11.回想:私の『誕生会』(その3)
リリスの『誕生会』の続きです。
ルートビッヒは、ニコニコと楽しそうに微笑む娘から目を逸らし、壇下にいたリリスの通う初等部の学長に目を向けた。
学長は、苦笑いをしながら、リリスが言っていることは本当だと肯定するためルートビッヒに頷いて返答した。
その様子を確認して、彼は更に頭を抱えたくなったが、なんとかそれを押し止め、再度リリスに向き合う。
「リリス。」
「はいっ、お父様!」
「お前は、とりあえず中等部社会科、高等部政治社会専科に進みなさい。」
「はい。でも、計算のお勉強もしたいです!」
「あ゛ー、それは、商業科と商専科の試験も受けて良いから。そして、ちゃんと合格して学長から許可を貰えたら、そっちも続けて良いよ。」
「分かりました、お父様!ありがとうございます!」
「うん、、、。しっかり勉強するんだよ。」
「はいっ、もちろんです!お父様大好きっ!」
ルートビッヒは、遠い目をしながら娘の進学先を言い渡した。
リリスは、まだ自分の『道』を決めず、これからも好きな事を沢山学んで良いと言われたことが、本当に嬉しくて満面の笑みで父に弾んだ声で返事をした。
そして、リリス以外の全員が、ひとつの事を悟る。
『次の当主は、『リリス(姉さん、お姉さま、様)』で決まったな。』
こうして、リリスは自分の知らぬ間に、次期当主としての『道』を進むこととなった。
回想は、ここまでです。
次話から元に戻りますー。




