3月26日:紫の癒やしの日
「うわぁ、街が紫色に染まってる!」
朝食を食べながら窓の外を見ていたレオンが、驚きの声を上げた。
「今日は『紫の癒やしの日』だからね。月の呪いで苦しむ人を応援するために、みんな紫色のものを身に着けるのよ」
ルミナが優しく説明する。
「そういえば、去年も街じゅう紫色だったね。でも、『月の呪い』って具体的にどんな病気?」
フィオナが気になって質問する。
「満月の夜になると不思議な発作が起きる病気だよ。呪いと言われているけど、実際は強力な魔力が体内で暴走してしまうことが原因らしい」
アストルがコーヒーを片手に語った。
「それって、治らないの?」
クリスが心配そうに尋ねる。
「完全には治せないけど、症状を和らげることはできるわ。私も回復術で時々サポートしているの」
ルミナが穏やかに答えた。
「今日は特別な日だし、僕たちも何か手伝えるかな?」
レオンが立ち上がる。
「いいアイデアだね。今日はみんなで紫色のポーションを作って、町の人たちに配ろうか」
アストルの提案に、フィオナは目を輝かせた。
「だったら、私が特製の紫ポーションを調合するわ!」
「フィオナ、また怪しげな実験をするつもりじゃないだろうね?」
アストルがちょっと警戒する。
「心配しないで、今日はちゃんとした回復効果のあるものを作るわよ!」
フィオナは胸を張って、自信満々。
昼間になると、フレイメル家のキッチンはポーション作りで大忙しだった。
「うふふ、スノー、見て!紫色がとっても綺麗だよ!」
クリスは紫色の花をポーションの瓶に入れながら笑った。
「色より効き目が大事ダ。頼むから変な魔法を入れないでヨ?」
スノーが片言で注意すると、フィオナがむっとした顔をした。
「失礼ね!今回は大丈夫よ!」
「でもさ、去年も同じようなこと言って、街じゅう泡だらけになったよね?」
レオンがからかうように口を挟んだ。
「う、うるさいわね!今年は絶対に成功するんだから!」
フィオナは赤くなって頬を膨らませた。
そのやり取りを見ていたアストルが微笑みながら口を開く。
「まあまあ、みんな落ち着いて。ポーション作りは慎重にな」
しばらくして、フィオナは完成したポーションを瓶に詰めると、胸を張って高らかに言った。
「完成!特製『癒やしの紫ポーション』!」
家族全員で町へポーションを配りに出かけると、町の人々が喜んで集まってきた。
「ありがたいよ、フレイメル家のポーションなら安心だね」
人々が感謝の言葉を口にしながら受け取る。
「毎年本当に助かるよ。これで安心して満月の夜を迎えられる」
おばあさんが笑顔でポーションを受け取りながら話す。
すると、ある老人が不意に発作を起こして倒れそうになった。
「大変!」ルミナが素早く老人に駆け寄る。「フィオナ、早くそのポーションを!」
「わかった!」フィオナは急いでポーションを老人に飲ませた。
すると、老人の呼吸が落ち着き、穏やかな表情になった。
「おお、なんと心地よい香りと癒やしの力じゃ…本当にありがとう」老人が微笑む。
家族全員がほっと胸をなで下ろした。
その後、さらに人々が次々とポーションを求めて集まり、フィオナとレオンは忙しく駆け回った。
夕方、家族が家に帰ると、疲れきった様子のフィオナが椅子に崩れ落ちた。
「やるじゃないか、フィオナ。今回は大成功だな」アストルが誇らしげに娘の肩を叩く。
「これくらい当然よ!」フィオナは得意げに言った。
「それにしても大変だったわね。明日筋肉痛になりそう」ルミナが笑いながら肩を回す。
スノーがフィオナの肩にとまり、小声でつぶやいた。
「フン…たまには役に立つ魔法も使えるんだ。」




