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帝国英雄戦記  作者: 神無月レイ
第一章 誕生編・学園編
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第七話 過去と今

入学から一夜明け、ステラはアメリアの過去を知ることになる。その内容とは…

女神暦8484年4月3日

 僕たち4組と3組はそれぞれのチームに分かれて、魔法訓練をここ第六訓練場で行っていた。


「みんな集合ー」

「どうしたんですか?」


 僕の班はクロウとレイン、アメリアとサナの5人で構成されている。班リーダーはアメリアだ。


「ここで一つ提案だけど、転属してきたクロウ以外のみんなは、まだ自分の魔法属性しか知らないよね。」

「ええ、そうだけど」

「でさ、せっかくこの班にクロウがいるからさ、魔法教えてもらおうよ」

「まあクロウがいいなら。レインもそれでいいか?」

「ああ、構わない」

「じゃあ決まりね!早速聞いてくる」


 そう言って、アメリアはクロウのある場所まで走っていった。


「なあステラ」

「なんだ?」

「いいのか。さっきの話の続きしなくて」

「休憩時間の時にでも話すよ」

「そうか。これはステラとアメリアの問題だしな。これ以上聞くのはやめとくよ」

「ありがとうレイン」


 正直、アメリアが朝の話の続きをしてくれるかどうか分からない。でも、少しでもアメリアが本当のことを話してくれるのなら、僕はそれを受け入れる覚悟はできている。どんな結果になろうと、僕はアメリアを嫌いになることはない。絶対にだ。


「お待たせ。クロウがいいよだって。でもあと5分待ってだって」

「分かった。じゃあ、クロウが来るまで私たちで少しするか」

「ええ、そうしましょ」


ドン


「今がチャンスだ、聞きたいことがあるんだろ」

「そうだったな、ありがとうレイン」


 僕はアメリアと話をするため、その場から離れた。


「アメリア!」

「どうしたのステラ?」

「朝の話の続きをしたくてさ」

「あのことか…やっぱり聞くの」

「もちろんだ。僕は君の本当の正体を知りたい。教えてくれないか」

「ええ、良いわよ。でもどこから話そうかしら…そうね、まずは私の過去について話そうかな」



 私はね、アフォルト男爵家の長女として生まれた。父はいっつも忙しい人だった。母は、父とは真逆でいつも冷静だった。家族と穏やかな暮らしをしているときは一番楽しかった。

 学校に通い始めてからは、男爵家の生まれだから周りから忌み嫌われていた。特に、上級階級貴族の子たちからは酷いいじめを受けていたの。私が近寄ればみんな離れていく。私がその場から離れたら、その場に集まっていく。誰も私の心の叫び声なんて聞いてくれない、誰も私に振り向いてくれなかったのよ。そんな毎日が孤独だった。

 でも、唯一私に手を差し伸べてくれた人がいた。それは、ステラの家エレファン侯爵家の長男、ティソス・フォン・エレファン様だった。

 彼はその学校の講師で、男爵家の私でも優しく接してくださり、私にとって憧れの存在だった。この人のように自由で強く生きよう、そんな自分がとても好きになっていった。

 私が12歳になった年、私の領地の隣に位置するランダ伯爵家が、戦争を仕掛けてきたの。圧倒的な数の軍隊を持っていたから、一日も経たないで負けてしまったわ。そんな時に助けてくれたのが、ティソス様だった。彼は私たちをエレファン侯爵家の領地に連れて行ってくださり、別邸で私たちは生活していたの。数年後には新しい領地までもらったの。

 私は今でも感謝している。本当に嬉しかったの。

 エレファン侯爵家領で暮らして、数日が経過した時、彼は私にこう言ったの。


「いつか、君は僕の弟に会うことだろう。弟は私たちとは違う存在だから、扱いにくいかもしれないけど、弟を頼む。私はもう……」


 その後のことは分からない。彼はそのことだけ言って、生涯を終えたわ。



「それから2年後、エレファン侯爵家のゼルド様から学園に入学してもいいと言われて学園入学してきたんだ。その時同時にステラのことを頼むと言ってきたのよ」

「そうだったんだね。君の過去を知らずに僕は…」

「いいのよ、ステラだって話せないことだってあるじゃない。お互い様よ」

「そうだな。ありがとうアメリア、僕に話してくれて」

「うんうん、私の方こそステラに話して私心が少しスッキリした。ありがとう!」

「おお、じゃ行こうか」

「ええ」


 僕はアメリアの過去を受け入れた。僕はそれでよかった。でもどこかおかしいと思ってしまった。

 その後の魔法訓練は予定通り行われ、一日が終わった。

 

 

「帝国英雄戦記」第七話読んでくださりありがとうございました!

アメリアとステラの過去は少し似ていると思いました。なぜ最後にステラはアメリアの話を聞いて、どこかおかしいと思ったのでしょうか?その答えはまだ先の話になります。ですが、きっと良くないことだと思います。

ではまた次回で!!

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