3月18日:古魔道具再生の日
「さあ、みんな!今日は古魔道具再生の日だぞ!」
朝からアストルは工房から張り切って叫んだ。いつものように寝ぼけ眼でぼんやりと集まっていた家族も、その言葉にパッと目を輝かせる。
「古魔道具再生の日? それって、古い魔法アイテムを修理して再利用する日だったよね?」フィオナが確認するように尋ねる。
「その通り。しかも今年は特別なイベントがあるらしくてね。街の広場で、みんなが使わなくなった魔道具を交換したり再生したりするイベントが開催されるんだ」アストルが工具を片手に微笑む。
「わぁ、それってお父さんの得意分野じゃない! 今日は忙しくなりそうね」ルミナが嬉しそうに頬に手を当てる。
すると、レオンが興味津々で質問した。「じゃあ、うちの宝物庫にあるあの変な魔道具も再生できるの?」
「ああ、『飛べない箒』とか『くしゃみを誘発する鏡』とか、確かにまだまだ残ってるからな……」アストルは苦笑しながら言った。
「『くしゃみ誘発鏡』とか、再生させる必要あるの?」フィオナが疑問を口にする。
「それが意外と使えるんだよ。授業中眠くなったら、すぐ目が覚めるし」レオンが得意げに答えると、みんなが笑った。
その後、家族は古魔道具を集めて庭に運び出した。アストルが特設テーブルに並べると、さっそく近所の人々も珍しそうに集まってくる。
「これ、動かない魔法の箒なんだけど……直せるかな?」近所のおじいさんが持ってきた古びた箒を、アストルが手に取る。
「お任せください! これくらいなら簡単に直せますよ」自信満々に答えたアストルだったが、フィオナが隣で「また大丈夫?」と小声で心配そうにつぶやく。
「よし、じゃあ『箒よ再び』、発動!」アストルが呪文を唱えると、箒が突然宙に浮き上がり、くるくると回り始める。
「すごい! 成功した!」周囲から歓声が上がるが――
次の瞬間、箒が猛烈な勢いで暴れだし、屋台を次々と倒してしまう。
「うわぁあ!止まれ、止まれー!」アストルは箒を追いかけるが、箒は楽しそうに(?)家の周りをぐるぐると飛び回る。
「パパ、これ全然修理できてないじゃない!」フィオナが眉をしかめて叫ぶ。
「はは……まだちょっと調整が甘かったかな?」アストルが苦笑いすると、レオンが面白そうに箒を追いかけ始める。
「おもしろーい! あの箒、意外と楽しそうだぞ!」レオンが笑い転げる。
そこへグレゴールがのんびり登場し、「まぁ、ちょっと見せてごらん」と呪文を静かに唱え、箒をあっさり捕まえた。
「おぉ、助かったよ……」アストルはホッと胸をなでおろす。
「修理したつもりが、また新たな問題を生み出すなんて……。今日は本当に忙しくなりそうね」ルミナは笑顔で言った。
「ま、これが魔道具修理の醍醐味さ。トラブルも楽しみのうちだからな」
そんな騒ぎを見ていたスノーが、ふっと肩に降り立ち、つぶやいた。
「古い道具より、まず君らの頭を再生した方が早いんじゃない?」




