0.プロローグ
なろうでは、初投稿です。
登場人物、法律、その他諸々はフィクションです。
実際には有り得ないですが、暖かい目で読んでいただけると幸いです(*´ー`*)
『ただし、ミゼール領を除く』
ここ『ウルフォレスト王国』の法を学ぶと必ず一度は目にする文章である。
末端の法は勿論のこと、果ては王族に関する法にすら、この一文が何処かに出てくるのである。
ウルフォレスト王国ミゼール領。
南は、温暖で実り豊かな穀倉地が広がり、北は貴重な鉱物が多量に埋蔵する山々が聳え、東には水量豊かな大河が流れ、西には北の山々の裾野から広がる大きな森が広がり薬効高い薬草が採れる。
その昔、ミゼール領は『ミゼール公国』という名の国として存在していたが、周辺諸国が次々とウルフォレスト王国に吸収されてゆき、気が付けば王国の中にポツンとパズルの足りない1ピースのような状態になっていた。
小さな国ではあったが、土地の恩恵もあり、例え大国に周囲360゜囲まれようが不自由なく国として成立していた。
しかし、時が経てば、この豊かな国が欲しくなる者達も出てくるわけで。。。
公国に接する貴族や利権が欲しい中央の貴族達が、公国を落とさんとじわじわと動き出した。
初めは、なんとかいなしていたが、次々とくる様々な攻撃により公国は次第に疲弊した。
そして、200年程前、ついにミゼール公国はウルフォレスト王国に対し一つの提案をする決断をした。
「ウルフォレストを統べる王よ。貴国と我がミゼール公国は、長年善き隣人であったと思っていたのだが、此度の手出しは、貴殿の総意と受け取って良いのだろうか?」
「・・・。」
「『是』と言うなれば、例え公国を失うことになってもあらゆる手段を用いて抗わせてもらう。しかし、『否』と言うのであれば、我らは貴国に膝を折ろう。ただし、貴国に下ったとしても我らの誇りと善き隣人という認識は決して崩さぬ。故に、永世中立とし、貴国の政、その他諸々については一切関与せず口出ししない事を約束しよう。
さあ王よ、答えを聞こう。『是』か『否』か。」
「ミゼールの大公よ。貴殿の問いに答えよう。
答は、・・・『否』だ。」
「承知した。では、これ以降、我がミゼール公国は、ウルフォレスト王国の配下へと下ろう。」
「うむ。大公よ、此度の件、我が国の人間が貴国に迷惑をかけて大変申し訳なかった。あとでキツく処罰しておくゆえ、ここで手打ちにしてもらえると助かるのだが。」
「勿論ですとも。王が一切関与していなかったのは、分かっておりましたから。対応していただけるのであれば、私は何も申しませんよ。」
「感謝する。配下とはなるが、これからも善き隣人で、良き相談相手として付き合いを願おう。」
「えぇ、喜んで。」
こうして、地図上から『ミゼール公国』という名が消え、新しく『ミゼール領』という名の領が誕生した。