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2月19日:凍てつく大地が溶け始める日

「わぁい! お外がちょっとずつポカポカしてきたよ!」

クリスが裏庭でぴょんぴょん跳ねながら叫ぶ。足元の雪がところどころ溶けて、小さな水たまりができている。


「ほんとだ、もう春が近いね!」

フィオナがマフラーを外しながら、庭の木々を見上げる。


「よーし、こんな日は特別な魔法を試すのにぴったりだ!」

レオンが得意げに拳を握りしめる。


「嫌な予感しかしない……」

フィオナがジト目で弟を見つめると、ルミナが微笑んだ。


「今日は『雪解けのお祝い』もあるし、みんなで何か楽しいことをしようか?」


「おれ、考えてたんだ! “雪を溶かして春を呼ぶ魔法”っていうのを!」

レオンが胸を張る。


「お前、そんな高度な魔法使えたっけ?」

アストルがコーヒーカップを片手に工房から顔を出す。


「ふふん、今日は特別だからな! 名付けて――《ぬるぬるサンシャイン》!!」


「……ぬるぬる?」

フィオナが思わず聞き返す。


「そう! 温かくて、ちょっとぬるっとする魔法なんだ!」

レオンは自信満々で呪文を唱え始めた。


「……いや、ちょっと待って。ぬるっとって何よ!?」

フィオナが慌てて止めようとするが、すでにレオンの杖から金色の光が発せられていた。


バシュッ!!


瞬間、庭のあちこちに謎のぬるぬるした透明な液体が飛び散った。


「うわぁ! なんか床が……ぬるぬるする……!」

クリスが滑ってころんだ。


「おおっと、これは……思ったよりも効果が強かったな……」

アストルが苦笑しながら庭に降り立つ。


「ちょっと! 雪は溶けたけど、地面がスケートリンクみたいになってるじゃない!」

フィオナが叫ぶ。


「ほら! 春のぬくもりを感じるでしょ!?」

レオンがドヤ顔で言うが、その足元もつるっと滑って派手に転んだ。


「バカね……こんなの、ただの《ぬるぬる転倒魔法》じゃない!」

フィオナがため息をつく。


「くっ、ちょっと調整を間違えたか……」

レオンは起き上がろうとするが、また滑って転がる。


「……おもしろーい! スノーもやってみて!」

クリスがしゃべる鷹のスノーを抱え上げる。


「やめろ! 巻き込むな!!」

スノーが羽をばたつかせるが、ぬるぬる地面のせいで飛び立てない。


「うわーっ!! 地面が滑って羽ばたけない!!」


「スノー、まるで……へんてこなペンギンみたい!」

クリスが笑い転げる。


「バカにするなぁぁ!!」

スノーは必死に足を踏ん張るが、ぬるぬる地面の上ではどうしようもなかった。


「ふぅ……仕方ないわね。私の魔法でなんとかしましょ。」

フィオナが杖を掲げる。


「《サンド・ドライ》!」


次の瞬間、ぬるぬるの上にさらさらの砂が降りかかり、地面の滑りが収まっていった。


「やれやれ……」

ルミナが安堵の息をつく。


「レオン、次はもっとマシな魔法を考えてね?」

フィオナがレオンの額を軽くつつくと、レオンは照れ笑いを浮かべた。


「ま、まあ、みんな笑顔になったからいいじゃん!」


「いや、笑ったのは主にお前が転んでたからだぞ」

アストルが肩をすくめた。


「うんうん、楽しかった!」

クリスは満面の笑みでスノーを抱きしめる。


「……ふん。ボクを巻き込むなって言ったのに……」

スノーはぶすっとしながら、つぶやいた。


「お前たちのアホさが溶けてほしい……」

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