表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/69

2月28日:希少なる病を癒す日

「今日は“希少なる病を癒す日”よ」

朝食の席でルミナが宣言すると、家族の視線が一斉に彼女に集まった。


「珍しい病気の治療がテーマの日ってこと?」フィオナが興味津々に聞く。


「そうよ。普段はなかなか治せない病気の治療を進めたり、研究を加速させたりするの」ルミナは魔導書をめくりながら説明する。「魔法医術の世界では、今日のような特別な日に合わせて新しい治療法を試すこともあるのよ」


「へえー! おれも手伝えるかな?」レオンが前のめりになった。「戦士には治療も必要だからな!」


「それはいい心がけね。じゃあ、簡単な回復魔法の基礎を復習してみる?」ルミナがにこやかに言うと、レオンはなぜか汗をかきながら後ずさった。


「えっと…気持ちだけ…ってことで…」


「ほらね、こういう時に限って逃げ腰になるのよ、レオンは」フィオナが呆れたように言う。


「まあまあ、そう言わずに。今日は特別なお客さんが来るから、みんなで協力して迎えてあげましょう」ルミナは立ち上がると、玄関のほうへ向かった。


「特別なお客さん?」アストルがコーヒーカップを片手に聞き返す。


「ええ、“夢語り症”の患者さんよ」


「夢語り症?」フィオナが首を傾げる。


「寝ている間に未来の夢を語る病よ。自分では止められなくて、時には無意識に魔法まで発動してしまうの。治療が難しいことで有名なのよ」ルミナが説明すると、レオンの目が輝いた。


「すごい! 未来の夢って、どんなことを言うんだろう!?」


「それが問題なのよね」ルミナが困ったように笑った。「夢の内容が本当に未来を示しているのか、それともただの寝言なのか、判断が難しくて…」


すると、玄関のベルが鳴った。


「いらっしゃいませ!」クリスが元気よく扉を開けると、そこには白髪の老紳士が立っていた。


「こんにちは…おや?」その老人は目を細めると、ふっと笑った。「おやおや、未来の輝きを背負う者たちがここにいるとは…」


「ほら、さっそく夢語りが始まってる!」レオンが興奮してささやく。


「まあまあ、落ち着いてくださいね」ルミナが老人を椅子に座らせる。「今日は特別な治療法を試してみようと思います」


「ほう、新しい魔法を?」老人はにこやかに笑った。


「はい、『夢静めのドリーム・クワイエット』という魔法です」フィオナが説明する。「夢の波長を整えて、無意識の言葉を落ち着かせる効果があるはずなんです!」


「ふむ…試してみる価値はありそうだ」老人は静かに目を閉じた。


「じゃあ、いくわよ」フィオナが杖を掲げると、淡い光が老人を包み込んだ。しばらくの沈黙の後、老人がぽつりとつぶやく。


「…おお…白い鷹…風に乗りて…家族を見守る…」


「おや?」フィオナが驚いた。「スノーのこと?」


「フン、ボクのことか?」スノーが棚の上から見下ろしている。


「つまりスノーは未来でもこの家にいるってこと?」レオンが楽しげに言うと、スノーはプイっと横を向いた。


「バカ言え…ボクは自由だ…未来なんて知らん…」


「でも、ちゃんと未来にいるみたいね?」クリスがニコニコしながらスノーをなでる。


「ま、まあ…どうせお前たちを見捨てるわけにもいかないしな」スノーはふわっと羽を広げ、気取った声で言った。「ボクがいないと、未来も騒がしくなるだろうしな…」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ