もう一つの三人組
カカオとフレークは都庁のとある会議室に来ていた。
同業者で溢れる会議室には緊張感が漂っていた。
場所がらを考えてみんなスーツを着ているが、一見しただけでわかる程みんなただ者ではなかった。
「中二病ヤンキーおじさんがスーツなんか着てんじゃねえよ。」
滅多に見られないカカオのスーツ姿を見て、一人の女性がからかいながらカカオに話しかける。
「うるせえよ玲子、これも仕事だ仕事。
それよか、お前も何か嗅ぎつけてるんだろ?
話せよ。」
「お生憎様、貴方達と同じくらいの情報しかないわ。
今はっきり言えるのはヤバイってだけね。」
玲子と呼ばれたその美しい女性はそれだけ言って席に座った。
一方でフレークはフレークで情報を集めをしていた。
フレークは例の島のm-9の銃のおじさんや会場中の美女と話しをしていた。
やがて会話を終えてフレークがカカオの隣に座った。
「どうだった?」
カカオはフレークに確認する。
「やばいとしか言えないな。
都の連中がどう出るか読めない。」
フレークの表情は冴えなかった。
やがて予定より遅れて都の職員が会議室に入ってきた。
場が緊張に包まれる中、今回の作戦が告げられる。
任務内容はダム周辺の心霊スポットの除霊。
ダムを作った時の色々な事件・事故や心霊スポットとなった後の自殺者や事件などにより発生した悪霊の退治だ。
ただ今回は例年とは違う点があった。
不景気の絶頂期だった頃の霊の熟成と気候の変化によってダム周辺の霊も過去最高に活性化していた。
都は区内で起きたあらゆる悪霊になりそうな霊をきちんと除霊せずに区外に送り出していた。
都の目論見通り何体かは自然に囲まれた中で成仏したが、大多数の霊が悪霊化していたのだ。
さらに今回の作戦には同業者達の意見が真っ二つに割れた。
その作戦とは都と他県の境で大規模な霊的爆発を起こし一気に除霊するというものだった。
「そんな事をすれば、そこに住んでいる住人達の精神に影響するぞ!」
会場内の誰かが大声をあげた。
「霊的爆発により生きている人間の精神にどの様な影響が出るかという資料なんてない。
仮に影響が出ても直ぐに死ぬ訳じゃないし、区内で影響が出るよりは経済的な影響も僅かと考えられる。」
それが職員の答えだった。
場は荒れに荒れ会議は終了した。
その理由の1つに霊の数が多いが1つ1つはそんなに強くない事があった。
本来都がきちんと除霊に必要な経費やその依頼料を払いさえすれば何も問題がないのだ。
元々お金をケチってこうなったにもかかわらず、またお金をケチって今度は安全性の確認されていない霊的爆発物を使うという。
同業者側も同業者側で一枚岩でない事には理由がある。
ラムネやチョコの様になんの消耗品も使わずに除霊出来る人間と、フレークやモナカの様に消耗品代がかかる人間がいた。
消耗品を使う人間が多い組織は霊的爆発物を使う事に賛成した。
お金だけの問題じゃなかった。
霊力の込められたお札や矢などを雑魚霊の為に大量に用意するのも大変なのだ。
一方で消耗品を使わない組織の中にもまた事情があった。
使い魔や式神を使う組織だ。
霊的な大爆発に巻き込まれれば間違いなく影響がでるし、下手をすればラムネの暗黒剣やチョコの様な霊刀などにも影響が出るかもしれないのだ。
ーーー
会議の後、カカオとフレークそして玲子は今度は秘密裏に別の部屋へと呼び出されていた。
今度は都の議員連盟だ。
彼らは都のお金などどうでも良いのだ。
どうせ除霊費などいう奇天烈な名目は都民には発表されない。
議員連盟にとっては都の職員とは逆に霊的爆発により何かあった時の方が問題なのだ。
カカオ達が呼び出された理由はもちろん1つ。
霊的爆発物使用の妨害だ。
それは霊的爆発物を不発にさせてその後普通に除霊して都からお金を貰えという指示だった。
これには1つ問題があった。
霊的爆発物を設置した後、沢山の除霊師達が撤退してしまう事だ。
みんな明らかに霊的爆発は精神に影響があるとわかっているのだ。
使い魔や式神を使う組織以外も撤退してしまうだろう。
そんな中で爆発を失敗させて通常の除霊をしなくてはならない。
ーーー
沢山のカップルがイチャつく都の展望台でカカオとフレークは頭を抱えた。
「どうよ?」
カカオはフレークに聞いた。
「ラムネとチョコは万が一爆発してしまった時の事を考えれば外した方が良いだろう。
爆発の精神的影響がどれくらいかもわからない以上若いモナカも外した方がいいな。」
フレークは冷静にそう判断した。
「おっさん二人で山を必死に走るしかねえのかよ。」
カカオは嫌そうだった。
「若い奴はそういうのトレイルランって言うんだよ。」
フレークはおどけてみせた。
「名前だけかっこつけても山登りは山登りだろ。」
カカオは再び頭を抱えた。
そこに飛び切りの美女が近づく。
もちろん玲子だ。
「男二人で楽しそうね。
私も話しに入れなさいよ。」
「楽しい話しじゃないから酒も飲まずにこんな所で話してんだよ。
話の内容はお前もわかってんだろ?」
「あら、おっさん二人で山登りなんて健康的でなかなか楽しいそうな話しじゃないかしら?」
「おい玲子、若い奴はそういうのはのトレイルランって言うだぞ。」
カカオはドヤ顔で覚えたて知識を玲子に使った。
筋肉質で肩幅の広いスーツ姿のカカオ。
細身だが引き締まった身体をしているフレーク。
飛び切りの美女の玲子。
展望台にいる一般客の目が自然に3人に集まっていた。
玲子は周りを気にして言う。
「せっかく久しぶりに会ったんだし場所をかえましょう。」
「おいフレーク!今日は玲子の奢りだってよ。」
「それはいいねカカオ!せっかくスーツを着ているんだ、たまには高いお酒が飲みたいね。」
それを聞いて玲子は笑った。
「貴方達相変わらず仲が良いわね。
二人共昔から全然成長してないのね。
お金ならいくらでもあるでしょうに。」
「高い酒は他人の金で飲むから美味いんだよ。」
「ああ、それが美女の奢りならなおさらだね。」
ーーー
展望台を降りて3人は玲子の高級車に乗り込む。
「今度貴方達の所の若いの紹介しなさい。
私に良い考えがあるの。」
カカオは呆れた顔で言う。
「まだ儲けるのか?
玲子もお金なんか余ってるだろうに。」
「バカね、舐めた事言ってる職員と議員から巻き上げるから良いんじゃないの。」
フレークはとても楽しいそうに言う。
「それは良いね。
そのお金で飲むお酒も美味しいだ。」
久しぶりに再会した3人は楽しく飲み明かしたのだった。
投稿が遅れてしまいすいませんでした。
これで先週分は終わりです。
また月曜日から(と言っても明日ですが)、よろしくお願いします。
なんとかスーパーゴールデンウィークまで粘って休み中に書き溜めを増やして安定させたいと思っています。
その為にも、是非「オラにブクマと評価を分けてくれ〜。」




