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戦国時代に宇宙要塞でやって来ました。  作者: 横蛍・戦国要塞、10巻まで発売中です!
永禄五年(1559年)

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第二千二百四十四話・子供たちの久遠諸島訪問と近江の山狩り・その四

Side:織田信光


 山狩り二日目だが、すでに賊などおらぬという報告が多い。


 当然であろう。兵を上げると噂になれば、さっさと逃げるわ。しかも多くの者は織田を恐れて逃げておるうえ、逃げる先は近江だ。


「武官大将殿、賊の住処は見つかりまするが……」


「すべて打ち壊せ」


「畏まりましてございます!」


 賊の住処を見つけるのは警備犬ばかりだな。六角より犬のほうが頼りになるわ。


「賊は近江の者でございましょう?」


「何故、我らがかような真似を……」


 功となる賊もおらず、あてもなく山を探すばかりに本陣におる武官や警備兵にも不満が多いか。


「不満なら戻ってもよいぞ。もう軽々に戦をすることはないのだ。むしろ今後は領境での山狩りのほうが増えよう。それが理解出来ぬならば戻れ」


 少し睨んでやると不満を口にした者らの顔色が悪うなる。


「さらに近江を守らぬとなれば、いかに厄介になるか分からぬ者はいらぬ」


 言いたいことは理解するが、表に出すな。愚か者が。織田が驕ったなどと噂になれば、なにを言われるか分からぬのだぞ。


 有象無象の者らは織田が不利と見ると、いつ離反してもおかしゅうないのだ。


「申し訳ございませぬ。ご容赦を……」


「わしに愚痴るくらいならばいい。だが、他で漏らすなよ。近頃は口が軽い者が増えたからな」


「はっ!」


 まったく。立身出世などするものでないな。一馬ではないが、面倒事ばかりが増える。オレは兄者のような仏ではないからな。先々のために我慢するなど、本来は好まぬのだ。


「六角はいかがするのでございましょうな。賊と通じる者を捨て置くと、兵を退いたあとに賊が戻りましょう」


「そのくらいは考えるはずだ。あちらには春たちがおる」


 そこまで面倒を見切れぬわ。本来ならば、こちらが動かずとも六角で始末をすればよかった話。織田領の村や寺社では賊と通じるなど許さぬことで近寄らぬ。やつらが出没するのは主に近江に入ってからなのだ。


 万が一こちらに逃げてくる者がいては困るのと、今後増えるだろう山狩りの鍛練にちょうど良いので兵を出したに過ぎぬ。




Side:シェヘラザード


 今日は尾張の子たちと島の子供たちで交流会をしているわ。場所は島の学校よ。異国というのは少し大袈裟になるけど、双方の子供たちにとって外界の子供と触れ合う機会は貴重なのよね。


「よろしくお願い致します!」


 どうやって交流するか。それはそれぞれの学校で子供たちと一緒に考えた。結果、島の子供たちは尾張の流儀で挨拶をして出迎えた。


「よろしくお願いします!」


 尾張の子たちはそれに対して私たちの流儀で。司令の元の世界基準で丁寧なままフランクな形で挨拶を返したわ。


 正直、挨拶は大きく違わないのよね。ただ、私たちは権威を用いないとしていることで堅苦しい形式を用いていないことから、そんな形に落ち着いている。


「それじゃ、授業を始めようか」


「はい!」


 交流会でなにをするのか。これも双方の学校で子供たちに意見を聞いた。宴や運動会のような競うことを想定していた私たちの予想に反して、島の子供たちがもっとも望んだのは司令の授業だった。


 一緒に司令の授業を受けたい。そう願った子供たちの意見により司令が授業をする。まさかの要望に、司令は授業内容を一ヵ月も前から考えていたらしいけどね。


 結局、尾張と島の違い。学校や病院の違いなどを教えることにしたみたい。


「ちょっと緊張しているみたいね」


「うふふ、そうね」


 近くにいるアーシャとリリーが、司令の様子に気付いて微笑ましげにしている。十年前と違う。多くの人と出会い、雲の上の人とも話をしたばかりか交渉をしている。


 ギャラクシー・オブ・プラネット時代と比較すると、驚くくらいに成長したけど、島に戻ったことで少し昔の司令に戻っているみたいなのよね。


 私たちが成長したり活躍したりするのを楽しんでいただけの優しい司令だった。あの司令が、今や誰もが信じる為政者となりつつある。


 正直、信じられないわね。


「領主様! そこ違うよ?」


「あれ? そうだっけ?」


 緊張からか、ちょっとした間違いを教えてしまい島の子供たちに指摘されると、司令は恥ずかしそうに訂正している。


 ただ、そんな様子すら楽しげで子供たちが司令を軽んじるようなこともない。


 むしろ島の子たちは、留守中の島のことを司令にもっと知ってほしいと助けているように見えるわ。


 不思議ね。強制していないのに、みんなで司令を支えようとしている。


 尾張の子たちも、そんな司令と島の子たちと一緒になり楽しんでいる。私たちが思った以上に、子供たちは成長していて新しい世の中を見ている。


 それが、なにより嬉しいわね。




Side:久遠一馬


 なんか、オレが思う以上に相互理解が進んでいてびっくりしている。氏素性の怪しい者は人権なんてない時代だったはずだよね?


 元の世界で外国人と交流する時みたいだ。ちゃんと相手に敬意を払って双方共に歓迎している。


 こういうのって難しいはずだよね?


「私たちは人形劇をします!」


 授業が終わると、双方が相手を歓迎するために出し物をすることになっているんだけど、尾張の子たちは人形劇をするらしい。


 すずとチェリーが尾張に持ちこんだことで、今では織田領のみならず近江や関東でも広まっているものだ。


 どんな内容なんだろう?


「時は天文十六年……」


 思わず吹き出しそうになった。主役はオレ? というかオレたちが尾張に行ってからの活躍を人形劇にしたみたい。


 誰だ、こんなのをやらせたのは!?


 明らかに美化されている。三百%ほどの美化ではなかろうか。アーシャさん、止めなかったのね。


 ああ、誰が協力したのか分かった。一益さんとか太田さんだ。きっとお市ちゃんも一枚かんでいるな。ちゃんと関係者に話を聞いて物語を組み立てたらしく、美化はしていても内容に間違いはない。


 ジュリアとケティはポーカーフェイスだが、エルは少し恥ずかしそうだ。ジュリアとケティもかなり美化されているんだけど。


 なんというか、どういう顔で見るべきなんだろうか? 美化された自分の過去とか。黒歴史を見せられている気分だ。


 ただ、子供たちの表情は最高にいい。島の子たちが喜んでいることで、尾張の子たちも嬉しそうに人形劇を演じている。


 よし、受け止めてやろう。恥ずかしいのは変わらないけど。子たちが喜んでいるんだ。笑って一緒に楽しむくらいでいいはずだ。


 でもね、最後にフィクションですという言葉があると嬉しいけど……、多分ないだろうな。






戦国時代に宇宙要塞でやって来ました。11

発売中です。

よろしくお願いいたします。

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書籍版戦国時代に宇宙要塞でやって来ました。

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