表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

B-23

プリーズ・プリーズ・ミー

作者: あQ

  突起した乳首を指先で弾くと、悶えながら言われた。

 「スキだよ」

 嬉しくなって首元で、オレもだよ、と言った後、はたと思って動かすのをやめた。

 「こういうことするのがスキなの?」

 彼女は目を閉じたまま含み笑いをして、

 「スキな人とするのがスキなの」

 と言った。肩胛骨に唇をあてながら、徐々に彼女の口までキスをしようと迫った。唇まであと一歩のところで彼女は目を開け、顔を背けた。

 「口はダメ」

 口惜しくなって彼女の顔の唇以外の至る所にキスをした。

 「彼氏がいる人はみんなそう言う」


 酒を飲み過ぎたせいで明け方になって目が覚めた。加えて隣の部屋から聞こえてくる下手な歌い手のカラオケ音が睡眠の邪魔をした。横では彼女が微かな呼吸で眠っている。錆びついた身体を動かし、洗面所に向かった。ボサボサした真新しい歯磨きスティックで汚れた口内と気分を払拭させ、水を、薬を飲むみたいにグイと無理に流し込んだ。

 ベットに戻ったが寝付けなかった。眠っている彼女にキスをした。酒臭くて罪悪感の味しかしなかった。

 顰めっ面をして瞼を閉じると、余計に耳が冴え、隣の騒音が頭に響いた。低い声の男が裏声を必死に出そうとしている情景だった。どこかで聞いたことのある曲だと思い記憶を探っていると、それがビートルズの「プリーズ・プリーズ・ミー」であることを知った。この曲はフェラチオを示唆している、とある専門家は指摘している。

 もう一度確かめたくて彼女にキスをした。


    (完)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ