表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
失楽園で眠る者――背徳者編  作者: 陸堂 戒
13/29

〈獅子王〉スレイヴン

 フィナークは蜂蜜酒に喉を通した。長テーブルの向かい側には、この城の主〈獅子王〉スレイヴンの姿があった。頬は痩せこけ、目の下にはくまが出来ているその容貌は、一国の主とは程遠かった。彼は鳥を模した冠を被っており、それぞれの指には指輪を嵌めていた。〈魔術王〉ならよく行う虚飾だ。こうして魔力の依代を隠し、敵の〈魔術王〉に能力を誇示するのだ。フィナークの見覚えのある指輪が一つあった。それは渦巻く緑色の宝石が埋め込まれた指輪、魔人イオラスの依代だ。スレイヴンはイオラスと契約している。

「よくぞ宰相のホーキンを連れてこられた」

「彼は復帰するのかね?」

「それなんだがな……彼がこの城に連れてこられたとき、反乱軍に入ろうとしたのだろう? 優秀だったのに残念だ。彼は反逆罪で〈罪人の塔〉へ連れて行かれるだろうな」

 〈獅子王〉は蜂蜜酒を口に流し込んだ。その手は震えていた。おそらく〈死神使い〉の突然の訪問に戸惑いを隠せないのだろう。フィナークは溜め息をついてみせた。

「なあんだ。わたしが連れてきたのは宰相ではなく、罪人だったのか」

 酒を飲み干したとき、スレイヴンが切り出した。

「ところで、衛兵の報告によれば、ホーキンを連れてくる以外に用事があったようですが」

 〈死神使い〉は空になった酒を長テーブルの上に置いた。

「では、仕事の話をさせていただこう」

 スレイヴンは身をこわばらせた。フィナークはそのようすを楽しみながら続けた。

「陛下は政敵が多いでしょう?」

「誰に雇われたのだ?」

 〈死神使い〉はさらに口が輪郭から溢れ出んばかりに笑みを浮かべた。

「いえ、あなたに雇われようと思いましてね」

「わしに?」

「ええ、あなたがお望みなら、反乱軍でも皆殺しにしてみせよう」

「……何が望みだ?」

「さすが話が早い。わたしが出す条件は、〈罪人の塔〉の秘密だ」

「秘密?」

「とぼけられるほど巧みに隠しきれているとは思えんが。わたしの見立てだと、狂戦士の軍団を作っているんじゃないですか?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ