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銃による決闘者達
銃による決闘にはこのような逸話もある。
三銃士や巌窟王の作者であるアレクサンドル・デュマ。
彼は友人と激論になり決闘によって決着をつけることになった。
互いに銃の名手なので相打ちの可能性が高かった。
そのため、くじ引きで決め、どちらか一方が自分を撃つという約束をした。
デュマはハズレを引いた。
彼は銃を握りしめると自室に籠もった。
誰もそれを引き留めない。
やがて一発の銃声が響いた。
誰もがデュマの死を確信した。
かけつけた仲間達が彼の部屋でみたのは、銃を手に恐れおののくデュマの姿だった。
「信じられない。私という者がこの距離で打ち損じたのだ」
これくらいの図太さは必要である。
ちなみにロシアの詩人であり小説家のレールモントフは、プーシキンの無意味な決闘での死を悼む詩によって世に認められた。
その数年後、彼自身はもっとばかげた決闘で死んだ。