表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/69

2月15日:純白の契約更新の日

「おや、今日は“純白の契約更新の日”か。つまり、自分と向き合う日ってことだな」

アストルが工房で図面を広げながらつぶやいた。


「みんなで過ごすのもいいけど、自分だけの時間も大事よね」

ルミナが薬草の束を抱えながら、楽しそうに言う。


「えー、じゃあ今日は一人でこっそり新作の調合やってみようかな。『ひとりっきり炎ポーション』なんて面白そうじゃない?」

フィオナがにやりと笑い、さっそく魔法書をパラパラめくっている。


「おれは一人で黙々と剣の素振りのほうがいいな! ……けど、ほんとはスノーと遊びたいかも」

レオンが照れたように目をそらすと、ソファの背もたれにとまっていた白い鷹のスノーが「フンッ」と小さく鼻を鳴らした。


「ねえパパ、今日は自分を見つめ直す日なんだって? それならクリスも『一人ボッチかくれんぼ』する!」

クリスが目を輝かせ、すでに幻影魔法をチラつかせている。


「まあまあ、みんな自由にやってくれればいい。ただ、オレは少し試したい魔具があってな。『ひとりだけ没入結界ランプ』を修理していて……」

アストルが怪しげなランプを取り出すと、フィオナが目を輝かせた。


「いいね、それ! どんな効果があるの?」

「中に入った人の周囲に、外界を遮断する結界を作る魔具さ。気が散らないから勉強や作業に集中できるってわけだ」


「パパ、それ動かしてみようよ!」

レオンが興味津々でランプに手を伸ばす。


「待て待て、まだ調整中だ。そっと――」

アストルが止める間もなく、レオンが触れるとランプからまっ白な光が飛び出した。


「えっ、なんだこれ!?」

部屋いっぱいにモヤが広がり、アストルの周囲だけすっぽり透明なバリアが展開。アストルだけ別空間に入ったような状態だ。


「パパ! 声は聞こえる? あれ、こっちの声は…?」

フィオナが大声で呼びかけるが、アストルはオロオロ口を動かすだけで聞こえていないらしい。


「仕方ないわね。お母さんが結界解除の回復術を試してみるわ」

ルミナがさっと魔法陣を描き、光の帯を伸ばす。


「……効いてない?」

何度か照射してもバリアが消えない。


「こういうのは私に任せて! 実験燃えるー!」

フィオナが炎の呪文を唱え、軽く火の玉をぶつけると、結界はパリンと割れる音を立てて消滅。アストルが膝から崩れ落ちた。


「ふう、まいったな。やっぱり修理はまだまだだな……」

アストルは恥ずかしそうに頭をかきながら、ランプをそっと棚にしまう。


「パパ、自分と向き合うより先にランプと向き合わなきゃね!」

レオンが大笑いし、クリスも「うふふ!」と楽しげに笑う。


「よし、もう少し落ち着いてから調整するよ。今日はみんな、それぞれ好きなように過ごしていいぞ。オレはもう十分、ひとりの世界を味わったからな」


「アハハ、パパらしいや」

フィオナは自室に戻り、新作ポーションの調合に取りかかる様子だ。


「じゃあわたしは庭の薬草に水やりしてくるわ。みんな、また夕飯で集合ね!」

ルミナが笑顔で裏庭へ向かっていく。


部屋に残ったスノーは、ひょいと翼を広げてアストルの肩にとまり、小さく嘆息した。

「…まったく。世話がやける家族ダナ。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ