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8 天使達の召喚術 (タナカ アツシ登場)

二回目のグラビトン討伐を失敗たが王国には戻る事が出来た…………

 二度目のグラビトン捕獲に失敗し、今現在、王国外周の壁の破壊による入り口の確保が行われている。

 それが完成し次第、王都の復興を行うようだ。

 だが城に鎮座する王をどうするか、散らばっている瓦礫はどうするのかと、この国の問題は山積みだった。


 その為に、マルファーの町に残った者達も相当いたようだ。

 これまでの騒動で王都の人民は相当減ってしまった。


「よしお前等、瓦礫を撤去するぞ!」


「べノム、魔法でバーッてやったらダメなの?」


「阿保か! この中には遺体も埋まっているんだ。ちゃんと供養してやらないと、中にはまだ使える物や、思い出の品だってあるかもしれないだろ」


「でもそれ何時まで掛かるのよ? この調子だと復興する前に人の方が居なくなっちゃうわよ」


 確かに、今現在瓦礫が有って新しい住居を立てる事も出来ず、王都外壁の外での暮らしを余儀なくされている。

 このまま何年も耐え続ける者は少ないだろう。


 しかしこのまま瓦礫を魔法吹っ飛ばしたら、遺族は良い気分にはならない。

 だが確かにそうだ、その手も考えなければならない。

 もう俺の家も原型が残っていないのだ。

 ここは俺が犠牲になった方が良いのだろう。


「バール、伝令だ。作業を止めて、一度俺の家があった場所まで人を集めてくれ」


「ういー、行ってきまーす」


 バールが人を呼びに行き、俺の家があった場所にはもう何人か集まっていた。


「集まったらここを吹っ飛ばして、豪邸を建てるぞ」


「駄目ですよ隊長。いくら権力持ってるからって、そんな事出来る訳ないでしょう。他にも困っている人いるんですよ?」


 バールが反論して来ていた。

 確かに、こんな時に自分の家を豪邸にしろと言ってる、おかしな奴に思われるだろう。

 しかしここに住んで居た俺達は全員無事で、瓦礫の中には私物しか埋まってないのだ。


 ここを開放し、住民が住める住居を作れば、まともな家に住む事が出来たら、少しは安心してくれる人も出るだろう。

 そして作業が始まり三日もすると家の基礎が出来上がる。

 その一週間後には豪邸が完成していた。


 流石は俺の部下達だ。

 とはいえ、この家に全員が入れる訳では無い。

 出来る限り、子供と母親達を優先して住まわせた。


 この作戦が成功し、兵士や国民にも土地を提供出来る立候補者が出だすと、住居問題は一気に解決したのだ。


 国民の皆にはアンケートに答えて貰い、瓦礫撤去の参考とさせてもらった。

 残念ながらアンケートに答えられなかった人達の家は、問答無用で消滅させるしかなかった。

 ある程度町の復興が進められたが、まだメギド様や、グラビトンを助ける手段は見つかっていない。


「これからどうするか。まあ成る様にしかならないよな」


「ねぇべノム、黄昏たそがれてないでこっちに来てみて。なんかベールさん達が面白い事をするみたいだよ」


 ロッテ、面白い事ってなんだ?

 嫌な予感しかしねぇんだが。


「なんかね、この世界に救う知識が無いのなら、別の世界から取り寄せればいいんだって」


「はぁ?! それ何処でやってんだ! 早く言え!」


 訳の分からん事になる前に止めないと。


「外壁の近くに大きな木があったじゃない。そこでやってるよ」


 俺は飛び立ち、その場所へと向かった。

 そこには見た事もない魔方陣と、天使の三人が何か唱えている。


「ちょっと待てえええええええ!」


「あっ、べノムさん、そんな所踏んだら意味が変わって……」


「えっ?」


 止めようとしたのに、まさか俺がやらかしてしまったのか?!


 地面に描かれた魔方陣が輝き、光が天に昇って行く。

 そして目がくらむ様な眩しさが辺りを包み、光が収まると、そこには何も変わってはいなかった。


「? 何か反応があったと思ったんですが、どうやら失敗した様ですね? それではもう一度やりましょうか。皆さんもう一度準備を」


 ベールの号令で、他の二人が魔方陣の準備をし始めた。

 このままやらせるせる訳にはいかない。


「やらんで良いわ!」


「なぁにべノムさん、私達がせっかく助けてあげようとしているのに、どうして止めるのよ」


 シェルハユが文句を言っている。


「一応聞いておくが、何を呼び出そうとしてたんだよ?」


「本よ、別の世界の知識が詰まった本を呼び出そうとしていたの」


「お前等が何かすると、迷惑なんだよ! もうやらんでいいから、大人しくしていてくれ」


 シェルハユを説き伏せ、俺はこの場を後にした。

 これ以上面倒事を増やさないでくれと祈り、作業へと戻った。


 二日後の夜、王城に光が落ちた。


 どうにも嫌な予感がした俺は、メギド様が居られる王城に向かった。

 だがこの中には入れないのだ。

 城門の先に進むと、もれなく電撃の雨で焼き殺される。

 この王城の中は、今どうなっているのか分からない。


 俺は暫く考えていると、入り口から男が出て来た。

 男と言うよりは男の子と言った方がいいのだろう。


「何だこれ! こんなの間違ってる、いきなりラスボス戦とかゲームバランス狂ってるって!」


 何言ってるんだ此奴?

 ゲーム? カードゲームでもしていたのか?


「うぎゃあああああ、またモンスターが! く、来るな!」


 俺の事言ってるのかよ。

 モンスターとか傷つくぜ。

 しかし俺の事を知らないとなると、王国の民じゃないのか?


「おいお前、何処から来たんだよ。帝国か? それともブリガンテか?」


「お前言葉が喋れるのか? 俺は日本から来たんだ。もしかしてお前が俺をここに呼んだのか?」


 日本? 聞いた事が無い場所だ。

 だが心当たりはある。

 あの天使達が何かやっていた影響で、間違ってこの場所に来たのだろう。

 天使の元へ捕まえて連れて行こうか?


「お前、ちょっとこっちへ来い」


 俺が手を伸ばそうとした瞬間、その男は地面の砂を掴み、俺に投げつけた。


「誰がお前みたいな化け物に捕まるかよ! バーカ」


 大丈夫、俺は大人だ、子供の言う事にいちいち腹を立てたりしない。


「待てコラアアアアアアアアアアアアアアアアア!」


 大丈夫、俺は冷静だ。

 ただ一発ぶん殴って謝らせるだけにしておこう。

 しかし奴は意外と素早い。


 だからと言って、速さで俺に勝てる訳がないだろがな。

 その二秒後には男の目の前に着いていた。


「悪いようにはしないから、ちょ~っとこっちに来いよ。大丈夫、一発殴るだけで勘弁かんべんしてやるから」


「うあああ化け物、こっち来るんじゃねぇよ!」


 男はまた逃げようと、後を向いて走り出す。

 だが無駄だ。

 同じように男の目の前に移動すると、男が尻もちをついてしまった。


「何だよぉ、お前俺を殺すつもりなのかよ……クソッ、なめんなよ。簡単に殺されないんだからな!」


「そんな気は無いぞ。ただちょっとムカついたから一発ぶん殴るだけだ」


「誰かたすけてーーー!」


 ほんのりと怒りを込めて拳を振り上げるも、俺を止めるようにグレモリアが走って来ていた。


「何やってるのよべノム? こんな子を虐めちゃ可哀想でしょ。さあ此方にいらっしゃい」


「おねえさああああああああああん!」


 男がグレモリアに抱き着く。

 グレモリアには見えていない様だが、その顔は顔がにやけていた。


「うわあああああああ怖かったよ」


 そんな事を言いながら、グレモリアの胸を揉みしだいている。

 当然のように怒るグレモリアは、右の拳を男に炸裂させた。


「エロガキは死ね!」


 男が地面に倒れ、頭から煙が上がっている気がする。

 まあこれで許してやろうか。


「なんでだ?! 召喚された勇者だったら、こんな事しても平気なはずなのに!」


 何言ってんだこいつ?

 もしかしたら可哀想な奴なのかもしれないな。


「ほら、許してやるから俺に付いて来いよ。ここには凶暴な女が沢山いるんだよ」


「ほ、本当に酷い事をしないんだろうな? 絶対だぞ」


「ああ、絶対だ。お前が何もしなけりゃな。もし俺の知ってる女に同じ事をしてみろ、その女がお前の頭を消し飛ばすぞ」


「なんだよ、ここはそういう所なんだな。ガッカリだよ!」


「そういえばお前の名前を聞いていなかったな。俺はべノム、べノムザッパーだ。お前の名前は何だ?」


「俺はタナカアツシ。きっと俺はこの世界を救う為に呼び出されたんだ!」


「へ~」


 間違って魔方陣を踏んだからお前が来たって言ったら怒るだろうか?

 言わなくて良い事は黙っておくとしよう。


 しかしどうしよう。

 変な事故でこっちへやって来たなら、向うへ帰る方法なんて無いぞ。

 まあなる様にしかならないな。


べノムザッパー(王国、探索班)     アスタロッテ(べノムの部下)

グレモリア  (べノムの居候)     バール(王国、探索班伝令係)

べーゼユール  (居候天使1)     グーザフィア(居候天使2)

シェルハユ(マルファーの嫁天使)

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