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戦国時代に宇宙要塞でやって来ました。  作者: 横蛍・戦国要塞、10巻まで発売中です!
天文16年(1547年)

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第二十三話・人の縁と人集め

side・久遠一馬


「かず! あれはなんだ!!」


 翌日。起きると朝からテンションマックスの信長さんに詰め寄られた。どうも布団の話らしい。


 そう言えばこの時代の布団って未来と全然違うんだよね。そもそも四角い布団が存在しなくて、着物みたいなやつを掛け布団にしてる。確か夜着って言ったっけ?


 当然敷き布団も無く畳があればいい方で、農民はわらに潜り込んで寝てるんだから驚くわな。


「寝心地はよくありませんでしたか?」


「悪いわけがあるか!」


 朝から元気だね。信長さん。要は凄く気に入ったから欲しいってことか。


「中身は何なのだ?」


「鳥の羽毛ですよ」


 信秀さんたちも起きて早々、布団に興味を持った。ちょっと考えれば思い付きそうなもんだけど、この時代の日本にはないんだよね。


 中世ヨーロッパには羽毛布団があったみたいだから、気にせず使ってるだけなんだが。


「お気に入られたのなら、用意して献上しますよ。あと、中身を綿にした布団も寝心地が変わっていいですよ」


 武士があのような布団など使えないとか、妙な拘りがないなら布団くらい献上するよ。


 でも、信秀さんに付いてきた人たちのオレを見る目が、一晩で変わった気がする。正直好意的とは言えない視線もあったけど、今はそれより畏怖するような視線が少し混じってるかもしれない。


 あまりに違いすぎることが未知の恐怖を生んだかな? 信秀さんに許可を貰って贈り物でもしとくか。




 信秀さんは朝食を食べて帰っていった。


 メニューは焼き鮭に冷奴と味噌汁に漬け物など、質素な物にした。まあ鮭がある時点で、質素なとは言えないかもしれないが。


「清兵衛殿、どうですか?」


「これは那古野の若様まで。頼まれてた物はできてますぜ」


 信秀さんたちを見送ったオレは、信長さんたちと一益さんを連れて津島で鍛冶屋をしてる清兵衛さんのとこに来てる。


「これは農具か?」


「ええ。普請にも使えますけど。農具とか見せてもらったんですけど、あまり良さげじゃなかったので」


 清兵衛さんにはツルハシ・スコップ・くわすきなど、農具にも土木工事にも使える機具の製作を依頼していたんだ。


 ちなみにこの人、加藤清正の母方の祖父になるらしい。


 オレも最初は知らなかったんだけど。清正の父の清忠さんが今年の春に清兵衛さんの娘さんと結婚して、今鍛冶屋の修行を頑張ってるみたい。


「いい出来ですね。他の仕事の合間でいいので、どんどん作ってください。できた物は全てうちで買いますから」


「あっしは構いませんが。よろしいので?」


「ええ。よろしくお願いします。ああ、これ差し入れです。皆さんで飲んでください」


 この時代の農具は、木製の農具に刃先だけ鉄を使ったような物が大半だけど、それじゃ効率が悪いんだよね。


 清兵衛さんには未来で見るような農具の製作を依頼していたけど、使う鉄の量が多いから製作費が刀や槍並に高くなってる。まあ清兵衛さんへの手間賃を弾んだのもあるけど。


 清兵衛さんはこんなに高い農具だと誰も買わないんじゃないかと心配していたけど。牧場とか高炉とか、ウチの管理する畑や現場で使うからいいんだよね。




「これは大きいな! これならたくさん酒が造れるぞ!」


 そしてもう一人。津島で桶屋をしてる市兵衛さんには酒造りのための大きい桶を頼んでる。


 史実ではもう三十年ばかりしたらできるはずの十石仕込みの桶を、少し技術指導して作ってもらってるんだよね。本当はもっと大きいのが欲しかったんだけど。


 ああ、この人は福島正則の親父さんらしい。別に狙ってるわけじゃないんだけどね。近くの職人が彼らだったんだよ。



「すまないね。市兵衛さん。急がせて。これ差し入れ」


「おっ、すまねえな。いいのかい? これ高いって聞くぜ?」


「いいよ。その代わり頑張ってよ」


「任せときな。期日までには間に合わせるからよ」


 慣れない大きな桶を冬の仕込みまでにと頼んでるから、市兵衛さんにも報酬は弾んでる。


 後は清兵衛さん共々、お酒とか食べ物の差し入れはよくしてるけど。


 桶とかお酒を入れる樽とか、この先も需要はいくらでもあるんだよね。


 少し落ち着いたら、弟子を増やしてもらいたいほどだ。




 津島での用事を済ませて一旦家に戻ると、一益さんの住む家とか話し合うことにしたけど、しばらくはウチに住み込んでもらうことになった。


 ウチに居るのはオレとエルたちの他は、見た目を戦えなさそうな老人の姿にしてる擬装ロボットだけだからさ。不用心だという話になったんだ。


「勝三郎。何人か家に余裕のある奴を集めてこい」


「いいんですか?」


「居なければ居ないで、なんとかなるはずだ」


「すみませんね、勝三郎殿。賃金は相場より多めに出しますから」


「多分、すぐに集まりますよ」


 それと信長さんの悪友から、正式に何人かうちで雇うことにした。


 五百貫の禄があるから、戦になればそれなりに人を出さないとダメだけど、船が居ないとウチで用意できる人は擬装ロボットすら居ないんだよね。


 正直擬装ロボットは戦には出したくないから、船を動かす以外には使いたくはない。


 エルたちのようなアンドロイドと違い、独自に考え行動するようなAIは搭載してないけど、日常で人と話したりできる程度のAIと食べ物や飲み物を食べたふりをする程度の擬装はしてる。


 しかしまあ、やっぱり量産型のロボットなんだよね。何かの拍子にバレても困るし。


 信長さんたちには船を動かす以外は、人員に余裕がないと言ってる。ならば召し抱えればいいという話になり、信長さんの悪友のみなさんに行き着いた。


 尾張でも織田弾正忠家の領地は、肥沃で米なんかもよく取れるから食べてはいけるけど、二男や三男だと耕す土地がない場合が多い。


 荒れ地や湿地なんかはあちこちにあるけど、一から耕すとなれば水の問題とか肥料の問題とかいろいろ問題があって簡単じゃない。


 何と言うか邪険にされてるとまでは言わないけど、少しはみ出しがちな者たちを信長さんが連れ出しては、飯を食わせていたらしい。


 多分史実での信長さんの初期の原動力となった兵が、彼らだと思うんだよね。


 教育は必要だろうけど、付き合ってみれば意外に悪い人たちじゃない。


 屋敷が二つあるし、うちは女性が多いからね。前々から信長さんとか政秀さんには心配されてたんだけど。


「人が必要ならば、某の父や従兄弟も呼んでよろしいでしょうか?」


「いいけど。近江に領地あるんでしょう?」


「あるにはありますが、現状では食うのが精一杯な土豪でして。まあ、何人来るか分かりませぬが。近江に居ても先は見えてますので」


「えーと、若様どうでしょう?」


「構わぬ」


「じゃあ、来たい人は呼んでいいですよ。これからやることが増えますし、人はいくら多くても構いません。とりあえず今の生活よりはいい生活を保証しますから」


「はっ。では文を送ります」


 信長さんと何人雇うか話して、最低でも十人は必要でできれば二十人は欲しいとなったけど。一益さんから家族を呼びたいとの話があったんで、信長さんに許可を貰い呼んでもらうことにした。


 そういや史実でも、滝川一族って他にも何人か織田家に居たからね。


 織田家の将来性と一益さんが出世して呼んだんだろう。


 津島と那古野の屋敷に、高炉なんかの工業村の管理と牧場の管理で、人がまだまだ必要なのは分かってる。


 別に全部をウチが管理するわけじゃないけどさ。


 それとエルたちが出歩く時に、護衛とかお供を付けないのも信秀さんに問題視されたからね。


 まあ目立つから特に危なっかしいんだろうけど。五百貫って多分重臣クラスだから、一人で出歩く人居ないんだろうね。


 滝川さんたちに信長さんの悪友のみなさんで、一息つけるかな?



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書籍版戦国時代に宇宙要塞でやって来ました。

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