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テスト結果と転校生

テスト休み明けの朝、学校に通うとなぜかクラスがざわついていた。


学年トップ 眼鏡間 悟

2位 鶯谷 ラムネ

3位 森長 モナカ


俺は眼鏡間 悟に負けた。


教室に入った俺を見つけ眼鏡間 悟が俺に歩み寄ってくる。


「良い勝負だった。

僕も君に触発されて自己最高得点だ。

ありがとう。」


「ああ、学年トップおめでとう。

うちのクラスでトップ3独占出来て嬉しいよ。」


俺達はテスト2週間前と同じ様に握手を交わした。


当たり前の事だが、ずっと勉強を続けてきた眼鏡間さとるに俺が2週間勉強したくらいで勝てるわけがないのだ。


それでも眼鏡間 悟は俺を認めてくれたし、俺も全力を尽して負けてもすっきりしていた。


クラスの女子も俺の席に集まりだした。


「ラムネ君マジですごいね。」

「ラムネ君がまさか本当にこんな良い成績取るなんて思わなかったよ。」

「ラムネ君見直したよ。」

「ラムネ最近カッコイイじゃん。今度遊びに行こうよ。」


一位は眼鏡間 悟なのに、普段とは違うギャップで俺が女子達にチヤホヤされた。


さっきまでライバルとして友情の握手を交わしていた眼鏡間 悟は無言で自分の席に戻りいつのまにか自習をはじめていた。


昼休みなぜだかいつもと違ってモナカが俺の席に来なかった。


俺はモナカに話しかける。

「モナカ弁当食おうぜ。」

モナカは無言で俺の隣に座りお弁当を食べだした。


「モナカ勉強教えてくれてありがとな。」

「モナカも学年3位だったんだよな。」

「俺達のクラストップ独占で凄くね?」


モナカは気のない返事ばかりだった。


「おい、なんで気のない返事ばかりなんだよ。何処か体調でも悪いのか?」


「だって…、ラムネはこの前抱きついてきたのに忘れてるし、クラスの女子にチヤホヤされて浮かれてるし、大体ラムネに勉強教えたの私なのに私3位だし…。」


やばい!そうだった。


チョコとの事がインパクトあり過ぎて忘れていたが、あの日俺はご飯を作りに来てくれたモナカに抱きついたのだった。


俺は土曜は組織で訓練という名のバイトに勤しみ、日曜日はモナカを誘ってバイト代で勉強のお礼と言いながら奢り歩いた。


カラオケやボーリング、映画にカフェ巡り、卓球場やビリヤード・ダーツ、遊園地など思いつく限りの場所へ連れて行った。


洋服もプレゼントしようかとしたが、それは悪いとモナカが遠慮してきた。


それに何だかんだ言ってモナカはお弁当を作ってきてくれたり、俺に奢られるだけじゃなかった。


不良注意事件やテスト2位の騒ぎもあっという間に過ぎ去り、クラスの女子によるチヤホヤタイムも終わりだんだんとモナカとの関係も修復されてきた。


そんなある日の朝のホームルーム。

俺とモナカの仲はある悪魔によってあっさりと壊された。


「えー、突然ですが、転校生を紹介します。」


突然の教師の発言にクラスが騒つく中、一人の女の子が教室に入ってきた。


不二家(ふじや) ちよこと申します。

我が家では代々剣術道場を営んでおりますが、世間勉強も必要だと新しい師匠に諭され通信制の学校から転校してきました。

よろしくお願い申し上げます。」


女子の転校生に男子生徒が色めき立ち、剣術道場という珍しさに女子達も騒ぎだした。


俺はそんなクラスメート達とは全く違う事を考えていた。


チョコの奴コードネームとか言ってたけど、本名ちよこなのかよ。

文字通りちょこっともじっただけじゃないか。


「えっと、不二家さんの席は…、」


「先生、ちょうど知り合いが居ますので彼の隣でいいでしょうか?」


俺は凄く嫌な予感がした。

こんな時に限って俺の右肩は熱くならず助けてくれない。


チョコがクラスのみんなの注目を集めながらまっすぐこっちに向かって歩いてくる。


「よろしくお願い致します、ご主人様。」

やりやがったなチョコのやろう!


せっかく仲が戻って来ていたモナカの視線が冷たい。


俺は最後の望みをかけて答える。

我修院(ごしゅういん) 宗馬(そうま)そんな名前の人知らない。」


「どうしたのですラムネ様、何か私がご機嫌を悪くする様な事をしてしまいましたか?

申し訳ございません。」


クラスのみんなが俺達に注目し、男子は怨みの視線を俺に向け、女子は興味深々な顔をしている。


それにもはやモナカはこっちを見ていない。


俺は確信する終わった。


お昼休み俺は屋上でチョコとモナカとお弁当を食べていた。


チョコは本当に一般的な常識がなく、ほって置くと何を喋ってしまうかわからないのだ。


モナカはそんな俺とチョコを見て黙って俺達の間に入ってくる。


朝からそんな事が続きこんなお弁当タイムになった。

俺は正直言ってお弁当の味が感じられない。


「それではモナカさんはご主人様の幼馴染なのですね?

奥方様とお呼びした方がよろしかったでしょうか?」


「そんな、奥様なんて…。」


もう駄目だ早く何とかしないと。


「確かに俺はバイト先でチョコの指導者だがここは学校だ。

ここでは俺も学生で先生ではない。

だから俺の事はラムネと呼んで、モナカの事はモナカと呼んでくれないか。」


俺はしれっとバイト先とか軽い単語に入れ替えて話す。


「しかし、ご主人様は私の師匠でご主人様です。」


「物事をもっと多角的に見るんだ。

学校では共に学ぶ学生の仲間だ。

ご主人様などと呼ばれたら俺が学びにくくなるだろ?ラムネと呼んでくれ。」


「わかりました。

学校で他の人が居る場合はラムネ、二人っきりの時はご主人様とお呼びします。」


「へーっ。二人っきりの時はご主人様ねぇ。」

モナカが噛み付いてくる。


「しっ、しっ指導中は師匠な。」

「はい。」


俺はチョコでは無く、モナカに師匠であると強調したのだった。


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