。
初めての場所に初めての景色。
そんな時、頭の中では色んなものが駆け巡るものだ。目新しいものへの感動だったり好奇心だったり…。
しかし今、少女にそういった感情はない。あるのは、今見える景色への疑問だけ。
(私はこの景色を知っている)
それもそのはず、目の前の景色はついさっきまで見ていた故郷の景色と全く同じだったのである。




