ラウドゥーン
〈罪人の塔〉に閉じ込められた罪人の解放――。
ミレイシアの要求にフィナークは鼻で笑った。
「あそこには本当の罪人もいるんだろ?」
「彼らは改めて法で裁くわ。今の罪人を利用して魔力を得る体制を崩さなくては、ヴァルティンは変わらない。それに罪のない人も閉じこめられている。いずれにしてもあの塔はあってはならないの」
「なるほど、スレイヴンを殺して、〈罪人の塔〉の罪人を引っ張り出せばいいんだな?」
「いいえ。父にこの条件を出して受け入れたなら殺さないで欲しいの」
「〈魔術王〉に情けをかけるというのか?」
「信じたいのよ、父を」――
「――父を信じたい。あんたの娘はそう言ったんだ」
〈獅子王〉の手は震えていた。
「……そういうわけにはいかない。〈罪人の塔〉は壊せない」
フィナークは〈獅子王〉の面をはぎ取った。彼は髪をつかんだ。
「いいか、勘違いするなよ。わたしはあんたを生かしたいとは思ってはいないし、ためらわず殺せるんだ。死を選ぶのか?」
スレイヴンは泣いていた。
「助けてくれ……この塔を建てるように言ったのは……」
スレイヴンの側頭部に電撃が走った。〈獅子王〉は白目をむき、一瞬の内に命を奪われた。
「いけないな、スレイヴン。塔の秘密を話すなんて」
フィナークは声に振り返った。そこにいたのは薄黄色の衣を羽織った壮年の男だった。
「〈雷帝王〉ラウドゥーン……」




