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戦国時代に宇宙要塞でやって来ました。  作者: 横蛍・戦国要塞、10巻まで発売中です!
永禄五年(1559年)

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第二千二百四十一話・子供たちの久遠諸島訪問と近江の山狩り

Side:夏


 観音寺城より出陣した総勢五千の六角勢は蒲生領へと入り、明日にはいよいと山狩りとなります。


 全体として士気は高いわ。


 史実より畿内が落ち着いていることもあり、近江でも国人の小競り合いなどはあるものの、管領代殿が出陣する戦は近年なかったこともあり気合の入り具合が違う。


 さらに宿老が正式に臣従したことがトドメとなった。この先どうなるのかと案じる者たちも、まずはここで功を上げておくと先々に有利になると判断したこともあり、各家とも主力が勢ぞろいした。


 私たち四人は、結局、揃って同行することになった。織田も六角も本気だと見せるために。兵は私たちの警護と此度の山狩りのために尾張から呼び寄せた武官が合わせて三百。六角を疑うわけではないものの、油断していいことでもない。


 そんな私たちは六角勢の軍議に参席しているのですが……。


 軍議の前に、いくつかの近隣の寺社と国人衆が街道から逃げ出したと思われる賊を生け捕りにしてあると報告すると軍議の場がどよめきました。


「詮議は改めてするぞ。偽りの者であるかもしれぬ」


「構いませぬ。不逞の輩であることは確かでございまする。さらに保内商人や近隣の者に面通しをしておりまする故に」


 宿老臣従の衝撃が寺社と近隣の国人衆を動かしました。蒲生殿の怒りもまた伝わったこともあり、賊がすべて逃げだしてしまっては責を負わされるかもしれないと懸念した者たちが、まだ山にいた賊を捕らえ、ところによっては逃げた賊を追いかけて捕らえている。


 これには蒲生領の諸勢力も同じことをしました。


 無論、この知らせは私たちも知っていることです。保内商人がいち早く教えてくれていますから。


 そもそも保内商人は、こちらに事前情報として賊の出没個所や繋がっている近隣の寺社や村などを事細かに教えてくれていました。彼らは私たちを敵に回す気などさらさらなく、この情報を織田家への土産として信を得て今後の商いに繋げました。


「まあよい。山狩りは行う。二度と賊など出ぬようにな」


 おそらく残っている賊は少ない。ただ、管領代殿としてはここまで来てなにもしないで帰るということも難しい。山狩りは予定通り行うことになりました。




 軍議が終わると六角家重臣と宿老、それと私たちだけが再度呼ばれました。


「初めから捕らえておればいいものを」


 管領代殿はご機嫌ナナメですね。確かにもっと早く取り締まっていれば山狩りなど要りませんでしたから。


 ただ、物事には順序があります。六角家が本気だと示し蒲生殿が怒らなければ、彼らは動かなかった。


「いかがする。近隣の村や寺社の処罰と詮議は……」


「誠意は見せたからな」


 重臣たちはこれで現地の者を許すべきだと言いたげですね。この時代なら妥当なところです。ただ……。


「某は許すつもりはございませぬ。詮議の上、かの者らと通じておった者には相応の罰を課すべきかと」


 蒲生殿がそんな重臣たちの言葉に異を唱えた。


「蒲生殿……、されど貴殿の所領ぞ。やり過ぎると恨みが残る」


 重臣たちはさすがに驚いた様子です。なにより彼らは蒲生殿の面目と立場を慮って進言したのですから当然でしょう。


「正しき裁きをせねば、我らは信を失うぞ。尾張は何故、皆の信を集めると思う? 裁きが公平だからだ。多少の配慮はあるがな。それに、なにも命を以て償えというのではない。此度の動きに免じて相応に労役でもさせればよい」


「まあ、蒲生殿がそれでよいのならば……。されど寺社はいかがする?」


 賊といっても半数は地元の者であり、寺社も彼らを黙認して利を得ています。ただ、武士が寺社に手を出す場合は、相応の覚悟が必要なこと。


 管領代殿はどう決断するのでしょうか。




Side:久遠一馬


 いや、子供たちの食欲って凄いね。歓迎の宴を開いたんだけど、次から次へと料理が胃袋に消えてお代わりが運ばれてくる。


 ただね。遠慮しないで食べてくれているのは本当に嬉しい。こういうのは日頃のコミュニケーションの賜物だろう。


 ちなみにお酒は出していない。ケティの指導もあり、十代半ばでお酒を飲むのは宴や儀式などで最初に飲むくらいで、日常で飲む人は学校に通うような子はほとんどないと聞いている。


 身分ある人は、ほんとケティとかアーシャの指導をよく聞いてくれるんだよね。


 どちらかというと庶民のほうが、今までと変わらずお酒を早くから飲む子が多い。こちらは働き手として認められると大人として扱うので、結婚もするしお酒も飲むんだ。


 今夜は久遠諸島名物である鯨料理だ。日ノ本でもそこまで珍しくないけど、現地の食材を使った料理というのは宴なんかだと基本だからね。


「美味い!」


「ああ、美味い。噛みしめるとなんとも言えぬ味が広がるな!」


 あっちでは元服前後の子たちが鯨肉の竜田揚げを頬張り、山盛りご飯を食べている。こういう光景は元の世界とあんまり変わらないなぁ。


 ちなみに身分ある子は、お付きの人がひとりずつ同行している。学校では基本お付きの人がなにかすることはないが、それなりに長旅だからね。彼らも同じようにテーブルを囲むようにして宴を楽しんでくれているようだ。


 なお、隠れた皆勤賞であるお市ちゃんの乳母さんも同様だ。


「島だと鯨より米が貴重なんだよ……って知っているか」


「はい! 教わっております!」


 島のことを教えてあげようと声を掛けて途中で気づいた。学校では問題のない範囲でウチの島のことも学んでいることを。


 無論、ウチの島だけじゃない。それぞれ地域によって特産物があったりすることは教えているんだ。


 今回連れて来た子たちは、この時代の一般的な武士と違う教育方針のもとで育った子たちが多い。無論、武芸も熱心だし戦に備えることは変わらないけどね。


 自ら学問を見つけたり考えたりする力を身に付けた子供たちだ。


 学僧のような人や公家衆の中には、学校の教育を知ると恐ろしいと言う人もいる。昔からの教育も決して間違っていないし悪くないんだけどね。


 ただ、教育と学ぶことを庶民に広げるのは、やはり驚かれる。


 さて、今夜はお風呂に入ってゆっくり休んでほしいんだけど……、寝るより興奮して起きていそうだなぁ。


 どうなるのやら。それもまた楽しみだ。




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