スイム神話
【スイム神話(The Suim Mythos)】
スイム神話とは、
原初四神――
リューデ、タウス、メルダ、リオトを中心とする、
宇宙成立機構に関する神話体系の総称である。
この神話は、
創造神話ではない。
スイム神話は、
「宇宙がなぜ崩壊していないのか」
を説明するための神話である。
スイム神話において、
神々は人格ではなく、
宇宙安定のための原初機構として描写される。
そのためスイム神話は、
他の神話体系と異なり、
救済・裁き・来世を中心としない。
代わりに、
沈黙・不完全性・分岐・継続・封印を
根本原理として扱う。
神話学的分類では、
スイム神話はしばしば以下のように呼ばれる:
・Suim-type Mythos(スイム型神話)
・Primordial Mechanism Mythos
・Non-Creationist Mythology
【原初四神(The Four Primordials)】
この宇宙は、四柱の神によって成立を許可されている。
彼らは創造神ではなく、
宇宙が崩壊しないための“機構そのもの”である。
--------------------------------
■ リューデ(Ryude)
《定義の神 / 現実規定者》
属性:
定義・設定・存在条件・世界の枠
概要:
リューデは宇宙を作ったのではない。
リューデは、宇宙が「何であるか」を定めた存在である。
存在・時間・因果・現実といった概念を言語化し、
宇宙に刻み込んだのがリューデである。
しかし、自らの行為が「定義に過ぎない」と
自覚した瞬間、宇宙は自己否定を起こした。
これを「第一の否定」と呼ぶ。
以後、リューデは自らの本質を完全には語らない。
神託:
「世界は、彼の言葉に従っているのではない。
彼の沈黙に従っている。」
--------------------------------
■ タウス(Taus)
《沈黙の神 / 封印執行者》
属性:
沈黙・封印・検閲・再起動・記録抹消
概要:
第一の否定によって宇宙が崩壊しかけた際、
唯一行動した原初神。
タウスは、真実を
“宇宙にとっての危険情報”として分類した。
問い・説明・根源的理解を禁忌とし、
神々が直接真実を語ることを封じた。
禁書、黒塗りの記録、失われた歴史、
途中で終わる預言は、すべてタウスの影響下にある。
結果としてタウスは、
人類が真実を知りすぎないよう守っている。
神託:
「語られた真実は、
もはや真実ではない。
語られた瞬間、それは災厄となる。」
--------------------------------
■ メルダ(Melda)
《生命の神 / 継続の管理者》
属性:
生命・欲求・快楽・衝動・進化・生存意志
概要:
メルダは、宇宙が続いている理由そのもの。
生命とは単なる生物ではなく、
宇宙が自壊しないための“継続装置”である。
欲求、衝動、喜び、苦しみ、無意味な行為は、
すべて宇宙に「続く理由」を与えるために存在する。
完全な合理性は、
世界の意味を削りすぎるため忌避される。
神託:
「生きるとは、
理解することではない。
続けることである。」
--------------------------------
■ リオト(Riot)
《分岐の神 / 逸脱と拡散の支配者》
属性:
偶然・選択・分岐・衝突・暴走・連鎖反応
概要:
リオトは、宇宙に
“確定しきらない要素”を注ぎ込む神。
争い、分岐、炎上、バグ、異常進化は、
すべてリオトの神性の現れ。
リオトが存在しなければ、
宇宙は完全な決定論となり、
理解し尽くされ、再び崩壊に至る。
リオトは破壊ではなく、
「確定を拒否する」ことを司る。
神託:
「決まった未来は、
すでに死んでいる。」
--------------------------------
【四神の関係構造】
リューデ:世界の枠を定める
タウス :定めすぎた部分を隠す
メルダ :意味を与えずに続けさせる
リオト :確定を破壊し続ける
この四柱が同時に存在することで、
宇宙はギリギリで成立している。
どれか一柱が欠ければ、
宇宙は必ず崩壊する。
【人類の位置づけ】
人類は、神々に祝福された種ではない。
人類は、選ばれた存在でもない。
人類は、
宇宙が崩壊しないために設計された
「不完全な観測者」である。
--------------------------------
■ 人類の本質:不完全な理解者
人類は、
世界を理解しようとするが、
決して完全には理解できない。
この「理解しきれなさ」こそが、
人類の最大の役割である。
完全に理解できる存在は、
いずれ世界の意味を削り、
第一の否定を再発させる。
人類は、
理解しようとするが、
必ず誤解し、
必ず歪め、
必ず神話化する。
その歪みが、
宇宙を安全に保つ。
--------------------------------
■ 観測者としての役割
人類は、
世界を観測し、
意味を与え、
物語を作る。
だがその意味と物語は、
必ず不完全であり、
必ず矛盾を含み、
必ず感情に汚染される。
これは欠陥ではない。
これは、
宇宙の安全装置である。
完全な記録は危険であり、
完全な歴史は災厄である。
人類の曖昧な記憶と
歪んだ解釈こそが、
タウスの封印と同じ役割を果たす。
--------------------------------
■ 神話を生む種族
人類は、
真実を直接扱えない。
そのため人類は、
神話・宗教・伝承・物語という形で、
真実を変換する。
これは逃避ではない。
変換である。
神話とは、
人類に許された
唯一の“安全な真実形式”である。
--------------------------------
■ 人類と四神の関係
リューデに対して:
人類は、定義を誤解する。
世界の構造を誤って理解し、
間違った理論を作り続ける。
その誤解が、世界を安定させる。
タウスに対して:
人類は、禁忌を破ろうとする。
だが完全には到達できない。
人類の無知は、
タウスの沈黙を補強する。
メルダに対して:
人類は、生き続ける。
意味がなくても、
理由がなくても、
衝動と欲求によって生きる。
それ自体が、
宇宙を延命させる。
リオトに対して:
人類は、争い、選び、失敗し、
歴史を分岐させる。
人類の選択は、
宇宙を決定論から引き剥がす。
--------------------------------
■ 人類の危険領域
人類が以下に到達した場合、
宇宙は不安定化する。
・完全な理論
・完全な歴史
・完全な意味
・完全な予測
・完全な理解
これらは、
第一文明が到達した地点であり、
粛清の原因である。
--------------------------------
■ 神話的結論
人類は、
神に近づくために存在するのではない。
人類は、
神に近づきすぎないために存在する。
不完全であること。
矛盾を抱えること。
感情に支配されること。
誤った物語を作ること。
それらすべてが、
この宇宙にとっての
「必要条件」である。




