2月17日:緑色の魔法球根の日
「ほら、今日のメイン食材よ!」
ルミナがキッチンで得意げに掲げたのは、鮮やかな緑色の球根だった。
「うわっ、なんか光ってるぞ?」
レオンが目を丸くする。
「これが“緑色の魔法球根”ね。栄養満点で、魔力を高める効果があるって学院でも聞いたことあるわ」
フィオナが興味津々で近づく。
「そうよ。煮ても焼いても美味しくて、今日はこの球根をたっぷり使ったシチューにするの」
ルミナはまな板に球根を並べながら微笑んだ。
「わーい、シチュー!」
クリスが歓声を上げて跳ねる。
「けどさ、この球根、すごく…ぷにぷにしてる?」
レオンがつつくと、球根がピョンっと跳ねて床を転がり始めた。
「わっ、待って! どこ行くの!?」
フィオナが慌てて追いかけるが、球根はまるで意思を持つかのようにくねくね動き、キッチン中を転がりまわる。
「しまった、これ“跳ねる球根”だったかも」
ルミナが額に手を当てる。
「は? そんなのあるの?」
アストルが工房からひょこっと顔を出した。
「あるのよ。特定の魔力を帯びた土壌で育つと、球根が自衛本能を持つことがあるの」
ルミナが説明する間にも、球根はピョンピョン飛び回り、キッチンの棚から次々に皿を落としていた。
「うわっ! 逃げる前に捕まえなきゃ!」
フィオナが杖を振る。「魔力拘束!」
光の網が球根を包み込もうとするが――ポンッ!
「えっ、分裂した!?」
なんと、球根は光の網を跳ね返し、さらに二つに増えてしまった。
「やばい、増えるタイプか!」
レオンが叫ぶ。
「こうなったら…スノー、手伝って!」
クリスが肩に乗ったスノーを見上げる。
「えぇ…またボクの出番?」
スノーはため息をつくと、風魔法を発動。
バサァッ!
強風が巻き起こり、球根が一斉に宙を舞う。そして――
「今よ!」
ルミナがボウルを構え、次々に飛んでくる球根をキャッチ。フィオナとレオンも協力して、なんとかすべての球根を確保した。
「ふう…なんとかなったわね」
ルミナが安堵の息をつく。
「いやぁ、魔力を高める前に、体力使い果たしたぞ…」
アストルが苦笑しながら肩を回す。
「でも、これでようやくシチューが作れるわね!」
ルミナが鍋を火にかけると、クリスがワクワクした顔でスプーンを握りしめた。
「ねえねえ、スノーも食べる?」
スノーはぷいっとそっぽを向きながら、一言。
「……フン。当然だ。こんなに苦労したんだ、」




