作詞・15
忘れられそうだったのに ずっと隣にいたことも
恥ずかしいだけの記憶で 思わず恨んでしまうんだ
馬鹿にされてムキになって 掴みかかってはみたけど
簡単に殴られておしまい 切れた唇は無駄死にで
必死に歩いたつもりで いたのはきっと僕だけで
怒鳴り声にただ固まって 止まない雨雲に八つ当たり
「少しは笑ったら」なんて 無責任なことを言わないで
笑える人生じゃないんだって 思い知らせないで
媚びることは得意だよ お陰で敵も増えたけど
今のままで十分幸せで 心だけが納得してなくて
自由に生きていたいよ 他人に構われることなく
他人に構いたい奴らの 自由なんて少しも要らないよ
大切な誰かを見つけられたなら 少しはマシになれてたかな
明日が褪せるくらいに鮮やかな今日を今すぐに寄越して
今日が霞むくらいに素晴らしい明日を枕元に置いて
誰が恋人になろうとも 好き合えるならそれで十分だ
それが今は居なくとも いつか見つかるなら十分だ
醜い傷を舐め合うのは そんなに醜いことですか
その前に僕の傷なんかを 選んでくれる人がいないんだ
死んだ人達に祈って 「願わくば安らかに眠って」
「早くこの世から出て行って」 過去の僕と忌み合い続けたよ
失敗や恥が新しく 生まれる度に積み上げて
僕よりも大きく育った 思い出が僕を見下していた
目を合わせば足は竦んで 声も震えてしまったよ
永遠を飽くほどに酸いた儚さをたらふく食わせて
刹那を嘲るほどに甘い悠久を一つだけでも抱かせて
桜が散った頃だった 花弁が土に塗れていた
上手く行かないことばかりだ けれど恵まれなかったわけでもない
言い訳すら許されなかった それこそ恵まれていない証拠だ
情けなくなるんだよ 苦悩も僕だけのものだよ
助けられてばかりで 誰の役にも立てない僕だよ
どうしたら君になれますか 怖がりで戦えない僕は
何かをできた気はしない 傷の仇討ちも叶わなかったよ
だけど忘れられないその記憶じゃ 何もしなかったわけでもないだろう
悔し涙を拭って 僕は確かに立ち向かったんだよ
僕を嫌になるくらいに素敵な君に会いたいよ
君の隣を歩けるくらいにはマシな僕になりたいよ
ゆりかごで泣いた僕が居た 誰かが愛おしく思えて
駆けて転んだ僕が居た 誰かが優しく慰めて
一人彷徨った僕が居た 誰かが不安を抱えて
今は泣かない僕だよ 幸せへ歩く僕だよ
挫折して嘆いた僕が居た 誰かが背中を支えて
踏み出せないままの僕が居た 誰かが手を差し伸べて
痛みと眠る僕が居た 誰かが側で手を握って
今は君と在る僕だよ 戦い続ける僕だよ
『仕返し』