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World Adventure  作者: oyj
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第16話

『ロマスのシルフ島という島の上空に、神はいる』

シオンは驚いた。

今までも凄い偶然はいくつも体験してきたけれど、まさか最後にこんな事が。

「シオンはまさに、神に選ばれた子だったという事か」

「きっとそうよ!すごいわシオン」

「いや、俺が何をしたんだよ・・・」

『島には昔から伝わる聖剣が存在するはずだ。シルフ島の中央に、それを差すんだ』

「わかりました」

そして三人は、ロマスへ向かおうとしたが・・・

今日はここスズ修道院で、泊まる事にした。


「メイはすごく頭がいいの。きっとすごい人になるわよ」

マザーはそう言った。

「『お父さん』はこんなにおっかないのにね〜!」

リーンはそう言って、ガルドを強制的に父とした。

「・・・。」

ガルドは困っていた。

「ガルドはメイとけっこんするの!」

メイは、「ガルド父説」を否定した。

「ははははは」

シオンはずっと、笑っていた。

決戦の前の、束の間の平和だった。


「俺はこの旅でお前たちと出会い、弱さを知った」

突然ガルドが、そう言った。

「そして弱さを知る事で、俺はもっと強くなれた」

シオンはいつかエルクハイムでゼットに言われた、「人間は負けて強くなる」という言葉を思い出していた。

またガルドは、彼らとの出会いにより人の暖かさを知り、また自身もそうなれた。

彼はそれまではずっと一人で生きてきたし、これからもそうできるつもりだったのだから。

「わたしは、この旅で世界を知ったわ」

リーンはそう語った。

確かに彼女は、今までこの修道院と砂漠と海しか知らなかったのだ。

「ねえ、シオンは?」

シオンが旅に出て、数ヶ月が経っていた。

「俺は・・・自信が付いたかなっ」

束の間の平和は、もうすぐ終わろうとしていた・・・



その頃すでに、世界中に「魔族」は浸透していた。

ゼットは言った。

「最近、時が経つのが早い気がするな・・・」

ジェノは言った。

「今は大事な時です。余計な事は考えず、お休み下さい」

「・・・。」

世界の闇は、遂に世界全体を蝕んだ。



そして翌日―――。

リーンのテレポートで、三人はシルフ島に来た。

「何か・・・ありがたみがないなあ」

数秒で故郷に帰ったシオンは、そう言った。

そして数ヶ月ぶりに、家へと戻った。

「おおシオン!可愛い彼女を連れておるのー」

「ち、違うよじいちゃん。リーンは仲間だ、彼女じゃない。それにリーンの彼氏は、こっちのおっかない奴だよ」

「いい加減にしろよシオン・・・」

ガルドはここ最近ずっと、「おっかない」と言われてきた。

「そうよ!ガルドの彼女はメイちゃんでしょ!なにせロリコンなんだから」

「いい加減に・・・もう良い」


「ねえじいちゃん、この島に伝わる聖剣があるの?」

「おおそうじゃ、バートの持つ剣は、昔からこの島にあったものなんじゃ!」

シオンは驚きの、連続だった。

そして父に剣を借りて、島の中央へと向かった。

父の話によると、ここに一度ゼットが来たらしい。

皆が殺されなくて、ついでにこの聖剣が折られなくて本当に良かった・・・


母・リノアは言った。

「シオンを頼みます、ガルドさん、リーンさん」

二人は言った。

「ああ」

「ええっ、もちろん」

母は言った。

「ねえシオン、あのガルドって方はステキねー」

シオンは思った。

ガルド・・・もてるな。


「このへんかな」

シオンは剣を、地面に刺した。

光の道が天空へと伸び、やがて塔となった。

島中の人間が、それを見に来た。

ライアもいた。

「あっ、ライア」

「シオン・・・何かシオン、遠い人になっちゃったみたい」

「・・・。」

「がんばってね」

「ああ」

シオンたちは、塔を登った。


「さっきの、彼女?」

「幼なじみだよ」

「シオンにはちゃんと、同年代の彼女がいるのね〜」

リーンはガルドを見た。

「・・・しつこいな」

そして三人は、塔を登りきった。

シオンは思った。

こんなに近くに、神がいたなんて・・・どんな姿なのだろう。

しかしこの期待を、裏切る結果が待っていた。


『ようこそ』

そこには、巨大な鳥がいた。

「・・・鳥?」

『私は、神である』

神様は、鳥だったのか。

この旅は驚きの連続だったが、これが一番かもしれない。

「やれやれ。最近、どうも緊張感が欠けるな」

ガルドは神の目の前で、そう言ってのけた。


『私は、全てを見てきた』

神は、語った。

『しかし何も、できなかった』

シオンは尋ねた。

「神様は世界を救えないのですか?」

『神とは、世界を見るしかできない』

「・・・役立たずだな」

ガルドはまた、言ってのけた。

『この星の誕生と共に、私はここに生まれた。そしてずっと、星を見てきた。神とは管理者ではない、監視者だ。精霊を通じて、人間にヒントを与える事しかできない』

「じゃあヒントをくださいな、神さま」

悲しい目をした神に、リーンは言った。

『賢者リーン・・・そなたのおかげで私はこうして人間と会えた。長く生き、長く世界を見てきたが・・・人間と会ったのは、メビウス以来だ』

「やはりメビウスさまは、あなたに会っていたのですね」


『・・・聖剣の名は、スペリオンという』

「え?」

『いずれきっとまた、役に立つ。持って行くが良い』

神は目を光らせた。

地上の聖剣が、更なる光を発した。

『精霊たちの力を込めた。地上にその剣を超える剣はないだろう』

「ありがとうございます」

『多くの精霊に認められた君たちの力は、もう魔王とも渡り合えるものだ。後は素晴らしい武器を手に入れ、技を磨き、魔王の下へと行くが良い。私はここで、ずっと見ている。これからもずっと』

「・・・はい」

そして彼らは地上に戻り、シオンは剣を抜いた。

剣は虹色に輝いていた。

シオンは最強の剣「スペリオン」を手に入れた!


夕陽の洞窟―――

「おじいちゃーん」

リーンはシオンとガルドを連れて、ここへ再び来た。

「リーンか」

「神さまに会ったのよ。おじいちゃんも、神さまに会ったのね。すごいわ」

「ほっほ・・・リーンよ、わしはもう長くない。これを持って行きなさい」

メビウスは杖の先の珠を外して、リーンに手渡した。

「おじいちゃん・・・」

「平和な世界を、見せておくれ。わしもここで、ずっと見ておる」

「・・・はいっ」

珠の中には、二つの三日月が描かれていた。

リーンは最高の珠「ムーンクロス」を手に入れた!

「もし、そこの戦士殿」

大賢者メビウスは、ガルドに話しかけた。

「東の地・アルカディアに、テッサイの弟子がおるらしい」

「・・・なるほど」

そして彼らは、地上へと戻った。


東の地・アルカディア―――

町を情報を集め、突き止めた。

かつて行ったテッサイの砦に、彼はいた。

テッサイの弟子・イッサイ。

「・・・ガルド様ですね」

「ああ。刀を打って欲しい」

「あなたの刀を打てるとは、光栄です」

ガルドはほとんど使ってはいないが、豪鬼と残月を手渡した。

「・・・片方は我が師・テッサイの打ったものですね。もう片方も、かなりの名刀だ。私が仕上げられるかどうか」

そして数時間。

「できました。『絶鬼』『真月』と名付けましょう」

「・・・ああ」

ガルドは最強の名刀「絶鬼」「真月」を得た!



シオンたちが着々と決戦の準備を重ねている頃、魔族もまた力を蓄えていた。

世界中に魔族は溢れかえる。

それだけではなく、ゼットは自ら魔剣「グランハザード」を作り出し、これを持った。

ジェノは「死神の鎌」にも魔力にも、更なる磨きをかける。

彼はガルムの霊に「豪鬼」を与えた事を、少し後悔していた。

我が魔力は、本当に奴の力を操れていたのか?

人の心とは、脆いものではないのか・・・それが結局、ガルドに力を与えてしまったとは。

ジェノは魔力にも、更に磨きをかけた。

当然ダーク・グレイヴも同じく力を蓄えた。

シルヴィスも、強い魔法使いの肉体と、杖を得た。

彼の杖も、リーンと同じように魔力を高めるためのものである。


更に魔族は、またも城を移すにした。

世界の最北端に、「魔王城」は建設されていった。

その門には「ケルベロス」が放たれ、周りも強力なモンスターで固められた。

魔族と勇者たちの戦いは、着々と迫っていた・・・



三人は、神に言われたとおり、最後の技を編み出していた。


シオンは考えた。

俺がここまで来れたのはガルド・リーンを始めとし、ジョー・ドラン、ヴィオラなど、多くの仲間のおかげである。

この世の全てのものに力を借りて、敵を倒す・・・それが俺に相応しい技。

そしてシオンは精霊の力を十字に込める、「レジェンドクロス」を編み出した。


ガルドは、思い返していた。

あの時戦った父の亡霊・・・父の剣は、あの程度ではなかった。

やはり亡霊だからか、加減したのかは知らないが、弱かった。

かつて最強の剣豪であった父の姿を思い返し、ガルドは思う。

一分のスキも無い、完璧な動き。

重い刀を持ち、それが出来れば・・・

そしてガルドは完全な動きで素早く相手を何度も斬り付ける、「無限斬」を編み出した。


リーンはヴィオラの事を思い出していた。

彼女は自分と同じ、光の属性だった。

最強の魔女と言われ、全ての魔法使いに認められた彼女を尊敬していた。

その魔女の技を使って、仇を討ちたいと思った。

そしてリーンはヴィオラの魔力を感じ取り、「エネルギーレイン」を編み出した。


そして、数日後―――

魔王城を完成させ、全ての準備を終えた魔族たちは、ついに世界中で暴れ始めた。

強力な技や魔法で逆らう者を皆殺しにし、人間たちの創ってきた世界を壊し始めた。

ジェノは新たな世界を創造する為に、この世界を破壊しようと考えたのだった。


しかし対抗勢力はあった。

勇者たちのみならず、人間たちは一致団結して戦った。

その筆頭には、「ドラナグ」のドラン、ジョー、ダッジの姿があった。

また力無き者は世界の中心・シルフ島や南のスズ修道院に集まり、神やマザー、精霊たちによって護られた。


迫り来る魔族たち。

それを見て、人間たちは協力した。

誰もがドランやジョー、ダッジの言う「世界の危機」を信じた。

そしてそれを倒さんとするシオンたちを、人々は「英雄」「勇者」などと呼んだ。


またシオンやリーンを認めた魔法使いたちも、大いに力となった。

「人間」と「魔法使い」は協力し、一つの「人」という種族となっていった。


とにかく世界は、荒れていた。

そして決戦の時は来た・・・

それぞれの最終奥義を完成させた勇者たちは、北へと向かう。

「ガルド、リーン・・・行こう!」

「ああ!」

「ええ!」


人間たちは、勇者たちを見送った。

ジョーは言った。

「シオン、がんばれよ!」

ドランも言った。

「ここは我々に任せて、悪を滅するのだ!」

ダッジも言った。

「ガルド!俺にやられるまで、死ぬんじゃねえぞ!」

メイも言った。

「ガルドー!ぜったいかえってきて、けっこんしようねー!」

マザーも言った。

「リーン、必ず帰って来るのよ」

ミリアも言った。

「あなたたちなら大丈夫よ!」

そして、ライアも。

「シオン・・・待ってるからね」


大賢者・精霊・神も、勇者たちを見送った。

「ほっほっほ、この老いぼれに、平和な世界を見せておくれ」

『そなたたちならば、きっとやってくれる・・・』

火・水・風・地・雷・光・闇・・・全ての力は勇者たちに込められた。


北の魔王城では、魔王は静かに。

ジェノは妖しく笑って。

ダークは剣を光らせて。

シルヴィスは嬉しそうに。

グレイヴはうなり。

それぞれ、勇者たちの到着を待っていた。


勇者たちは、再びグレーデルの地に足を踏み入れる。

今こそ、魔族を倒さなければ。

最終決戦は始まる!

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