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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

ブラックコーヒー

作者: 闇谷五郎
掲載日:2020/02/03

毎日毎日、上司(田辺雄三)にさんざん「藤田、お前は全然使えない、早く辞めろ」と言われる。


朝の8時から夜の1時まで、毎日毎日会社の資料整理をさせられ、現実か夢かわからないくらい疲労が溜まっていた。


夜、クタクタになって帰宅してる途中ふと空を見上げると、星が綺麗に見えた。疲れて、あまりにも疲れていた私は、ただ単純に今の生活から逃げ出したくなった。


気の向くままに、夜の街を歩いた。暗い場所は怖かったので、街灯が綺麗な、深夜の車の通らない車道の上を歩いた。


その時まるで、街が自分のものになったかのような気がしてテンションが上がった。


と言うのも今まで私は、会社のため、あのうざい上司のために生きているような気がしていたからだ。


深夜の街を散策するのは、楽しかった。いつも人が賑わっている店も、自分のものになったようで、最高だった。


ふらふらと歩いてたら、「おい、テメーどこみて歩いてんだ」と声が聞こえた。その時、振り向くと、20代くらいの不良2人がスーツを着た人を殴っていた。よく見ると、私をさんざん怒鳴りつけていた上司、田辺だった。


こんな夢、上出来だと思い、その不良に近づいた。夢なんだから、不良だろうと怖くはなかった。「オメーも殴られたいか、蹴られたいか、どっちなんだよ」「助けてくれ、藤田なあ、いままで悪かった、謝るから助けてくれ」。


その時、何もかもが吹っ切れた気がした。私は上司の顎を蹴り飛ばした。それから、10回、20回殴ると、上司は何も言わなくなった。「やばい、俺知らない」と不良たちは逃げていった。


その時の私は、今までは自分の手柄を横取りし、さんざん怒鳴りつけられても、何も言い返すことができなかったが、仕返しが出来てスッキリしていた。


家に着き、シャワー浴びて寝た。翌日9時になって、慌てて会社に行った。仕事をしていると、部長(市原広志)から「藤田くん、田辺君の事知らない?奥さん(田辺怜)から田辺くんが昨日から帰ってこないと連絡があった」と言われた。「知りません」と言うと「変だなー。いままで遅刻したことないのに、それより君、手が腫れてるよ、何したの」と言われ、昨日のことが夢ではなかったことを知った。


私はなるべく早く帰りたくて必死で仕事を終わらせたが、私が想像した以上に事は大きくなってた。


午後5時になり、帰る準備をしいたら、部長に「さっき警察から連絡が入った、悲しいことだが、田辺君が事件に巻き込まれ死んだそうだ、ひどい殺され方で、顔が潰れていたらしい、気の毒だ。」と聞かされた。


週末、私は犯人と疑われないように葬式に顔を出した。田辺さんの奥さんに挨拶すると、「夫が死んだ日は、結婚記念日だったんです、はやく帰るって連絡があって。こんな形で返ってくるとは。。私は、犯人を絶対許さない」と言われた。


やばいことになったと思い、なるべく遠くに行こうと思った。


電車を使いバスに乗って港に行き、それから沖縄行きのフェリーに乗った。海を眺めてると、「お前のせいで酷い目に遭った」と言われ振り返るとあの時の不良が果物ナイフを持っていた。


「おまえのせいで警察に追われた、知ってるだろうが、お前もマークされている、死にたくなければ、一緒に行動しろ」と言われた。


おそらく、芋づる式に捕まるのを避けるためだろうと思う。


沖縄に着くと、その人に倉庫に連れて行かれた。

「おまえがあんなやり方でやったせいだ。一人やっただけでも、捕まれば死刑だぞ、とりあえずここから出るな」と言われた。


私は後悔した。人を騙すなら騙された方が良いと思って生きてきたから、こんなこと本当はしたくはなかった。謝って許されるなら、何万回でも謝りたかった。


しばらくして、「シンジ兄貴、ただいま」と派手な服装を着た10代くらいの人が入ってきた。私の方を見て「おまえ誰」と言われた。どうやら使いぱしりのようだ。「藤田です」と言うと、「おまえ、聞いたよ、弱そうなのになかなかやるじゃん」と肩を叩かれた。名前呼ばないなら、なんで聞いたのか、気になったが聞かなかった。


3日後倉庫にあるテレビを見ると、私の起こした事件が放送していた。聞き込み調査の結果、その場所を暴れていた不良2人が指名手配されていた。


私は気になったので、シンジに聞いた。「あの時いた、もう一人は?」と聞くと「ジュンか、あいつとは途中ではぐれた、心配しなくてもあいつは捕まっても口を割らない」。


その夜、バイクの音がうるさくて目を覚ますと、沖縄では有名な暴走族に囲まれていた。リーダーのような人が「おまえが藤田か、俺とどっちが度胸あるか勝負しろ、おまえが勝ったらここにいさせてやる」と言われました。


それから砂浜で1ラウンド3分で殴り合いをした。2ラウンド目やってる途中、誰かが通報したのか、パトカーのサイレンが聞こえ試合は中断して逃げた。警察官が砂浜に降りてきた。私は体全体に砂をかけ、息をこらえた。しばらくして警察は返って行った。


その夜、私はシンジに、私があの日、なんであの行動を取ったのかを言った。「やっぱり、出頭することにする、シンジとジュンの事は絶対に言わない」と言うと「夢だと思ってやったなら、全然悪いことじゃないよ。その上司は現実で悪いことしても、おまえは我慢した、どう考えても、上司が悪い」と言われたが、私は出頭を選んだ。


警察署までの道を歩いているとき、私は、捕まったら真っ先に田辺の奥さんに謝りたいと思った。署まであと200メートル程の所で、背中に激痛が走った。


「おい殺人犯、覚めない夢は現実と同じだ、都合のいい言い訳しやが‥…」


意識が遠のいた。

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