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3月11日:幻獣発見の日

朝、アストルが工房で魔具の修理をしていると、家のドアが勢いよく開かれた。


「お父さーん!」とフィオナが駆け込んできた。


「おお、どうした?今日は早いな」アストルが修理していた魔法ランプを一時置き、フィオナを見上げる。


「ねえ、知ってる?今日は幻獣発見の日だよ!伝説の生き物、幻獣が本当に見つかったんだって!」フィオナの目は輝いていた。


「幻獣?」アストルが首をかしげる。「それはすごいな…どこで?」


「詳しくは言えないけど、近くの森で見つかったらしいの!もう調査団が派遣されて、今日にもその森を封鎖するんだって!」フィオナはすでにその話に夢中になっていた。


「まあ、そんな珍しい生き物が見つかるなんて、すごいことだな」アストルはにこりと笑いながら言った。


その頃、キッチンではルミナが朝ごはんを準備している。レオンとクリスがすでにテーブルに座っているが、クリスは何かに夢中になっているようだ。


「クリス、どうしたの?」ルミナが気になって声をかけると、クリスがにっこりと笑って答えた。


「スノーがね、幻獣見つけたって言ってたよ!」


「スノーが?」ルミナは少し驚く。「それってまた、スノーの空想の話?」


「違うよ!ほんとだもん!」クリスはしっかりとした口調で言ったが、周りは少し笑いながらも真剣に聞いていた。


「じゃあ、スノーはどんな幻獣を見つけたんだ?」ルミナはさらに興味を引かれて尋ねる。


「えっとね、ふわふわの羽が生えてる、大きなウサギさんみたいなやつ!」クリスは手を広げて、その大きさを表現する。


その時、スノーが窓の外から帰ってきた。「なんだ、また幻獣の話か。つまらん」と言いながら、家の中に飛び込んできた。


「スノー、ほんとに幻獣見つけたんだって?」レオンが期待に満ちた顔で尋ねる。


「んなわけないだろ。俺が見つけたのはただのカラスだ」と、スノーは羽をふわっと広げて、自己主張する。


「それはそれで立派な発見じゃないか!」レオンは声を大にして笑いながら言った。


「でも、ホントに見つけたなら、どこだ?」アストルが興味津々で尋ねる。


「森の中さ。お前らがそんなに大騒ぎするほど珍しいものでもない」と、スノーは目を細めながら言った。


その後、家族全員でその話を追いかけることに決めた。アストルは工房に戻り、簡単に装備を整え始めた。「まあ、せっかくの記念日だからな。ちょっと見に行こうか」と言うと、ルミナも「どうせなら家族で一緒に行こう!」と元気よく応じた。


フィオナは「絶対に幻獣を見つける!」とやる気満々だったが、レオンは「お母さん、ぼくまだ魔法学校の宿題が…」と弱気に呟いていた。


「宿題なんて後回しだ!」とフィオナが笑って言った。


そして、家族は出発した。途中、フィオナは空を飛ぶ魔法の箒に乗って、「ここから探すのもいいかもしれない!」と元気よく空を駆けた。アストルはその背中を見守りつつ、道中で不安そうにしているレオンに声をかけた。


「大丈夫、レオン。幻獣が見つかったからって、魔法なんて無理に使わなくていいさ。お前らしくやりな」


レオンは少しほっとして頷いた。「うん、ありがと、お父さん」


そして森の中に入ると、静寂が広がっていた。木々の間を歩いていると、突然、フィオナが声を上げた。


「見て!あれだ!」


その先に、確かに見覚えのない生き物がいた。大きな、ふわふわの耳を持った、まるでウサギのような生き物が、草むらの中でじっとしていたのだ。


「これが幻獣…」とルミナが息を呑む。


その生き物が突然、ふわりと空中に浮かび上がった。そして、キラキラとした羽根を広げ、輝く光を放ちながら消えた。


「なんだあれ、すごい!」フィオナが叫んだ。


その後、家族はその幻獣が残した足跡を追いかけ、森を何時間も歩き続けたが、結局その幻獣はもう姿を見せることはなかった。


「結局、幻獣には会えなかったな…」とアストルがしみじみ言うと、レオンが元気よく言った。


「でも、すっごく楽しかったよ!今度は探しに来ようね!」


その日の帰り道、スノーがひょいと肩にとまった。「ああ、また幻獣探し?…ほんとに無駄なことばかりしてるな」と、スノーは不満げに言ったが、その顔にはわずかな愛情がにじんでいた。


「でも、楽しかっただろ?」レオンがからかうように言うと、スノーは小さなため息をつきながらも、「ふん、まあな…。」とだけ答えた。


「よかったじゃん、スノー」フィオナが微笑みながら言うと、スノーは「お前ら、うるさいな。」と一蹴したが、その表情には、どう見ても満足そうな表情が浮かんでいた。


「そんなに嬉しかったんなら、黙っておけよ」と、アストルが優しく笑った。


スノーはちょっと顔をしかめてから、最後にこう言った。


「なんだかんだ言って、背中に乗っけてくれるやつがいれば、悪くないな。」

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