第25話『放っておけなくて』
【主な登場人物】
『師匠』
名前:マナ・アスター
性別:女性
種族:ハイエルフ(絶滅危惧種)
年齢:400歳オーバー
容姿:身長140cm エルフ耳 色白 華奢な体型
紫がかった白く長い腰まである髪 金色の瞳
服は白系のワンピースタイプの服が多め
外出時はその上に黒のローブとツバ広の魔女帽子
備考:一人称は「ワシ」 天才魔法技術者、及び魔術師。別名魔術おばけ。
王宮直属の魔術研究機関に勤めていた過去を持ち、数え切れないほどの魔術やそれに関する技術を開発した。
しかし、ものぐさな上に人嫌いであり、面倒事に巻き込まれる気配を察して逃げるように研究所を退職。
それ以来、研究者時代に稼いだお金で買った土地と森で、ダイナを拾うまでは悠々自適な一人暮らしをしていた。
未来から来たという大人になったダイナの話を聞いて強い後悔と責任感を覚え、共に未来を変えようとしている。
『弟子』
名前:ダイナ・アスター
性別:男性
種族:幻魔族(絶滅済みとされていた)
年齢:12歳
容姿:身長152cm(ケモミミを含まない) 狼のような黒い獣耳と尻尾 浅黒い肌 可愛い系な顔立ち 標準体型
赤みがかった黒色で前髪長めの無造作ショートヘア こめかみ辺りからは灰色で小ぶりな巻角 赤い瞳
冬以外は半袖半ズボンで居る事が多い 中でもドラゴンが刺繍された赤いシャツがお気に入り
学校へ行くときは、その上から学校指定の黒いフード付きローブを着用
備考:一人称は「僕」 マナの弟子にして、古に絶滅したとされる幻魔族の末裔の少年。
ある雨の日に、母親からの手紙と共にマナの家の前に置かれた籠の中に入れられていた。
12歳になって学校に通い始めるまで森の外に出たことが無く、少し世間の常識とはズレている所がある。
好きな事は読書と料理、マナに教えてもらう魔術の勉強。最近はそれに学校へ行くことも追加された。
マナの事はもちろん好きだが、その感情の正体や意味を本人はまだ完全には理解していない。
ずっと怪しんでいたデュオスの事を現在は「未来から来た自分とマナの子供」だと勘違いしている。
『もうひとりの弟子』
名前:デュオス(未来のダイナ)
性別:男性
種族:幻魔族
年齢:不詳(見た目は20代後半くらい?)
容姿:身長178cm(ケモミミを含まない) 狼のような白い獣耳と尻尾 浅黒い肌 すっかり大人の顔立ち がっちり体型
ストレスで真っ白になった長いやつれ髪 こめかみ辺りからは黒色で立派な巻角 本来赤の瞳はマナと同じ金色に偽装している
時間遡行の影響で部分的に真っ黒に変色してしまった身体を隠すため、長袖長ズボンでいる事が多い
外出時には、こっちに来てからマナに買い与えられた黒いロングコートを身に纏う不審者スタイル
備考:一人称は「俺」 マナと結婚した未来から来たというダイナ。
ある雷雨の日に落雷と共に全裸で家の前に現れ、不審者だと思ったマナに拘束・保護された。
同じ時間軸に現在と未来の同一人物が存在するという時間的矛盾の発生を回避するために、過去の自分であるダイナには記憶喪失という事で通していたが、現在はダイナの思わぬ勘違いによって2人は父子という事になっている。
未来から来た理由は、この先に待ち受ける最悪の未来を変える為だという。
【その他の登場人物】
『おさぼりキャット』
名前:ミナ・ホロス
年齢:12
種族:半獣人
性別:女性
容姿:身長152cm 健康的な肌色 小柄ながらすらりとした体型
ふわふわ灰色ショートヘア 猫目 灰混じりの青瞳い 猫系の耳と尻尾 毛色も灰
基本的に学校では学校指定のローブに、ズボン姿で居る事が多い
備考:一人称はボク 中性的でミステリアス サボり魔
母がエルフ、父が獣人 魔術より身体動かすほうが得意 鶏肉が好物
同い年にも関わらず上級クラスに通っているというダイナに、少し思う所があるらしい。
とある一件以来、やけにダイナとの距離が近くなっている。
ラギル王子の密会相手である青髪の幻魔族の男の話を聞いたデュオスは、ある疑念を晴らすためにマナには黙って直接その男を探しに行った。
その結果、男の正体は25年後の未来にて復讐のための侵略戦争を先導し、デュオスとマナの娘キャロルが死亡する原因にもなった幻魔族の男、エクデスである事が判明。
顔を見た途端、怒りに我を忘れたデュオスはそのままエクデスを本気で殺すつもりで襲いかかったものの、あと少しの所で惜しくも逃げられてしまったのだった。
「……しかしのう、厄介な事をしてくれたな?デュオスよ。」
散々泣いた後で、遅めの昼食に外食へと出かける事にした2人は、以前にもダイナを含む3人で訪れたレストランへとやってきていた。
マナは注文したサラダを食みながら、じとりとした目と共にフォークの先を向かい側に座るデュオスへと差し向ける。
「本当に申し訳ありません……。」
こっぴどく怒られ相当反省した様子のデュオスは、耳を平たく畳んで俯きすっかりと小さくなってしまっていて、眼の前に並べられた美味しそうな肉料理にもあまり手がついていない。
結果としてデュオスに大した怪我は無かったが、今重要なのはそこでは無かった。
「せっかく薬の件の尻尾を掴みかけたというのに、これでは当分ヤツも警戒してしまって、迂闊に姿を見せてはくれぬじゃろう……。」
「はい……。」
時間をかけてじっくりと相手の正体を探って行き、確実に物証となる物を手に入れるつもりだったマナにとっては、今回のデュオスの暴走行為は当然、計算外の物だ。
一見同族と見られるデュオスにいきなり襲撃された上に本気で殺されかけたともなれば、エクデス側が警戒をするのは当たり前の事であり、それは即ち薬の捜査が進みづらくなるという事でもあった。
とはいえ、ラギルがエクデスから毒薬を受け取ったのは確認済みの事実であり、後はラギルがそれを用いてリュケウス王を暗殺しようとしている事を証明できれば話は早いのだが──。
「ソフィエル曰く、彼奴は用心深い男じゃと聞いている。王宮内にみすみす証拠となるような物を置いておくとは考えにくい……。」
「そうですね……だったらどこか外に隠してあるとかでしょうか?」
王宮内を隅々まで捜索してもそれらしい物が見つからないのであれば、それはそもそも王宮の外にあるか、もしくは絶対に人の手が入らない所にあるかだろう。
「かもしれんが……そのような物を外に放置して誰かに持っていかれでもしたら事じゃし、かと言って物が物だけに他人に預けるようなリスクは冒さないじゃろう。」
「うーん……大事な物の隠し場所、かぁ……。」
しばらく悩みながら食事を続ける2人ではあったが、結局食べ終わるまでにその答えが出る事は無かった。
そうして、そろそろ会計を済ませて帰ろうかという時。
「……む?しまった、財布を忘れた……。」
「えぇっ!?ど、どうするんですか師匠……!?」
「案ずるな、少し待て……。」
家を出る時にはまだ少し考え事をしていたのもあり、マナは財布を持ってくるのをうっかりと忘れてしまったらしい。
あわや無銭飲食という危機的状況に慌てふためくデュオスを、彼女は軽く手で制して落ち着かせる。
それから何やら目を閉じて集中し始め、少しして指を鳴らした、次の瞬間。
少しの金属音が混ざったような何かが落下する音と共に、突然マナの膝の上へと虚空から財布が出現したのだ。
「!?」
「……うむ、やはりいつもの場所にあったな。」
驚愕するデュオスに向けて財布を軽く持ち上げれば、マナはにやりと笑って見せる。
それは視界内の物質を手元に引き寄せる物質転送の発展系であり、極めて習得難度が高いとされる上級魔術、空間転送であった。
視界内という制約がある物質転送とは違い、術者が記憶している場所からならどれだけ離れた距離であっても手元に持ってくる事ができる、というのが強みの魔術だ。
記憶力はもちろんの事、取り寄せ対象だけを指定する繊細な魔力制御が要求される魔術である為、基本的には今回のマナのように定位置に置いてある馴染みの物を取り寄せる、という使い方が主である。
そんなマナのスゴ技に小さく拍手をしたデュオスだったが、途中である事に気が付いたように突然声を上げる。
「流石です師匠!……あっ!」
「む……?どうした?」
「それじゃないですか!?大事な物の隠し方……!」
どうやら今のマナの空間転送を見て閃いたらしい。
要するにラギルもまた、マナのように空間転送を用いて必要な時にだけ毒薬を手元に取り寄せているのではないか、という事だ。
興奮気味に目を見開いて自信満々な様子のデュオスだったが、それには大きな見落としが1つあった。
「……考えとしては悪くはないが、コレが使える等級の魔術の腕があるならば、わざわざ馬車で移動しなくとも直接飛べばよかろう?」
「うっ……!それは確かに……。」
先程も述べたようにこの魔術の習得難度は極めて高く、これを習得できる魔術師なら他の転移術など余裕で使いこなせるのは当然で、もっと言えば密会を行う際にわざわざ従者を馬車で待機させるほど人目を気にしているのであれば、ラギル一人で空間転移をしたほうが早くリスクも少ないという物だ。
「しかしまぁ……そうじゃの。やはり叩くなら、本人を……か。」
「叩く、ってまさか……?」
考えるような仕草を取りながら不穏な事を口走るマナに、デュオスはやや緊張したような表情を向ける。
すると彼女は席を立って、不敵でかつどこか邪悪に笑いながらデュオスの肩へぽんと手を置いた。
「……頑張るんじゃぞ♥」
「えっ???」
◆◆◆
時は少し遡り、お昼頃のアステリア魔法学校。
いつものように校舎の屋根上でのランチタイムを迎えるダイナだったが、近頃は少しだけ変化があった。
「もぉ……ミナさん、そんなにくっつかれると食べにくいですよぉ……。」
少し困ったように声を上げながら、デュオス手製のチキンサンドにかじりつくのは、背中に大きな猫──もとい半獣人の少女、ミナを背負ったダイナだ。
あの一件があってからと言うもの、何やらミナはやけにダイナにやたらと懐いてしまったようで、昼休みの間はこうして身体のどこかしらでくっついて来るようになっていた。
「飛び級くんは暖かいね……お日様みたいだよ。」
「そうですか……?ってミナさん!」
その温もりを確かめるように背中側から抱きついて、脇腹やお腹やらをぺたぺたと弄りながら楽しげに笑うミナに、苦笑するダイナが彼女の方を向いた、その瞬間。
ミナはダイナの死角から素早い動きでチキンサンドの具だけを1欠片つまみ取り、有無を言わさず自分の口へと放り込んだ。
「んー……やっぱお肉は鶏が一番だね。」
「もうっ、欲しいならちゃんと言ってくださいよ……。」
まんまと盗み食いに成功した後、ソースで汚れた自らの指をぺろぺろと舐め取りながら満足げに笑うミナに、ダイナは少し呆れながらもハンカチを取り出して、彼女へとすっと差し出す。
するとミナはその差し出されたハンカチを少しだけ見つめた後、何やらにまっと笑ったかと思えばダイナの背中から離れて、隣へと座り直した。
「飛び級くんは底抜けにお人好しだねぇ……。」
「普通ですよ、多分……。」
差し出されたハンカチでちょいちょいと指を拭いながらにやにやとした表情を浮かべて、ミナはそのすらりとした細長い尻尾を楽しそうに揺らす。
これくらい普通だ、なんて自ら答えるダイナだったが、森から出ることも無く長らくマナと二人だけの暮らしをしてきた彼にとっては、学校に通って経験する事全てがそれまでの生活ではあり得ない物ばかりで、とても刺激的だと感じていた。
つまり今、ダイナにとっての普通という価値観に大きな変化が押し寄せて来ている真っ最中なのだ。
「……また指が汚れるといけないから、食べさせてくれない?なんて冗談──。」
「良いですけど……はい、あーん。」
「うぇっ!?あ、あーん……?!」
自らの顎に人差し指を当てて、物欲しそうな顔をするミナが冗談のつもりでそう口走ると、ダイナはあっさりと了承して何の惜しげも無くチキンサンドを差し出してくる。
少しからかうだけのつもりだったにも関わらず、予想外の反応を返されたミナは逆に焦ってしまって、言われるがままに精一杯に小さな口を大きく開け、ダイナにチキンサンドを食べさせてもらう。
そうして咀嚼している間、何も言わず赤い瞳でまっすぐにこちらを見つめてくる彼に、ミナは少々の気不味さを感じながらも目を逸らすに逸らせず、結局飲み込むまで見つめ合う形となった。
「……美味しいですか?」
「えっ、あっ、う、うん!美味しいよ!ソースが効いてて最高だね!」
「それは良かったです。(やっぱデュオスさんの料理は凄いな……今度作り方聞いて、師匠にも食べさせてあげよう。)」
様子を伺うように見つめ続けるダイナのそんな問いかけに、少し遅れてハッとしながらもミナはどこか照れ臭そうに笑って、素直な感想を述べる。
するとダイナはそんなミナの言葉に満足したのか、少し得意げに笑った。
息子が作る料理がこんなに美味しいという事は同時に、将来子供に教えているであろう自分の料理の腕にも磨きがかかっているという事だからだ。
母親が料理上手になって子供に教えている、という可能性はもちろん1ミリも考えていない。
「……そういえばミナさん、僕からもらう時以外お昼食べてるの見たこと無いんですけど……普段から食べない派なんですか?」
食べかけのチキンサンドを少し食べ進めた後、ダイナは少し心配そうな表情で、思い出したように問いかける。
こうしてちょくちょくダイナからお弁当を分けてもらっているという事は、それなりにお腹が空いている筈なのに、普段はどうしているのかと気になってしまったのだ。
「あー……うん、最初は学校の食堂に行ってたんだけど……人が多くて落ち着かなくってさー。だから基本は食べないかなー……。」
恥ずかしげに苦笑しながら目を逸らし、頬を掻いてどこか遠くを見つめるミナの姿に、ダイナの中で何かの感情が沸き起こる。
それは、放っておくとそこら辺に服を脱ぎっぱなしにしてしまう師匠に対する、お世話したい欲とも言うべき何かに似た感情だった。
「ちゃんと食べないと、身体に良く無いですよ!」
「それはわかってるんだけどねぇ……。」
「……。」
真剣な表情でそう訴えかけるダイナの言葉にも、ミナは改善する気が無いのか笑って誤魔化すような曖昧な態度を見せる。
だが、その行動がダイナのお世話欲に火を付ける。
こういう事を言うヒトは口だけで結局やらないのだと、彼はこれまでの経験で理解していた。
となれば、方法は一つだ。
「……ミナさん!」
「っ!?は、はい!なん、ですか……?!」
突然ミナの手を力強く握ったダイナが、彼女を真っ直ぐに見つめ始める。
唐突なダイナのその行動に驚いて、緊張からか思わず敬語になってしまったミナは、そのあまりに真剣な表情にたじろいで、青い瞳を激しく泳がせる。
「嫌いなものはありますか!」
「え、えっ?嫌いな物……?」
鬼気迫る勢いでそんな質問をしてくるダイナに少し拍子抜けしてしまったミナは、戸惑いながらも必死に考える。
好きなものなら今自分の目の前にあるが、嫌いな物と言われると案外すぐには出てこない。
それに質問の意図もいまいち理解ができず、緊張や混乱、そして何より手を強く握られている恥ずかしさからミナの思考は止まってしまいそうだった。
「明日から、ミナさんのお弁当……僕が作りますから!」
「……!?!?」
強い意志を感じさせるようなやる気に満ちた瞳で、唐突にそんな宣言をするダイナの言葉に、いよいよ持って処理落ちしかけたミナの脳内は、一気に大量の?で埋め尽くされる。
昼食を食べていないのは言ってしまえば自分のせいで、その気になればいつだって買いに行けるのだから、わざわざそんな事をしてもらう理由は無い。
ましてや、幼少からの長い付き合いがあるわけでも無く、まだそういう関係に至っているわけでもない相手に対してならば尚更の事だ。
当然ここは相手の負担を考えるなら断るべきで、そんな事はミナ自身もわかっている、はずなのに──。
「……きのこ系が苦手なだけで、あとは別に……。」
「わかりました!」
顔から火が出てしまいそうな程に頬が熱くなってしまっているのを自覚しながら、ミナは手の甲で口元を隠し、らしくないぼそぼそとした声で返事をする。
そうしなければ、少しでも気を緩めてしまったら、この必死に隠している口が勝手ににやけ始めて止まらなくなってしまいそうで。
元気良く返事をして、もう既に何を作ろうかと考え始めているらしいダイナの眩しい笑顔を、ミナはしばらく直視する事が出来なかった。
◆
放課後になってようやく冷静さを取り戻したミナは、やはりダイナにお弁当の件は断ろうと考えて、校舎の入り口で待っていた。
するとそこへちょうど授業を終えたダイナがやってきて、ミナに気がつくと嬉しそうに手を振りながら近づいてくる。
「ミナさん!珍しいですね放課後に会うなんて。……誰か待ってるんですか?」
「いやっ、その……ちょっと、良い……?」
まさか自分が待たれているとは夢にも思っていないダイナは、ニコニコと笑いながら問いかける。
一方でミナは、会話の内容を他の誰かに聞かれてダイナがあらぬ誤解を受けないように、と考えて校舎裏を指差し彼を誘導する。
それがまるでこれから何かしらの告白が行われるかのように見えてしまう事に、本人達はまだ気が付いてはいない。
「その……昼に言ってたお弁当の事なんだけど──。」
「はい!あ、まだ何か他に苦手な物ありましたか?」
「そうじゃなくって、えっと……。」
改めてお弁当の話を切り出したは良いものの、物凄く張り切っている様子のダイナに何か罪悪感のような物を覚えて断りづらくなってしまったミナは、一生懸命に断る為の言い訳の言葉を探す。
「あ!ほら、その……飛び級くんはそもそもお弁当だろう?自分の分だけでも大変だろうに、ボクの分までなんて────。」
「自分の分はデュオスさんが作ってくれてるので、大丈夫です!」
ようやく思いついた言い訳に対し、ぐっと親指を立てて自信満々に答えるダイナの様子に、ミナはまた頭の中に宇宙が広がりそうになる。
突然知らない人の名前が出てきた上に、自分の分はその人が作っていると言うのだ。
それはつまり自分の分を作るついでにとかでもなく、本当にただミナのためにだけお弁当を作ると言っているわけで、彼女にとっては本当に理解ができない事だった。
「……あ、デュオスさんっていうのは家で一緒に暮らしている……兄……兄弟子みたいな人で──!」
「ふ……ふふふっ!あはははっ!」
「ミ、ミナさん……?」
不可解そうな顔をしているミナを見て、そうだまだ説明してなかったと慌ててデュオスの補足を入れようとするダイナに、ミナは突然お腹を抱えて笑い始める。
「ふふっ……いや、ごめんね。あまりにも可笑しくてさ……うん、でも……いいか。」
あまりの理解の及ばなさにミナは逆に吹っ切れてしまったらしく、笑いすぎて飛び出た涙を軽く指で拭うと、後ろ手を組みながら改めてダイナの方を向く。
「……じゃあ、明日から楽しみにしておこうかな?飛び級くんのお弁当。」
そう言ってとても嬉しそうに微笑む彼女の後ろからは、夕暮れを示すオレンジ色の太陽が眩しく差し込んでいた。




