作詞・19
もう終わりにしたかったんだ 逃げ道はそれしかなかった
何も誇れない幕引きだけど それは生きていたって同じこと
問題は手段だけなんだ どうしたら一番楽なのか
苦しいのも痛いのも嫌だよ だから今から終わらせるんだよ
頭を抱えて生き続ける 僕の前に現れた人
透き通った穏やかな声が 僕に希望を与えたよ
これから終わる旅へ出よう そして好きな手段を選びなさい
縊死 転落死 絞死 溺死 焼死 餓死 どれも同じ死
何を選んでみたところで 結局痛みは付いて回った
あれでもなくこれでもなく 答えは無いまま辛さだけが募り
死ねる勇気さえあるなら すぐにでもここから飛び降りられるのに
それからも色々試して 終わっては最初に巻き戻り
僕に残るのは今は無い痛みと身を凍くほどの真っ黒
手段は一つ一つと集って 大きく膨れ上がるばかり
終わるなら何でも良かった それは遠いついさっきまでのこと
決めるどころか見る間に 青さを増していく僕に
あの人が耳元で言った 変わることない安らかな声で
まだ続くけどとりあえず 素敵な終わりはあったかい
絞殺 刺殺 銃殺 毒殺 焼殺 今はどれも同じ自殺
何を選んだところで 殺してくれる人は居なかった
あれでもなくこれでもなく 答えは無いまま辛さだけが募り
死ねる勇気さえあるなら 生きることも容易かっただろうな
繰り返し続けた半歩の旅路 得られたものは冷や汗くらいで
生き返り続けた半端な轍 分かった答えは皆同じことで
あの人が最後みたいに 優しく笑いかけながら
僕の頬に手を伸ばした 旅は終わっていたんだ
つまり始まっていたんだ
出会った時と変わらない 透き通った穏やかな声が
見透かした眼差しで 菊の花の匂いがした
全て試し尽くした 君の好きなように終わりなさい
先の見えない道が怖いだけで 見えてしまった死には敵わないよ
何を選んだところで いつか選んだところで
泣きべそかけるだけマシで 僕が許されていた証拠で
抱きしめてくれる人は居ない それも今だけなのかもしれないよ
『安楽死』