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盲目  作者: 香豊大
10/19

盲目⑩

そんな考査から、一月が過ぎた。

今日は、大学入学共通テストの日だ。

私は今まで勉強してきた成果を、存分に発揮した。

何の憂いも無かった。自己採点でも、満足のいく結果だった。


前期試験も、自分の実力をしっかり出せた。

その結果、私は見事難関と呼ばれる国立大学に合格した。

そして、草間君もまた、同じ大学に合格していた。

草間君と学部は違うが、同じキャンパスで勉強できる。新生活に不安を抱いていた私は、それだけで心が一層軽くなった。


合格の余韻に浸っていた私は、その夜、喜びに体力を割きすぎたのか、いつもより少し早く寝てしまった。

次の日、そんな私を起こしたのは、アラーム音ではなく、着信音だった。

着信音を鳴らすスマホの画面には、「草間優祐」の名前が表示されていて、私の胸は高鳴った。電話口から聞こえた彼の言葉は、私にとって夢のような言葉だった。


夢でないことを確認したくて、私は家のベランダに出た。

閑静な住宅街に、風が吹いていた。その冷たい風は、私にこれが夢ではなく現実だと教えてくれた。

ふと隣の家を見ると、ベランダに私の新しい「彼氏」の姿があった。

驚いて声も出なかったが、彼は私の気配に気付いたのか、振り向いて、そこに居たのが私だと分かると、微笑んで、ぎこちなく手を振ってくれた。

久しぶりに笑った。私の動作もぎこちなかったが、彼の姿を見ているだけで、心が高揚した。

そんな時、また風が吹いた。

さっきは冷たかった弥生の風は、不思議とあたたかく感じられ、私たちを優しく包みこんだ。

心地良い風に思わず目を瞑っていた私が目を開けると、昏かった空が、東雲色に染まった。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

拙い部分も多々あると思います。

厳しくても構いませんので感想等いただけると今後の励みになります。

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