表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
失楽園で眠る者――背徳者編  作者: 陸堂 戒
11/29

潜入

 フィナークは「竜の寝床」の前でおろおろするウラドの姿を見つけた。

「ウラド、イミリアはどこに行った?」

「それが……少し離れた隙にいなくなっちまったんだ」

「何だと?」

 彼の頭に浮かんだのは、傭兵たちの言っていた懸賞金のことだった。

「どれくらいの間離れていた?」

「ほんの数分のことだった。何せごろつきが集まっているだろうから、姫さまに万一のことがあったらと思って、先に入ってようすを見たんだ。確認をとって、宿屋を出たら――」

 まだそんなに遠くには行っていないということか。だが、どっちに行った?

「おそらく懸賞金目当てだろうな。今頃王城に向かっているところだろう」

「そんな……姫さまの身に何かあったら――」

「落ち着けウラド。むしろ好都合だ。このまま奴の城に乗り込むぞ」

 ウラドは恐怖を忘れて殺し屋を罵った。

「あんた気が狂ったんじゃないのか? 〈魔術王〉から姫を救出するなんて無理だ!」

 フィナークは籠手を嵌めて、ウラドに向き直った。

「誰が救出に行くと言った?」

「何だって?」

 ウラドは今にもつかみかかりそうな剣幕でフィナークに歩み寄った。それでも〈死神使い〉は涼しい顔だった。

「わたしは金さえ積めば、どんな〈魔術王〉だって葬る。だが、その何倍の金を積まれようと、護衛と救出の仕事は請けない」

 宰相はフィナークの胸ぐらをつかんだ。

「あんたは人殺ししかしないのか?」

「こんな手になったら、他に何が出来るというのだ?」

 〈死神使い〉の声は静かなものだったが、その奥にある怒りも宰相は読み取った。彼は胸ぐらから手を離し、自分の怒りを振り払うかのように首を横に振った。

〝よくも我が気高い手を侮辱したな。そなたは何度この手に助けられた?〟

 フィナークはエヴィレイの言葉を鼻で笑った。

「おそらく、わたしの苦悩の数だけ」

「すまなかった。つい熱くなってしまったのだ」

 〈死神使い〉の顔は、ウラドが会ってから見た中で最も穏やかなものだった。

「この国の姫は家臣に慕われているのだな」

「スレイヴン陛下もかつてはそうだった――こうしてもいられない。それで、どうやって城に入るんだ?」

「そんなの簡単だ。あんたの協力さえあればな。姫のために命をかけるか?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ