1月25日:魔法薬草マーケットの日
1月25日、フレイメル家では年に一度の「魔法薬草マーケット」の日を楽しみにしていました。この日は街の広場が一大イベントの会場に早変わりし、薬草やポーション、珍しい魔法アイテムが並ぶ賑やかな日です。
「さあ、行くわよ!遅れたらいい場所取れないんだから!」ルミナが玄関で手を叩きながら声を上げました。
「うわー、もう!おれの靴どこだ?」レオンが慌てて家中を駆け回ります。
「クリス、スノーの魔法リードは持った?」フィオナが肩に掛けた鞄から小さなポーションボトルを取り出しながら尋ねました。
「うん、でもスノーが『リードは子供扱いだ』って怒ってるよ!」クリスがリードを持ったまま笑顔で答えます。
「ふん、誰が子供だ!」とスノーがツンとした声をあげて、棚の上から飛び降りました。
マーケットに着くと、すでに大勢の人で賑わっていました。各ブースから漂う薬草の香りに混じって、時折「ポン!」という小さな爆発音も聞こえます。
「アストル、あそこの『忘却の香り』、試してみない?」ルミナが興味津々にアストルを引っ張ります。
「やめてくれ、これ以上忘れ物が増えたら大変だ。」アストルは苦笑いしながらも、ついつい隣のブースの「即効成長スプレー」に目を奪われました。
「お父さん、そのスプレー、ちゃんと説明読んだほうがいいわよ。」フィオナが注意を促しますが、アストルは既に手に取っていました。
「おっ、レオン!見てみろ、これはどうだ!」アストルがスプレーを試しにレオンの小さな鉢植えに吹きかけます。
「えっ、それ…大丈夫…?」レオンが心配そうに見つめると、突然鉢植えが「ボワッ!」と膨らみ、マーケットのテントを突き破るほどの大木に!
「わああ!お父さん、それ速成魔法だったんじゃないの!?」フィオナが大声をあげました。
「すまん!これ、こんなに効き目が早いとは…!」アストルが木の下で途方に暮れます。
大騒ぎになった現場に、グレゴールがひょっこり現れました。「これはまた、随分と見事な成長だなあ。」
「おじいちゃん、どうやってこれ止めるの?」フィオナが助けを求めると、グレゴールはにやりと笑って、「解決するには、縮小魔法『リトルリーフ』がいいんじゃないか。」
「おじいちゃん、それ持ってるの?」レオンが期待に満ちた目で聞くと、グレゴールはポケットから古びた小瓶を取り出しました。
「さあ、この一滴で…」グレゴールが魔法液を木に垂らすと、「シュルシュル…」と音を立てて木は元の鉢植えサイズに戻りました。
「はあ、助かった…。」アストルが汗を拭う一方で、周りの客たちは拍手喝采。
帰り道、クリスがスノーに尋ねました。「スノー、この木、家に持って帰りたい?」
「ふん、こんな騒がしいもの、誰が欲しいって言うんだ。」スノーがクールに言い放つと、家族全員が笑い出しました。
「でもスノー、あんた、ずっと木のてっぺんにいたじゃない!」ルミナが笑いながら指摘すると、スノーは照れたように翼を広げて飛び立ちました。
「それは、景色がいいからだ。」