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春と出会いと、それからそれから。

掲載日:2026/06/25

「高校生活って、なんか全部がキラキラして見えるよね?」

そんな気持ちをそのまま物語にしました。

主人公の春彦は、ちょっと不器用で、ちょっと空回りしがちで、でも誰よりも青春に憧れている少年です。

彼が桜の下で出会ったリヴィとの関係が、これからどう変わっていくのか。

あなたもぜひ、彼の“新しい春”を見届けてください。

中学の頃は災難続きだった。

クラスじゃ浮くし、部活は散々。

おまけに好きな子には、こっぴどくフラれるしで、

もうどうしようもない学校生活だったよ。

……だけど、今日からは違う。

「なんて言ったって高校生!憧れのスクールライフが僕を待っているんだ。」

スニーカーを固く結ぶ。

全身に力が駆け巡る。

「最終チェック、いってみよー!!」

姿見の前に立ち、上から下まで確認する。

「髪良し、面良し、剃り残し無しっと、あとは―――」

鏡の前で口角をニカッと上げた。

「笑顔良しっと!!準備は万端だな。」

カバンを背負い、後ろに向かってこう言った。

「いってきまーーす!!」

***

スニーカーのかかとを鳴らし、桃色に染まった並木道を歩いていく。

「うわぁ、桜咲く春ってこういう感じか。キレイだな~。」

パシャパシャと、目の前の光景を写真に収めるくせ毛の少年。

―――そう、まぎれもなく僕である。

「これから毎日ここを通るのか、しかもあの人たちと一緒に……。

うわぁ、楽しみだ~。」

周囲には、同じブレザーを着た少年少女達。

これから始まる学校生活、皆一同に胸を躍らせている。

当然、僕もその筆頭であるのだが。

「確か今日の予定は、入学式だったか?持ち物は筆記用具と、

学生証………は確か右ポケットに入ってたはず。」

確認ついでに、ポケットの中身を確認した。

―――が、

「あ、あれ?無い、無いぞ?さっきまで右ポケットにあったはず……。」

続けて左ポケット、胸ポケット、カバンを探すがどこも見つからない。

必死になって探すほど、不安の色が濃くなっていく。

《うそだろ?よりにもよって、高校の入学式前なのに!

これじゃあ、中学の二の舞いだぞ?!》

「ど、どうしようっ。どこにやっ―――」

「あの~、もしかして “やまだ はるひこ” さんですか?」

緊張がピークに達したとき、前方から声が掛かった。

「へっ?」

顔を上げるとそこには、翡翠の目をした少女が立っていた。

「そうですけど……どうして名前を?」

そういうと彼女は、ポッケに手を入れ。

「これ、さっき落としてましたよ。」

差し出されたのは、見覚えのある水色の手帳。

もれなく写真とフルネームつきだ。

「そ、それ、僕の学生証です!!」

彼女からおずおずと受け取り、我が子の様に抱きしめる。

「よかった~!!ほんとに見つかって!!」

「ふふふっ、喜んでもらえて何よりです。」

少女はまるで、聖女のような微笑みをたえている。

瞬間、心拍数の上昇を感じた。

ここ数年来、ご無沙汰だった感情が、熱を帯びて一気に膨れ上がる。

「それでは―――」

「待ってください!!」

気づいた時には、その背を呼び止めていた。

「名前っ、なんて言うんですか?」

ピタッと止まる彼女。

金糸のような長髪が、風に乗って煌めいた。

それから、クルリと振り返り、

「 “百合園・オドネル・オリヴィア” です。リヴィって呼んでくださいねっ。」

パァ~っと、周囲に花が咲く。

満開の桜にも負けない、美しく可憐な一輪花。

僕の青春の一ページが、華やかに彩られていく。

「リヴィさん、か……。」

彼女が行った後に、一人でポツリと呟いた。

「同じクラスになれたらいいな。」

そんな言葉が飛び出した、今日この頃だった。


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