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第二話 魂の秘密

とりあえず、服?をもらった。

ステンドグラスの協会のような、どうみても洋風な雰囲気のこの場所で

何故か浴衣を渡された。



『七瀬様に馴染みのあるものといったらこういったものかなと思いまして…』


「浴衣はお祭りくらいでしか着ないけど…まあいいか、ありがとう」

(なにより素っ裸より全然いい!それに動きにくそうに見えて意外と軽くて着心地もいい。)


『なら良かったです。特別に誂えたものなので…』

ほっとしたのかヒノの顔がほころんだのも束の間、


『では、落ち着いた所で改めてお話をさせて頂きたいと思います。こちらへ…』



大広間から真っすぐと続くレッドカーペットに、凛とした天使?の少女が歩く。

その後ろを不似合いな浴衣を着た若者が続いた。



不思議な空間だった。

大広間とはいえこれほど真っすぐ歩いていて距離が縮まらない…ただ、外の景色は

段々と暗くなっていくのが分かった。星のような光がまばらに見える。



と、黙々と歩いていたヒノが、足を止めた。



『ここです。』



「ごくり」



真っ白な扉が突然現れたかと思いきや、ヒノは扉を開けた。





白い空間、その中心に大理石のような素材でできた円卓と椅子が2台。


自ずと椅子に座る。



『七瀬様』


「は、はいっ」


じっと瞳を見つめられ緊張が走る。



『貴方にお願いがあります。』


「うん…?」



『大変身勝手なことは重々承知しております。私を、いや…』






『世界を救ってください』






「どぅふぇっ?!」

思った以上にスケールがでかかった。


「ちょ、っと、まち!ますます良く分からないんだけど」


『七瀬様をこの世界に連れてきて、契約をお願いしたのは、私は基本外界に出る事が

出来ません。私の力は死者の魂を誘う事、そして、転生させる事ーー

この特殊故、力を狙う輩が多くいます。

その為に結界を張ったこの世界で身を潜めるしかないのです。』



ふぅ…と一息ついてヒノは続ける。



『七瀬様の魂を連れてきたのは、本当に賭けといっていいほど難しくて…貴方の魂もまた、

特殊でしたから…狙う者も多く居ましたので。』

さらっと言ってくれたが、俺の魂はそんなに狙われてるのかよ!と心の中で突っ込みつつ


「それはどういう…」

冷静に取り繕う。


『本来の魂は記憶やスキルを失い転生を繰り返すの対して、七瀬様の魂は前世の記憶やスキルを

受け継いだまま転生ができるのです。そして転生の(カルマ)に対する耐性もある…』



「…そうは言うけど、俺、前生きてた時っていうか、その前になるのかな?全く覚えて

ないんだけど…」


『それは何故なのかは分かりません…ただ七瀬様の魂に干渉が出来ないように何者かが

貴方の魂に封印をかけた可能性があります。こんな芸当が出来る事自体、もう神の領域には

なりますが…魂の封印が解けることで不利益になる者がいる、それと同時に特殊な魂という

ものは穢れたモノにとって力を蓄えるための極上の果実のようなものですから…』


「ということは、このまま死んでたら俺の魂は食われてたって事?」


『そういう事になりますね…魂を喰われた者は穢れた者の魂と融合し、永遠に転生もできず

救われないと…』


(なんてこった。意に沿わないとはいえ一応命を救われちゃってる感じかよ…)


「でも具体的に何をすればいいの?これといって俺に何か秀でた事なんて無いんだけど…」


『七瀬様には、転生をしてもらいます。いつ、どんな世界でどのように生まれ変わるのか、

それは分かりません。ただ、言えるのはこれから貴方は数々の世界に転生することで、普通の

人間の人生では到底辿り着けないようなスキルを身に着け、力を蓄えることができるのです。

その暁には私と共に、戦ってほしい…』


真っ直ぐな瞳に思わず頷きそうになってしまった…が、



『後、私と契約を交わしましたので万が一命を失った時はすぐさまこの世界へ魂が戻ってきます

のでご安心を。』


(だめだ、全然安心できる要素がない)

俺は我に返ったのであった。



「…申し訳ないけど、ちょっと頭が追い付かない。」


『でしょうね…』



暫しの沈黙の後、



「ねぇ、契約なんだけど、クーリングオフできないの?」



『できません…仮に契約を放棄されても今の七瀬様には魂を喰われる運命しか見えませんが…』



「ですよねー」



ヒノはニッコリと微笑んだのであった。


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