3月28日:魔法使いの猫の日
「にゃー!」
朝からフレイメル家の庭には、近所の魔法使いたちが連れてきた猫がたくさん集まっていた。どの猫もおしゃれなリボンや小さな帽子をかぶっていて、それぞれが得意げに歩いている。
「今日は『魔法使いの猫の日』だって?」アストルが首を傾げながら工房から出てくる。
「そうよ、今日は魔法使いの相棒の猫たちを特別におもてなしする日なの!」フィオナが楽しげに説明する。「だからご近所さんたちが自慢の猫たちを連れてきているのよ!」
「みんな猫連れてきてるね!かわいい!」レオンが庭を走り回って猫たちを撫でるが、一匹の黒猫がひょいっと避ける。
「おれ、嫌われてる?」レオンは少し落ち込んだ顔をした。
「そんなことないわよ。あの子たちはちょっと特別な猫だからね。気まぐれで、プライドも高いのよ」ルミナが笑顔で慰めると、レオンは再び元気に猫を追いかけ始める。
「それよりもフィオナ、その瓶に入った紫の液体は何?」アストルが嫌な予感を感じつつ尋ねる。
「特製『猫語翻訳ポーション』よ!今日は猫たちが何を考えてるか聞けるかもと思って」フィオナは瓶を得意げに掲げる。
「こんな面白そうなの、試さないわけにはいかないでしょ!」とフィオナは楽しそうに言った。
フィオナがポーションを地面に垂らすと、ぽんっと煙が上がり、一斉に猫たちが「にゃー!」と叫ぶと、突然みんなが人語をしゃべり出した。
「やっとしゃべれる!」
「毎日同じ魚の餌ばっかりで飽きるんだけど!」
「この庭、爪とぎに最高!」
家族は目を丸くした。レオンは興奮して「おお!猫たちと話せるぞ!」と喜ぶ。
「でも、これ大丈夫か?ずっとこのままってわけじゃないよな?」アストルが不安そうにつぶやく。
「もちろん一時的よ。でもちょっと強めに作っちゃったかも……」フィオナが少し焦りながら答える。
すると、猫たちは調子に乗り、次々に庭を飛び回り、近所の屋根に駆け上がり、好き勝手に意見を言い始めた。
「ルミナさんの薬草、苦い!」
「アストルの工房、変な匂いする!」
「レオン、遊び方雑!」
「あんたたち、言いたい放題ね!」ルミナが笑いながら困惑する。
「僕はこの家の魔力、好きだけどな。あったかいんだよね」一匹のシャム猫がやさしい声で言うと、家族はほっこりとした気持ちになる。
その混乱の中、スノーが羽ばたいて家族の真ん中に降り立った。
「ちょっと、猫ども!調子に乗るなよ!」スノーは精一杯の威厳を示そうとする。
猫たちは一斉にスノーを睨みつける。
「なんだお前は、空を飛ぶ偉そうな鳥か?」黒猫が皮肉を言う。
「偉そうじゃない、偉いんだ!」スノーが胸を張ると、周囲の猫が一斉に大笑いした。
「なんか今日のスノー、負けてない?」クリスがスノーを抱き上げて慰める。
スノーは小声でクリスに言った。
「まったく、この家の騒ぎに巻き込まれるのはもう慣れたけど……猫に笑われるのは癪だな!」
しだいにポーションの効果が薄れ始め、猫たちは次第に普通の猫語に戻っていった。
クリスは笑いながらスノーを撫でる。
「うふふ、スノーも可愛いよ!」
「可愛いとは失礼な!……でも、まあいい」




