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脳が体を動かすのか体が脳を動かすのか
西洋医学の歴史において脳の重要性は低かった、というよりひくく思われていた。
エジプトのミイラづくりにおいては鼻汁をだすための器官として捨てられているし、中世まで魂や思考は心臓に宿ると考えられていた。1747年にフランスの医師ド・ラメトリがその著書「人間機械論」で脳が思考をするのだと発表して注目されだした。
しかしリベットの実験というものも存在する。行動の意図が被験者にいつ生まれるかを決定するために、時計の針を見続けてもらって、秒針がゼロのときにボタンを押してもらった。
その場合、 被験者の脳の活動が、意識的に動作を決定するおおよそ1/3秒前に開始したことを発見した。つまり指が動いた後に脳が意識決定の反応をしたことになる。
もっと簡単にいうと「指が動いた後に、脳が動けという意思決定を行った」ということになる。
はたして我々の体を支配している部分はどこなのであろうか。