表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/69

3月22日:水神の恵みの日

「今日は『水神の恵みの日』よ!」


朝からルミナの明るい声が家中に響いた。


「水の女神に感謝を込めて、井戸や泉を清める日なんだよね?」フィオナが魔法書から顔を上げる。


「そうよ!みんなで町の中央広場の泉を清める儀式があるわ。私も回復術士として、しっかり務めなきゃ!」ルミナが張り切っている。


「おれも手伝いたい!」レオンが興味津々で叫ぶ。


「剣術ばっかりやってるレオンには、いい水の魔法修行になるかもね」フィオナがにやりと笑う。


「そういうお姉ちゃんこそ、また変なポーション持ち込んで泉を爆発させないでよ?」レオンが口を尖らせて反論する。


「失礼ね!今日は水に優しい、完璧なポーションを用意したの!」フィオナは自信満々だが、家族は少し不安げな表情を浮かべる。


一方、アストルは工房で古びた魔法ランプを取り出していた。


「父さん、そのランプ、何?」レオンが興味深げに尋ねる。


「これはな、水の精霊を一時的に呼び出すための古代魔具だ。泉の浄化に使えるかもしれないと思ってね」アストルが優しく説明した。「昔、冒険者仲間からもらったものだが、使い方がちょっと難しいらしい」


広場に集まると、町の人々がすでに水神の祭壇を囲んでいた。花束や果物を持った人たちが笑顔で談笑している。


「みんな、準備はいいか?」アストルがランプを掲げると、辺りが柔らかな青い光に包まれた。


その瞬間、泉の水面が揺れ、小さな水の精霊が現れた。


「わぁ、かわいい!」クリスが目を輝かせる。


「本当に精霊が出た!」町の人々が驚きと喜びの声をあげる。


「さぁ、私も試すわよ!」フィオナはポーションを慎重に泉へ注いだ。「泉よ、清らかになれ!」


次の瞬間、泉から美しい虹色の光が噴き出した。


「うわぁ、すごい!」町の人々が歓声を上げる。


「成功だ!」フィオナは胸を張ったが、ポーションの効果が少し強すぎたのか、泉の水が勢いよく吹き上がり始めた。


「ちょ、フィオナ!またやらかしたな!」レオンが笑いながら泉の水を浴びる。


「あらら、ごめんなさい!」フィオナが頭を抱えるが、みんなは楽しそうに水遊びを始めてしまった。


「仕方ないわね、私が落ち着かせるわ!」ルミナが回復術で水の流れを穏やかに整えたが、それでも水遊びを止める気配はない。


その間、クリスはスノーを抱えて楽しそうに走り回っている。


「スノー、見て!みんなびしょ濡れで面白い!」


「やめろ!濡れるじゃないか!」スノーが慌てて羽を広げるが、すでに遅かった。


祭りが無事に終わり、家族が帰路につく頃には、全員びしょ濡れだったが、笑顔が絶えなかった。


「今日は本当にいい一日だったわね」ルミナが優しく微笑む。


「フィオナのポーションも、まあまあ役に立ったな」アストルが冗談っぽく言うと、フィオナは頬を膨らませて抗議した。


「次はもっと完璧にするわ!」


肩に降り立ったスノーがぽつりとつぶやく。


「これじゃ水神よりも、あんたたちの方がはるかに賑やかだよ。次回はボク抜きでやってくれ」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ