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作詞集  作者: 因美美果
31/33

作詞・31

長らく抱いた憧憬が 大人になって巣立って

取り戻せないところまで 小さな影に成り果てた

誰かに馬鹿にされたこと 今まで何度あっただろう

誰かに称えられたこと どれだけ覚えているだろう


真っ直ぐ歩いたつもりで 実際真っ直ぐ歩けたよ

そんなことはどうでも良い 間違えたのは道だから


ずっと離せなかったあの子をやっと今日捨てて来れたんだ

愛したはずでも今の目には一つも可愛く思えなくて

酷い奴だと責められたり 寂しいことだと泣かれたり

満員電車を見渡してみたら死んだ背広だらけだ


別に珍しいことじゃないんだ みんな等しく惨めなだけ

安心して 後悔はしているからこれ以上何も言わないで

関係ないでしょう 関係ないでしょう

私が私の夢を諦めることくらい決めて良いはずでしょう



一億円を手に入れられる素晴らしい努力を捨てて

這いつくばるような怠け笑える友情を選んだ

人から羨まれる誇りと豪邸を蹴飛ばして

みんなと似たようなつまらない恋情に耽る


ありふれた一生と呆れた 人々も同じ顔だった

そんなに悪くはないって 顔してるじゃないか


誰かのせいで生活が苦しいから誰かに祈って

機嫌の良いことがあれば祈ったお陰にして

いよいよ世界の終わりだ 人類まとめて滅亡だ

そんな日は決して来ちゃくれないから生き続けなきゃ


あなただって子どもの頃を裏切ってここに来たんでしょう

なら目指したものになれないと知った痛みも分かるでしょう

言い訳とでも言えば良い 半端者とでも呼べば良い

けど一つ分かってほしいのは不幸なわけじゃないってこと



絵を描いて生きたかった 家族もそれを望んでいた

世界に一度は飛び込んだ 案の定思い知らされた

それと同時に気付いた 手のひらに残っていた

それの為に生きたくなった やっぱり言い訳なんだな



間違えたのは道だから 今からそっちに向かうよ

いつ頃着くか分からないよ 正解かなんて尚のこと


あなたから貰ったものは明日にあげられなかったよ

捨てたことなら謝るよ それでも拾いには行かないよ

飛べなかった昨日さえ 小さく破れた傷痕さえ

いつか生きる喜びに薄れ思い出せなくなるから


どれだけ大事だったかは言われるまでもなく分かっているよ

諦めたことの惨めさの味も飲み込んだから知っているよ

本当にごめんね 本当にごめんね

あの子より大切なものができてしまったんだ


手放した過去の夢が全部なわけじゃなかったよ

今でも幸せなものがちゃんと残っているんだよ

失くしたことも本当で 見つけたことも真実で

私があなたになった時に今度こそ報えるように

 

『零落』

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