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16 1年花組、聖華先生

シャーイーンを連れて女王陛下の元へ走る私は、誤解を受けて大量の兵士に追われていた。シャーイーンの案内で、何とかその場所にたどり着いた私達は誤解を解いてもらった。しかしシャーイーンの頼みを聞いた女王陛下は、私に王子達と共に魔法学校に行けと命じられた……

 私はクソガキと……もといシャーイーン王子と、もう一人バーズ王子と共に魔法学校に通う事になっていた。

 そして今日がその初めての一日になる。

 ちなみに護衛の人が何処に居るのかは、私には知らされていない。

 私はエトという女の先生と共に、担当の教室に行くところだわ。

 ガラガラと扉が横に開き、私達はその教室に入る。

 教室の中に居たのは、思ったよりも少ない人数だった。

 数えて十人、王子二人入れても、十二人という少なさだ。

 そういえばお金持ちしか入れないみたいな事を言っていたし、そんなに人数は居ないのね?


「は~い皆、お早う御座います。今日は新しいお友達と、新しい先生を紹介します。皆仲良くね」


「「「「「は~い」」」」」


 元気よく返事をする子供達、勢い余って飛んじゃう様な子も居るわ。

 何処の世界も変わらないわね。


「ではでは聖華先生、自己紹介をお願いします」


「あ、はい。えっと~、これから皆の授業をたまに担当する聖華です。顔を忘れない様に皆宜しくね。それからこの二人は、右からシャーイーンおう……」


 あ、王子というのは伏せなきゃいけないんだったわ。


「シャーイーンと、バーズ君です。仲良くしてあげてね」


「「「「「は~い」」」」」


「あ、聖華さん、自己紹介も終わったので、私は別の仕事をしてきますね。じゃあ後は任せます」


「え? ちょっと待ってください、居てくれるんじゃないんですか?!」


「口出しされるのも嫌でしょう? 二人で居ても邪魔になるだけですから。でもそんなに心配しなくても大丈夫ですよ、ここの子達は良い子ばかりですから。じゃあまた後でお会いしましょう」


「あ、ちょ、ちょっと……」


 行ってしまった。

 私に付いてくれる訳じゃないのね……。

 残された私は、如何にか授業を進めなければいけないのだけど、私の手には教科書も持たされていない。

 エト先生も何も持っていなかったし、まさか全部アドリブでやれと?!

 私の発言を子供達が待っている。

 何か言わなければ……。


「じゃ、じゃあ二人共席についてね。え~っとえっ~と……そうだわ、皆のことを知りたいから、自己紹介してもらおうかしら。そこの窓側の君からお願い」


「あい、僕はウィール・ソプラニコスです。んとお菓子とか好き~」


 一番最初に元気よく返事したのは、ウィールという男の子。

 この中では一番小さいわ。

 プラチナブロンドが輝く、可愛らしい子ね。


「先生、俺リグルッドだよ」


 ピョンピョン跳びはねるリグルッド君。

 黒髪だと思ったら、光の加減で薄い緑色になるわね。

 地毛で緑色なんて初めて見たわ。


「私はアイゼンメリー・ブレイクファーストよ、アメリーって呼んで頂戴。」


 モコモコの茶髪の女の子ね。

 何処かの貴族の令嬢かなにかかしら?

 中々勝気な感じよね。

 食事関係の名前をしていても、特に体型が太ってるなんてことも無いわ。


「アリアドーレ・フリアスト……です。よろしく、先生」


 この子も女の子ね。

 金髪で真っ直ぐな髪を弄りながら、あまり興味なさそうに返事をしているわ。


「俺っちピースだぜぃ、先生よろしくな!」


 何処かの漫画の主人公の様に、髪の毛が面白い事になってるわね。

 これは寝ぐせなのか、それとも狙ってやってるのか分からないわ。


「ランスロッド・グリーン、僕はこのクラスのいんちょなんだよ」


 いんちょ?

 ああ、委員長ね。

 しかしランスロッドか、色々な物語で出て来そうな名前よね。

 真面目そうな男の子だわ。


「私はリリーちゃんよ、それ以上でも以下でもないわ。先生、私の事はリリーちゃんって覚えてね」


 御団子頭で、フリッフリのドレスを着ているリリーちゃん、何となくシンパシーを感じるわ。

 魔法少女の事を教えたら共感してくれそうね。

 新しいメンバーとして勧誘してみようかしら?


「俺の名前はクロウ・ザ・クロウ。何時か最強を超える男だ。最強の魔王フレーレは俺が倒すんだぜ!」


 運動が得意そうな子だわ。

 体もがっしりしてるし、こんな歳でもかなり鍛えこんでるようね。

 でもあの人を倒すのは相当大変なんじゃないかしら?

 味方の内は大丈夫だろうけど、もし敵にでもなったら容赦ないわよ?


「ウィリー・ウィンリーだわさ。好きなように呼ぶだわさ」


 ツインテールでメガネを掛けた女の子ね。

 片手に何かの本を持って呼んでるわね。

 読書好きそうだわ。


「べノムザッパーだ、まあ俺の事は気にするな。特に喋る事はないぜ」


「へ~」


 私はその名前を知っている。

 彼は確か変身魔法を使えたはずだわ。

 感想はそれだけだ、きっと本人なんだろう。

 何というか彼も大変だわね。


 全員の挨拶が終わり、私は何をしようかと悩んでいる。

 このクラスは私が任されたんだ、もういっそ外で遊びに行くのも良いかもしれない。

 うん、べノムも居るし、たぶん大丈夫でしょう。


「全員外に出なさい、私と一緒にボール遊びをするわよ。私の国の遊びを教えてあげるわ!」


 嫌がってた女の子も多少居たけど、私は全員を連れて外に出た。

 あ、そういえばボールってあるのかしら?

 まあ良いか、無ければ作れば良いのよね。


 他の先生に聞き倉庫の場所を聞くと、そこでバレーボールの様なボールを見つけた。

 私達がやったのは、ボールを上にしか上げないバレーボールだ。

 これなら怪我もしないだろうと始めて、まあそこそこ楽しく遊んだわ。


 そしてこの日の授業を何とか終えると、私達は帰りの支度を始めている。

 そんな中、クロウ君とピース君が私に頼み事をしに来たのよね。


「先生って凄い魔法使いなんだろ? 俺この間の戦い見たんだぜ。俺達にも凄い魔法を教えてくれよ! 俺が最強になるのを手伝ってくれよ! 良いだろ先生!」


 私の戦いを見た……ね。

 魔法を教えようにも、彼が才能を持っていないと教える事は出来ないのよね。

 ていうか、いきなり教えても良いのかしら?

 一度他の先生に聞いてみなきゃいけないわね。


聖華    (アツシの母ちゃん) シャーイーン(追われて来た子供)

べノム   (王国の兵士)


次回→ 続き予定

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