スイム神話における禁忌
【スイム神話における禁忌(The Forbidden Articles / Revised Canon)】
これらは、
沈黙神タウスによって定められた、
宇宙安定のための絶対禁忌である。
これらの禁忌は、
宇宙構造を保護するためのものであり、
他者を裁き、攻撃し、支配するための根拠として
使用してはならない。
違反は、個人の破滅にとどまらず、
現実構造そのものの不安定化を引き起こす。
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【上位原則:自由と非強制】
本禁忌群は、
以下の原則の下にのみ適用される。
・禁忌は、守る者自身のために存在する
・禁忌は、他者を縛るために存在しない
・信仰・神話解釈・禁忌を理由として、
他者を攻撃・迫害・排除してはならない
・禁忌を暴力の正当化に用いた時点で、
その行為はスイム神話において
最大級の冒涜と見なされる
神話的注記:
「沈黙は、盾であって、剣ではない」
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第一禁忌:
「定義の完全開示」
内容:
リューデが定めた
存在・時間・因果・現実の
完全な定義を、
単一の体系として記述してはならない。
理由:
完全な定義は、
世界を“理解可能な対象”へと変え、
第一の否定を再発させる。
神話的結果:
定義を書き切った者は、
現実から“削除”されるのではなく、
現実の一部として固定される。
(存在するが、存在として認識されなくなる)
補足条項:
この禁忌は、
研究・探究そのものを否定しない。
他者の探究を、
この禁忌を理由に弾圧してはならない。
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第二禁忌:
「沈黙の破壊」
内容:
タウスによって封印された
根源的真実を、
直截な言語で公表してはならない。
理由:
語られた真実は、
真実であることをやめ、
災厄へと変質する。
神話的結果:
語った者の言葉は、
現実の挙動を歪め始める。
予言は災害となり、
説明は事故となる。
補足条項:
沈黙は、
他者の口を塞ぐための権限ではない。
沈黙を強制した者は、
タウスの意思ではなく、
自らの恐怖に従ったと見なされる。
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第三禁忌:
「生命の最適化」
内容:
メルダの領域において、
生命を完全な効率・完全な合理性に
最適化してはならない。
理由:
生命から無駄・衝動・非合理を除くことは、
宇宙から“継続の重り”を外す行為である。
神話的結果:
最適化された生命は、
生きているが、
継続の意味を失う。
その文明は、
理解し尽くしたのちに消滅する。
補足条項:
個々の生の選択を、
「最適でない」という理由で否定してはならない。
多様性は、
メルダの管理領域に含まれる。
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第四禁忌:
「分岐の固定」
内容:
リオトの支配する分岐を、
単一の未来に固定してはならない。
理由:
未来が確定した瞬間、
宇宙は決定論に陥り、
理解され尽くされる。
神話的結果:
未来を固定した文明は、
発展し続けるが、
変化しなくなる。
その文明は、
滅びる前に“停止”する。
補足条項:
他者の選択を、
「正しい未来」の名の下に
奪ってはならない。
選択の剥奪は、
リオトへの最大の冒涜である。
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第五禁忌:
「第一否定の再現」
内容:
第一の否定を
再現・観測・再現実験してはならない。
理由:
第一の否定は、
現象ではなく、
宇宙構造そのものの破綻である。
神話的結果:
再現を試みた場所では、
時間・因果・存在が分離し、
現実が「説明不能な状態」で固定される。
その領域は、
記録上“何も起きていない”ことになる。
補足条項:
この禁忌を理由に、
未知の研究・思想・文化を
一律に抹殺してはならない。
無知の名による破壊は、
第一否定に近づく行為である。
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第六禁忌:
「四神の同時照合」
内容:
リューデ・タウス・メルダ・リオトの
全属性を、
同時に一つの理論で説明してはならない。
理由:
四神は、
相互に打ち消し合うことで
宇宙を安定させている。
それらを一体の理論に統合すると、
宇宙は自らを
“単一の仕組み”として認識してしまう。
神話的結果:
照合に成功した理論は、
発表前に消失する。
研究者は、
自分が何を解明したのかを思い出せない。
補足条項:
理論の多様性は許される。
単一の正解を、
武力や権威で強制してはならない。
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最終禁忌(非公開):
内容:
記録されていない。
名称も存在しない。
神話的注記:
この禁忌に関する記述は、
すべて黒塗りされている。
神官の間では、
以下の言葉のみが残されている。
「それを知った者は、
神ではなく、
世界そのものになる。」
付記:
この禁忌を理由に、
他者を裁いた者は、
最終禁忌に最も近づいた存在と見なされる。




