10 禁忌の魔法
子供達の願いを聞いてシェルハユの元へ……
「行こうよ」
「べノム早く行こーよっ!」
「ねぇ早くぅ」
「楽しみだね」
「はいはい、ちょっと待ってくださいね。今用意しますからもう少しだけ待っていてくださいね」
ルキ様、ラヴィ―ナ様、アンリ様、ラム嬢を連れて、マルファーの家に向かうことになった俺。
何でも石の天使シェルハユに聞きたい事があるそうだ。
お子様四人が聞きたいことというと、天使が居るという天界のことだろうか?
「べノム、子供達を連れて何処に行くの?」
俺がお子様に対応していると、ロッテがひょっこり顔をのぞかせている。
まあ軽い遠足みたいなものだ。
子供達の面倒を見て貰う為に、付き合って貰ってもいいだろう。
「マルファーの所に行くんだよ。お前も一緒に来てくれ。子供達の面倒をみてくれると助かる」
「分かった、じゃあ準備するから待っててね」
「私も行くわ! 子連れデートなんてさせないんだから」
もう一人は、居候のグレモリアだ。
別にデートじゃないが、付いて来るのなら手伝って貰おうか。
手が増えるのは嬉しい。
「来るなら手伝って貰うぞ。準備は手早くしろよ。もうすぐ出発するからな」
俺とロッテ、グレモリアも入れて、七人でマルファーの家に向かった。
既に俺の部下達が、向かう道の安全を確保している。
安全な道を馬車で進み、その家にまで到着した。
「あらいらっしゃい素敵な子供達。こんなに大勢で今日はなんのご用かしら?」
マルファーの家に付くと、天使シェルハユが迎えてくれた。
今マルファーは仕事で出掛けているんだそうだ。
「うわー本当に天使さんなんだね。白い羽が生えているね」
「ねぇ天使さん、私達魔法を探しているのぉ」
「ものすっごい魔法があるんでしょっ! 何処にあるのか教えて欲しいのっ!」
「どこどこ?」
「魔法は確かにあるけれど、とても危ない物なのよ。だから諦めて此処で遊んでいきなさい」
子供達は納得していなかったが、暫くするとそんな事は忘れて家の中で走り回っていた。
暇そうなグレモリアがそれを見守っている。
凄い魔法か、そんなものがあるのか?
いやマルファーが天使を発見したのは、確か子供達と魔法を探す為だったか?
俺も気になるし、詳細を聞いてみてもいいだろう。
「なぁ、その魔法ってどんな魔法なんだ? 凄い爆発とかするのかよ?」
「違うわよ。危険なのは使う側で、二人の命を犠牲にして、一人を生き返らせる事が出来る魔法よ。しかも、死んで一日以内に使わなければ、使った者がただ死ぬだけなの。大昔にこの魔法が広まったある国は、この魔法を使った者を蘇らせる為に、更なる誰かを犠牲にして、その内誰ぁれも居なくなってしまったのですって」
全く、馬鹿な話もあるものだ。
生き返れる事を全員が知っていて、死ぬのを躊躇わなくなったのだ。
自分の親や子供が偶然にでも死んでしまったのなら、家族や恋人ならその魔法を使ってしまうのだろう。
しかしそれで使った者二人が死ぬ。
その二人を生き返らせる為に他の誰かが……。
そして時間切れでも使った者が死んでしまう。
その魔法は広めてはいけない魔法だ。
いや存在すら知ってはならない気がする。
知ったのなら絶対にそれを頼るだろうから。
「もしべノムが死んじゃったのなら、私の命をあげてもいいわよ」
ロッテ、冗談でもそんな事は言うなよ。
「この話は忘れるんだ! 他の誰にも言っては駄目だ。いいか絶対だ。分かったか!」
「ただの冗談じゃない、そんなに怒らなくてもいいでしょ」
俺だったら使うだろうか……。
止めておこう、そんな事はその時にしか分からない。
「シェルハユ、その魔法は誰にも見つからない所にあるんだろうな?」
「大丈夫よ、私と妹が教えなければ絶対使えないんだから」
こいつの妹は壊された石像だと言っていたか。
妹が死んだというのに全然悲しそうな感じがしないな。
天使とは薄情な奴だな。
「なぁお前の妹は葬ってやらなくても良いのかよ? 置き去りにしているんだろ?」
「は? 何を言ってるの? 妹は死んでないわよ。壊されただけよ」
「いやお前こそ何を言ってるんだよ。普通バラバラにされたら死ぬだろうがよ」
「私達は夢を操るのよ、体が無くなったって心だけでも生きていけるのよ」
ああ分かった、天使ってのは非常識なんだな。
人じゃないのだから、しょうがないのかね?
「そうだわ、妹を助けに行かないと。一人だけ良い暮らししてたら怒られちゃうわ」
「その人どうやって助けるの? 体が無いんでしょ?」
「大丈夫よ、私の体に入れちゃえば……やっぱり止めましょう、マルファーと抱き合えなくなっちゃうわ」
俺達が居た時も抱き合ってたのに、妹が居ると駄目なのか?
「それじゃあ私がやる! 天使を体に入れるだなんて、なんか面白そうじゃない」
「ロッテさんが受け入れてくれるんですか? なら安心ですね」
体の中に天使が居たのなら煩そうだ。
その内体を乗っ取ったりしないだろうな?
「おい止めとけ。どうなるか分からねぇぞ」
「特に問題無いわよ。その内ロッテさんに吸収されて、妹の記憶が引き継がれるだけだから」
天使の記憶、寿命が長い分人より多い。
自分より多い記憶の中に飲まれたら、自分が無くなってしまうんじゃ?
「いやそれ駄目じゃねぇか。そんなのに飲み込まれたら自分が分からなくなるだろうが。そのままお前の妹になったらどうすんだ」
「確かに妹になるけど、ロッテさんはロッテさんよ?」
やっぱり乗っ取られるんじゃねぇか。
「何それ? 私の心は無くなっちゃうの?」
「無くならないわよ。ただ記憶が増えるだけ。ロッテさんの記憶の方が上位になるの。ロッテさんだけが知らない物を見ても、何となく思い出せるぐらいの事よ」
「それならやる」
「本当にやるのかよ? 後悔するかもしれないんだぞ」
「絶対大丈夫! もしその子が乗っ取ろうとして来ても私は絶対負けないし!」
まさか究極の魔法ってのを狙ってるのか?
……いや考えすぎか。
「それじゃあ今日は子供達が居るから、明日行きましょう」
本当は止めたかったが、本人が望んでいるのならこれ以上は無理だな。
シェルハユの言う通りに、明日改めて出発する事にするか。
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次の朝、ロッテを連れてシェルハユの指定した場所へ向かうと、そこには朽ち果てた教会が有った。
この場所が話に聞いたシェルハユが居た場所だろうか。
こんな場所に教会があるとは知らなかった。
俺は教会を調べながら暫く待っていると、シェルハユがマルファーを連れてこちらに向かって来た。
「お前も来たのかよ、まあ良いけどよ」
「私の妹ですからね。立ち会うのは当然ですよ」
てことはロッテはマルファーの妹になるのか?
ロッテが何て言うかは知らねえけどな。
「行きましょうか。さあこっちですよ」
マルファーの案内で、教会の内部へと侵入していく。
教会の内部から地下へ降りて行くと、目的のその場所に着いたらしい。
地下にある大きな広場だった。
だがそこに地面は無い、何メートルか下にその石像があるようだ。
まあ飛べる俺達には関係無いけどな。
俺はロッテを、シェルハユがマルファーをそれぞれ下ろし、壊れた石像の前に立った。
「ロッテさん、私の手を握って、それから逆の手で石像に触れてください」
言われた通りにロッテはシェルハユの手を握り、壊れた石像に手を触れた。
「はい終わりましたよ。じゃあ帰りましょう」
「えっ、終わったの?」
全く何も変化がねぇ。
もう少し何かあると思ったのだが、そうではないらしい。
まあ俺もこんなに早く終わるとは思わなかった。
「はい、たぶん今日の夢にでも出てきますから、その時はよろしくお願いします」
その夜、ロッテの夢にシェルハユの妹が出て来て、バラキラと名乗ったそうだ。
ロッテの体の方も問題無いそうで、とりあえず良かった、のだろう?
それより、今更言っても遅いのだが、こいつに天使の知識を与えて大丈夫なのか?
べノムザッパー(王国、探索班) アスタロッテ(べノムの部下)
シェルハユ(石になってた天使) マルファー(王国、探索班)
ルーキフェート(王国の王女様) ラヴィ―ナ(王国の王女様)
アンリマイン(王国の王女様) バル・ラム(王女様方の友達)
次回続き予定






