王位
殺気が会場に満ちる中、私はただ一人、呆然と香奈お姉さまの戦いを見ていた。…私には、誰ひとりとして剣を振って来ない。お姉さまも。…私は、ただ呆然と、姉・兄様の戦いを見ていた。ステージ場にいるのは私を入れて6人。べつにグルとかそういうのは無いから、1対5となるのだろうか?私は、さっき言われたこの王位争いのルールを思い出していた。
1.剣・短剣は自分の物を使ってもよし
2.グルはダメ 一方的に一定の人物を守るのはあり
3.ステージから出たら敗退となる 扉から出た時のみ
4.刺され、ダメージを受けても、立ち上がれるのならば負けと判定されない
5.死んだら負けとなる
6.能力をフルに使って戦え
5は当たり前のルールだろう。死んだら戦えない。2のルールは何だ?よくわからない。6は…私は使おうとしなくてもべつにいい。
今、能力と聞いて不思議に思った人はいるだろうか?この国は能力者の集まる国、白蝶国で、王は能力の強い者が務める。そして今、国王陛下がひどく体調不良なため、王位争いという名の戦いが開かれている。私は城に来たばかりだけど、不老不死の能力を気に入ったお義父さんが私に戦うように命じたわけで…。
そして今、私はそのステージに立っています。ここに来る前、お義父さんにはただ寝ているだけでいいと言われたのだが、そうすればお姉さまやおにい様に「ナメてんのか?おら」と言われかねない。そして、私はステージでぼったっているのだ。始まって5分。もうすでに血が流れているお姉さまもいるが、まだ誰も倒れようとしない。
「黒蝶!!ぼったてるんじゃないよ!あんたも戦いに参加しなさい!」
私は名前を呼ばれて我に返った。
「はいっ!」
と言われても、何をすればいいのかわからなかったので…私はステージ上に用意されていた剣を手に取った。その瞬間、私でもわかるほどに殺気が大きく膨らんだ。そこで今、私はわかった。私に剣を振りに来なかったのは私に戦う意思がないと見られていて、そのうちに私がここから出ていくと思われていたからだったのだ。そして、1対1対1で戦っていたところからお兄様が抜けてきて、こっちに向かって剣を飛ばしてきた。私はすぐにそれをかわす。
「黒蝶…おまえ、戦う意思があるのか?諦めるのなら今のうちだぜ?」
私は剣を構えた。
「あります。私には、意思と夢が!」
お兄様はにやりと笑った。
「ほう…?」
再び剣を握ったお兄様が、私に迫ってくる。私は手汗と一緒に剣を握りしめた。
「こいっ!」
目の前を見えない速度で剣が行き来する。私はそれになんとか対応。おお、何か自分できるぞ、剣!…というのは違った。私のレベルが凄いんじゃなくて、お兄様が手加減していただけ。どんどんレベルを上げられて、なんとかついて行った私の剣は今じゃ少しでも気を抜けば刺されてしまうほど。
「くっ…」
歯ぎしりしたちょうどその時、私の研ぎ澄まされた神経はすぐにもとに戻る。…そうだ。私、不死じゃん。私の頭は、もうそれ以外は考えられなくなった。その時、私の持っていた剣は弾き飛ばされた。
「もうおしまい?」
お兄様は私の首筋に剣の先を当ててくる。つ…と、首から一滴の血が流れ出た。そして、すこしずつ血が増えていく。
「うう…」
私は目をつぶって剣が貫通するのを待った。
その時、急に血がドパッとあふれ出た。そして、それ以上私の首を裂くものはなくなった。目を開ければ、そこには香奈お姉さまがお兄様と向かい合って立っていた。
「香奈お姉さま…?」
「あきらめるな!!」
今まで聞いたことの無いような香奈お姉さまの荒い声に、私は少し驚いた。
「何で…?…それに、グルはダメなんじゃ…?」
「いや、これは一方的な事だからいいんだ。…それよりも、あきらめるな。諦めたらそこで終わりだ。これはただの恰好つけじゃない。本当に最期になるんだ。この戦いにかけているのは己の命と、国民の思いだ。国民の一人ひとりには、国王になってほしい姫や王子がいるだろう。おまえにもいるんだ。それを忘れるな!!いいな、これが最後だ。後は、もう守ってやれない…」
私は、忘れていたその一言を思い出した。そして、ともにお義父さんの、あの言葉も…。
「心が王位に就くカギを握っている…」
私はその言葉を復唱した。お姉さまは私の事はもう一回も見ないで、その場を立ち去った。
私は、カギを見つけた。さっき、お義父さんに言われて、一番意味がわからなかった事。
「王位に就きたい。夢。国民の思い。己が命…」
私はもう一度剣を構えた。さっき以上に手汗も一緒に握りしめて。それはきっと、決してカッコいいことではないけど、私にはそれが一番欲しいことだった。『覚悟』この、今の事を、覚悟ということを知った。誰かに教えてもっらったわけではないけど、わかった。
「おいおい、まだやるのかよ?もう能力に頼ってもいいんだぜ?」
私はついつい、笑ってしまった。
「何だよ?何がおかしい?」
「いえ…」
私は歩を進めた。
「もう、頼っている」
「は?…まだおまえの能力は見てないけど?」
私がこうして、何倍も実力のあるお兄様に勝てるわけがない。そんな私が立ち向かえるのは、この不老不死という能力が与えてくれる永遠の余裕があるからなのだ。
「永遠の余裕」
呟けば、勇気がめらめらと私を熱く焦がした。
そこからは、もう記憶がなかった。気が付いたらさっきのお兄様は血だらけで倒れていて、その手に握られている剣は返り血で汚れていた。そして、気が付いたら戦闘終了の合図がなり、ステージから出たいた香奈お姉さまが目に入った。…後で話を聞くと、私がステージ外に追い出したらしい。…そして私はお義父さんがさっきまでかぶっていた王冠を手にしていた。
「ごめんなさい、香奈お姉さま…」
私は深く謝った。
「やめて、良いのよ。私には元々、人々を統べる才能なんてなかったんだから。…それに、あなたはもう、私達の継母なのよ?歳なんて関係ないわ。…それに、もしもあなたが残ったら、私は自分から外へ出るつもりだったのよ。だって、私はあなたの教育担当だし、政治に関して全く無知のままにしておくわけのにはいかないからね。そんなことになったら死んでも私は恥をかくし」
「香奈お姉さま…」
香奈お姉さまは首を振った。
「私はもう、あなたにとって娘なのよ、義理の。だから香奈って呼んでいいの。…それに、外見はなぜか私の上を行くしね」
「…え?」
私はそばにたまたまあった鏡を覗き込んだ。
「うわっ」
鏡の中には、もう20歳なのではないかという姿の私が立っていた。…まだ5歳なのに…。
「それじゃお母様、いきましょう?」
最初、私はそれを生きると解釈した。だが大きく違った。香奈は私の存在を認めてくれて、そして、行こうと言っているのだ。決して、香奈が私の存在を認めて生きろと言ったわけではない事。その嬉しさをかみしめて、私は行くべき場所へむかった。
その後、黒蝶は白蝶に改名。白蝶国の女王となった。香奈姫は娘としてしばらく白蝶の教育係を務めた。白蝶が政治に関してのテストをうけ正式な女王となった後、香奈姫は補佐としてその一生を終えた。
香奈姫が死亡した後白蝶は新たな弟を迎え、補佐として任命した。その男の名は、黒児。一度は白蝶を殺しかけ、そしてその命令した会社をつぶしたいと希望を持った者である。
こんにちは、桜騎です!今回やっと、白蝶が王位に就きました!!いやあ、ここまでの道のりは長かった…(たったの3話)。次回からは、黒児…。そうです、あの男です!黒蝶が最初にお世話になったあの人ですよ!と政治をします。勿論、会社をつぶすことは忘れていません。…多分。
それよりも今回、王位争いのルールがかけてよかったです!ちょっと意味のわからない所もあったかな…?
次回もよろしくお願いします!!




