会社が出来るときは
白い机の上に数枚の紙が置かれた。その紙には何人もの名前が小さい字で書かれていた。
「今月、あの殺人会社に殺害された無能力者は1021人です。そして、こちらが依頼された数…」
また、机の上に紙が置かれた。
「…多いわね…」
「はい。…あの小さな会社がこれだけの人数を殺せるのは不思議ですね。いくら会社が数軒に別れて散らばっているとしても、少し不思議です」
私は机の上に置かれた紙を見た。
「確かに、不思議ね。あの会社は餓死を基本としているわ。そのせいで殺すのにはかなり時間がかかるし、一人ひとりの食事の管理が増えて大変になるし…。会社一軒で受け付けるのは200人くらい。…この国には今何件あるのか、調べた?」
「今調べているところです」
「…そう…」
私は白い椅子から立ち上がり、報告をしてくれた黒児の背中を押した。
「もうこんな時間ね。あなたも休みなさい。ご苦労様」
「…」
「?…何よ?」
「いえ…」
黒児は私の手を避けるようにこっちを向いた。
「私が小さいころ、父に聞いたことがあります」
「…な、何を?」
私は会社の事かと思い、身を乗り出した。
「当時の国王様は、仕事をサボってばかりで苦労という言葉を知らなかったらしいのです。全てを放り出して下に任せる人だったと。…その国王様は苦労を知らないから疲れた下々の者を見ても、ご苦労様と言わなかったそうなんです。下々の者は、国王様を王位から追い出そうとしたのですが、国王様は国で一番強い能力者。誰も手を出せませんでした。国王様は民が自分に逆らおうとしている事を知り、大変お怒りになったそうです」
しばらくの沈黙に、期待した話でないとわかると私は肩を落とした。
「話はもうおしまい?さ、行くわよ」
再び背中を押そうとする私をさらりとよけ、また口を開いた。
「いいえ、まだ終わりません!…昔、無能力者が能力者たちに奴隷として使われていたのは知っていますね?」
「ええ、まあ…」
「国王様は殺人専門の会社をつくり、自分に逆らえば奴隷を殺すと脅しました。嫌がって、奴隷たちは主に泣きつき、そこから動かずにいました。主たちは困りました。そこから先はしばらく何もなかったので、主たちは逆らわないことを誓いました。しかし、これは国王様の作戦のうちだったのです。その誓いを利用し、その主たちを殺人会社に就かせました。そして、その会社で無能を殺せるかどうかが試されたのです。さまざまな実験に挑戦し、奴隷たちはたくさん死にました。主たちは泣く泣く国王様の命令を聞き、その手を汚しました。…おっと!」
私は、その時意識を失った。
「…寝てしまいましたか。能力のおかげで体と精神年齢は成長しましたが、子供が九時を過ぎると寝てしまうように白蝶さまも寝てしまうんですね?ま、まだ九歳ですからね、仕方ありません」
私は壁に掛けられている時計を見た。
「一時過ぎですか。白蝶さまも、寝てしまうわけです」
私は自分の主を抱えてベッドに運んだ。
目が覚めると、私はベッドのなかにいた。
「うえ、うええええええ!!?」
「う…ん…」
ベッドのそばにある小さな机には黒児が寄りかかって寝ていた。
「あ、白蝶さま、お目覚めですか?」
「ああええ、おはよう…」
私は今のこの状況になっている理由を思い出せないままだったから、必死に記憶を手繰り寄せた。
「覚えてませんか?昨日…というよりも今日、私があの会社に関わる話をしていたら寝てしまわれたのではないですか」
…必死に記憶を手繰り寄せたが全く思い出せず、先に回答を言われた敗北感にひどく落ち込む。
「あ、ああ、昨日は悪かったわね。せっかくの話の最中に寝てしまって」
「いえ、良いんです。あなたはまだ九歳ではないですか。その年でここまでやる人はなかなかいませんよ」
「そ…そう」
正直に言って、私は服を着替えたかった。が、せっかく私のために尽くしてくれた黒児に出ていけとは言いづらい。
「そういえば、昨日はその手を汚した、まで聞いたわね。その続きは?」
「え、ああ、はい。国王は亡くなり、国が元の平和な国に戻ろうとしたのですが、その会社だけは綺麗に残りました。そして、自分たちが手を汚さず人を殺せる方法を見つけたため、奴隷制がなくなった今は無能力者を殺す会社になったわけです。…それが、」
「あの会社…」
「というわけです」
その重要な情報を昨日聞き逃した私を残念に思った。
「じゃ、行きましょうか。もうあの会社の軒数はわかってるでしょ?」
「はい」
私たちは、その歴史のある会社をつぶすため、今日もいつもの部屋に向かった。
こんにちは、桜騎です!今回投稿しようとして気が付いたのですが、この話は長くなりそうですね。こんな感じですが、これからもよろしくお願いします!




