3月15日:冒険者権利の日
「今日は『冒険者権利の日』よ!」朝からフィオナが興奮気味にリビングに飛び込んできた。
「冒険者権利の日?なにそれ、美味しいの?」レオンがパンをかじりながら首を傾げる。
「ちがうわよ、昔、王都で初めて冒険者のための『取引公平法会議』が開かれた日よ。冒険者の権利が認められた記念日なの!」フィオナは得意げに腕を組んだ。
「それって、お父さんも関係あるの?」レオンがアストルに興味津々に尋ねる。
「まあね、昔はよく冒険者をやってたからね。あの頃は報酬が支払われないこともしょっちゅうだったんだ」アストルが遠い目でコーヒーを飲みながら頷いた。
「報酬が支払われないって……それひどすぎない?」フィオナが眉をひそめる。
「そうなのよ。それに、冒険者はいつも命がけで任務をこなすんだから、当然の権利よね」ルミナが優しく微笑みながら言う。「今日は私も街で開かれるイベントに参加するわよ。冒険者や商人、ギルドの人たちが集まって賑やかになるわよ!」
「わーい!楽しそう!」クリスがぴょんぴょん飛び跳ねた。「スノーも一緒に行こうね!」
「仕方ない……まあ、ボクも昔は冒険者の旅を手伝ってやったからな」スノーが渋々ながら翼を広げた。
街の広場はすでに大勢の冒険者やギルドメンバー、商人たちで大にぎわいだった。色とりどりの旗や装飾が飾られ、特設ステージでは冒険者たちの権利を訴える熱のこもった演説やコミカルな寸劇が次々に繰り広げられ、観客は拍手や笑い声で応えた。
「おや、これは面白そうな魔道具だな!」アストルが露店で目を輝かせ、壊れかけた不思議なランプを手に取る。
「お父さん、また修理が必要なもの買う気?」フィオナが呆れたように笑った。
「だって、修理職人としての血が騒ぐんだよ」アストルは楽しそうに道具を吟味している。
その時、レオンが人混みを指差して叫んだ。「あっ、冒険者たちが模擬バトルしてる!おれも参加したい!」
「レオン、気をつけてね!」ルミナが優しく微笑んで見送ると、レオンは元気よく飛び出していった。
一方、フィオナは新たな炎のポーションを披露し、炎の魔力が鮮やかに空中で舞い踊る様子に観客たちはどよめきをあげた。
クリスは幻影魔法で可愛らしい小さなドラゴンや蝶を呼び出し、子どもたちから大人気を集めていた。「スノーも一緒に踊ろうよ!」とクリスに誘われ、スノーは困惑しながらも小さく羽ばたいて周囲を楽しませた。
アストルはさっそく魔道具の露店で買ったランプを巧みに修理し、眩しい光が溢れ出すと、観客は大喝采を送った。「さすがは元冒険者のアストルさんだ!」と拍手が巻き起こる。
イベントが終わり、夕暮れが街を染め始める頃、家族は満足げに帰路についた。
「今日は本当に楽しかったね!」クリスが満面の笑みでスノーを抱きしめる。
「まあ、冒険者も悪くない……」




