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ICE BREAKER  作者: 山吹 ことり


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3/6

向かいの席


 打ち上げの店は、少し騒がしかった。

 グラスの音と笑い声が、妙に耳につく。


 向かいの席で、あのバンドが話題になっている。

 さっきまで同じステージに立っていたはずなのに、

 もう少し遠い場所にいる感じがした。


 「音、安定してたよね」


 自分の口から、そんな言葉が出る。

 嘘ではない。

 実際、崩れるところはなかった。


 「社会人で、あれはすごいと思う」


 周りも頷く。

 場は、穏やかにまとまる。


 ボーカルは、笑って頷き、グラスを持ち上げる。

 視線が一度だけ落ちた。


 その空気を作ったのが自分だと分かっていて、

 少しだけ、胸の奥がざらついた。


 安定。

 すごい。

 便利な言葉だ。


 褒めたはずなのに、

 自分はまだ、何も受け取れていない。


 グラスを傾けながら、

 もう一度ステージの音を思い出す。


 正直に言えば、

 羨ましかったのは、

 うまさじゃない。


 名前を呼ばれたときの、

 あの自然さだった。


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