作詞・1
「正義は弱い者の味方なんでしょう」
「ヒーローは困っている人を助けるんでしょう」
そう君が泣いた時 僕は何も言えなかった
「そうだよ」なんて頷けなかった
彼はいつだって皆の中心 皆の人気者
いつでも誰かを助けては 賞賛されて微笑んでいる
とても幸せそうに笑って 実際きっと幸せだったんだろう
そんな彼も誰かの何かの保証人になって 逃げられて借金に溺れているってさ
僕は君を知らないからさ 君は僕を知らないからさ
だから君に思うことなんて 「綺麗だな」って以外にある訳ないよ
「君だってヒーローになれる」ってそんなの嘘だって分かっているけど
せめてヒーローに助けられるくらいしてもらえたって良かっただろう
いつまで経っても見つけてくれないから自分で歩くしかなかったんだよ
せめて前に進むことくらい許してくれたって良いだろう
「神様はいつも全部見ているんでしょう」
「善いことをしていれば天国へ行けるんでしょう」
そう君が泣いた時 僕は何も言えなかった
「違うよ」なんて首を振れなかった
彼女はいつだって皆の憧憬 皆の人気者
可愛い笑顔を振り撒いて 尊敬されて微笑んでいる
とても満足そうに笑って 内心愛をもっととせがんでいるだろう
そんな彼女が窓から飛び降りたのも もうずっと前の話だけどさ
僕は君を知ったからさ 君は僕を知ったからさ
だけど 君に思うことなんて 「綺麗だな」って以外にやっぱりないよ
「君だって誰かの為になれる」ってそんなの嘘だって分かっているけど
せめて僕だって僕の為の誰かを見つけられたって良いだろう
声を上げたって聞いてもくれないから黙って耐えるしかなかったんだよ
せめてここにいることくらい許してくれたって良いだろう
正義のヒーローにも見つけてもらえなかった
だから 自分で助かるしかなかった
「汚い」だとか「醜い」だとか そんなこと言われたって仕方なかった
本当は彼に彼女に見つけてほしかった 僕も助けてほしかった
本当は彼を彼女を見つけたかった 僕も助けてみたかった
「君だってヒーローになれる」ってそんなの嘘だって分かっているけど
それでも憧れてしまったのなら最後まで憧れたって良いだろう
ヒーローだって困っているのならそれを助けるのは誰なんだ
そこにいるのが例え僕でも助けたいって願ったって良いだろう
「君だって助けてみせる」ってそんなの嘘だって思うかもしれないけど
それでも君が僕を呼んだんだよ「助けて」って呼んだんだよ
これも全部わがままなのかな 僕も案外幸せなのかな
せめて君と会えたくらいには 運が良かったって思っても良いのかな
「ずっと君を待っていたんだよ」
「ちゃんと来てくれてありがとう」
そう君が泣き止んだ時 僕は何も言えなかった
言うことなんて何もなかった
『悪者』