3月22日:水神の恵みの日
「今日は『水神の恵みの日』よ!」
朝からルミナの明るい声が家中に響いた。
「水の女神に感謝を込めて、井戸や泉を清める日なんだよね?」フィオナが魔法書から顔を上げる。
「そうよ!みんなで町の中央広場の泉を清める儀式があるわ。私も回復術士として、しっかり務めなきゃ!」ルミナが張り切っている。
「おれも手伝いたい!」レオンが興味津々で叫ぶ。
「剣術ばっかりやってるレオンには、いい水の魔法修行になるかもね」フィオナがにやりと笑う。
「そういうお姉ちゃんこそ、また変なポーション持ち込んで泉を爆発させないでよ?」レオンが口を尖らせて反論する。
「失礼ね!今日は水に優しい、完璧なポーションを用意したの!」フィオナは自信満々だが、家族は少し不安げな表情を浮かべる。
一方、アストルは工房で古びた魔法ランプを取り出していた。
「父さん、そのランプ、何?」レオンが興味深げに尋ねる。
「これはな、水の精霊を一時的に呼び出すための古代魔具だ。泉の浄化に使えるかもしれないと思ってね」アストルが優しく説明した。「昔、冒険者仲間からもらったものだが、使い方がちょっと難しいらしい」
広場に集まると、町の人々がすでに水神の祭壇を囲んでいた。花束や果物を持った人たちが笑顔で談笑している。
「みんな、準備はいいか?」アストルがランプを掲げると、辺りが柔らかな青い光に包まれた。
その瞬間、泉の水面が揺れ、小さな水の精霊が現れた。
「わぁ、かわいい!」クリスが目を輝かせる。
「本当に精霊が出た!」町の人々が驚きと喜びの声をあげる。
「さぁ、私も試すわよ!」フィオナはポーションを慎重に泉へ注いだ。「泉よ、清らかになれ!」
次の瞬間、泉から美しい虹色の光が噴き出した。
「うわぁ、すごい!」町の人々が歓声を上げる。
「成功だ!」フィオナは胸を張ったが、ポーションの効果が少し強すぎたのか、泉の水が勢いよく吹き上がり始めた。
「ちょ、フィオナ!またやらかしたな!」レオンが笑いながら泉の水を浴びる。
「あらら、ごめんなさい!」フィオナが頭を抱えるが、みんなは楽しそうに水遊びを始めてしまった。
「仕方ないわね、私が落ち着かせるわ!」ルミナが回復術で水の流れを穏やかに整えたが、それでも水遊びを止める気配はない。
その間、クリスはスノーを抱えて楽しそうに走り回っている。
「スノー、見て!みんなびしょ濡れで面白い!」
「やめろ!濡れるじゃないか!」スノーが慌てて羽を広げるが、すでに遅かった。
祭りが無事に終わり、家族が帰路につく頃には、全員びしょ濡れだったが、笑顔が絶えなかった。
「今日は本当にいい一日だったわね」ルミナが優しく微笑む。
「フィオナのポーションも、まあまあ役に立ったな」アストルが冗談っぽく言うと、フィオナは頬を膨らませて抗議した。
「次はもっと完璧にするわ!」
肩に降り立ったスノーがぽつりとつぶやく。
「これじゃ水神よりも、あんたたちの方がはるかに賑やかだよ。次回はボク抜きでやってくれ」




