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チートスキル使って戦闘してみた

割と間隔開いたけど、今月2回目の投稿です。よろしくお願いします。

 ノーリス、ジャックなどの熟練っぽい人たちが持って来た禍々しいオーラの武器を手に取った下級冒険者たちは、気が狂ったかのように神への怨恨を叫び始めた。

 熟練者たちが発狂していないのは、こういう状態異常的なものに対しての耐性を持っていたからだろう。


「おいおいジャック。この武器呪われてたんじゃねぇの? だから安く譲ってくれたってわけか」

「呪いねぇ……神官相手じゃ相性悪いかもしれないっすね。あっ、行っちゃった」


 熟練者たちが何も指示していないのに、下級の冒険者たちは突撃を始めていた。

 彼らの後を歩いて追いながら、笑みを浮かべて話し合っている。


「呪いを解除するのも神官の仕事だからな。いずれにしても行くしかないだろうよ」

「ま、それもそうっすね」


 呪いの武器を貰っていないし、そもそも彼らの仲間でも何でもない僕は、帰ろうと思えばいつでも帰れる身分だ。

 だけど、呪いの装備の支持を受けた彼らがどこまでパワーアップしたのか気にならないわけでもない。

 それに、ナタリーさんとの約束もある。だから、取りあえず最後尾を歩いて行くことにした。


「うおおお、神の手先よ、消え去れッ!」

「汚らわしい結界を破壊せよ!」


 今まで簡単に弾き飛ばされていた結界に、彼らの武器がゴリゴリダメージを与えていく。

 あの威力なら、結界が崩壊するのも時間の問題だ。

 傍目から見ている戦闘ド素人の僕でも分かるのだから、結界を貼っている人もそれを理解していないはずがない。

 数秒結界が解除され、数人の冒険者が神殿に入り込む。すると、すぐに結界が復活した。

 再び冒険者たちが結界を壊すために武器を振るい始める。

 中の様子は見えないが、あまり大きな物音も聞こえてこないので、神官たちが冒険者を無力化したのだろう。

 再び結界が消えて数人が神殿に突入し、すぐに結界が貼り直される。


(まずいな……)

(どうしたんですか、花水はなみずさん?)

(このままだと冒険者たちが次々と各個撃破されてしまう)

(え? それって僕たちにとって何か不都合なんですか?)


 食い気味な声が返って来た。


(当たり前だ! このまま暴動が鎮圧されたら、ナタリーとの約束が消えてしまうじゃねぇか!)

(でも、「もし神殿が色んな人たちに襲われたら神殿に行く」って内容の約束だったから、神殿側が防衛に成功した後でも大丈夫なんじゃないですか?)

(なるほど……だが、どうやらそう簡単には防衛出来なさそうな雰囲気だぜ?)


 どういう意味なのだろう、と思っていたら、多くの足音が聞こえて来た。神殿側からではない。神殿に向かって、多くの人々が走って来ていた。

 よく見ると、こっちに来ている人々は例外なく、例の禍々しいオーラを放っている武器を手にしていた。服装からして、冒険者ではない。


(ははあ、どうやらさっきの冒険者どもに武器を売った商人が民衆に武器を売りつけたみたいだな)


 下級冒険者ですら呪いか何かの影響で理性を失ってしまう代物を一般民衆が手にしたら容易に発狂してしまうだろう。


(いや~、アレ、持たせるだけで気が狂って神殿を襲うようになる仕組みみたいだからクソ売りやすそうで羨ましいぜ。発狂した後に金を奪い取ることも出来そうだし……無料でお試しさせて、沼に引き込んだら容赦なく全てを搾り取る! よく出来た商売だな)


 花水さんが呑気な発言をしている間にも、武器を手にした人々が近付いて来る。


(逃げた方が良いんじゃないですか?)

(いや、あいつら神殿関係の連中しか狙わないだろ。もしそうじゃなかったら、さっきの冒険者連中に襲われていたはずだ)

(そう言われればそうですけど……)


 いつでも反撃出来るように、剣を一応構えておく。

 しかし、花水さんの予想通り、民衆たちは僕を無視して神殿の方に走っていった。

 その背中を見届けるように神殿の方を見ると、先ほどよりも包囲網を詰められていた。

 見守っている間にも、建物に人が流れこんでいく。


(さーて、そろそろ行きますか)

(えっ、でも、戦えるんですか? あれほど冒険者になるのを嫌がっていたのに……)


 ケロッとした声が返ってくる。


(いや、チートスキルがあるから、殺そうと思ったらここからでも全員葬り去れるけど? 逆に、お前は人を殺す覚悟とかあるの? てか、人殺しても大丈夫なの? 今は非常時で、相手は神殿を襲ってるヤベー奴だから許されるよね? 捕まって処刑とかされないよね?)


 あまりにも自然に人を殺す話を振って来た。以前にも覚悟を問われた気がする。


(……今は非常時だから、事情を話せば捕まらないはずです。神殿を守れば神殿の人が弁護してくれるでしょう)

(ほーん。もしかして、今ここから金属片を物凄い速さで大量に飛ばして全員穴だらけにしたり、クソデカい金属塊を神殿の上に出現させて全員押し潰したり……みたいな勝ち方だと捕まっちゃうってこと?)

(まあ、いくら非常時と言っても、街の重要な場所をむやみに破壊したら許されないですよ……それよりも、そんなこと出来るんですか?)

(金遣いとかいうチートスキルがあるじゃん。アレで秒で出来るから)

(とにかく、殺すとしても非常識というか、逆に色んな人たちに怪しまれるようなやり方は逆効果だから、出来るだけ普通に見えるように戦ってください!)

(おっと、ゴーサインってことですかね)


 笑いながら神殿の正面口に走り、人だかりの後ろで剣を一薙ぎする。

 チートスキルによって刃が引き延ばされたため、数人纏めて攻撃出来た。

 威力なども上がっているみたいで、これだけの人を斬っているのに全然力を必要としない。素振りするよりも軽く感じるほどだ。


「神殿待機列、最後尾はこちらとなりまーす!」


 花水さんはよく分からないことをノリノリで言いながら剣を振り回して人垣をかき分けていった。一振りするだけで周りにいた人たちの上半身と下半身がサヨナラしていく。


「はい、列が通りまーす。危ないよー。列に並んでる人はちゃんと手を挙げてね……あっ、どんどん手が下がっていくね。おかしいね~」


 斬られた人たちから血しぶきが噴水のように噴き出し、一拍遅れて、上半身が地面にボチャリと落ちる音が聞こえてきた。手が下がるどころの騒ぎではない。


「徹夜組に……ペナルティ!」


 何か変なことを言いながら進むうちに、神殿の中に入れた。建物内の各地で戦闘が頻発している。相変わらず神官側が優勢みたいだ。


「ナタリー、どこだー?」


 適当に叫んでみたところ、割とすぐに返答があった。


「アウルム君、こっちよ!」


 意外と近くにいるみたいだが、一番冒険者たちが密集している場所の向こう側から聞こえる。

 しかし、ジャックたち中堅冒険者たちが陣頭指揮を取っている激戦区に阻まれている。

 別の移動経路を探そうかなと思っても、完全にふさがれている。このチートスキルがあれば、無理にでも押し通れるだろうけど、神殿に迷惑をかけるやり方は取りたくない。

 となれば正面突破以外有りえないが、ここにいる人たちを瞬殺しても逆に怪しまれそうだ。

 悩んでいる間にも僕の身体は動いていた。


今月中にもう1回ぐらい更新する予定なので次回もよろしくお願いします。

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