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白蝶国  作者: 桜騎
2/8

城には

 『城に来い』『王位争いでは寝てればいいのだ』『頭だけ使えばいい』私は布団の上でこの3つの言葉を思い出していた。…城に来いって事は、王位に就けという事なのだろう。

「王になれ…か…」

 私のいる国、ここ白蝶国では、能力者がたくさんいる国なのだ。私は無能だったため、処分されようとしたが、刃物で刺されても死なない事から不老不死の能力が判明。見事家に帰れるかもというところで、国王様が私の不老不死の能力を気に入って、城に来いと言われた。いくらこの国が強い能力者を王にすると言っても、不老不死は決まりでダメなのだ。それを、国王様は権力を利用して変えるという。私のために変えるのだ。そりゃあ、あの男のためにも私は権力を持って、あの人殺しの会社をつぶして、あの男が生活できるように王になりたい。…あの時、能力がわかってから、夢を持った。

 私は、この無能者殺しの会社の薄暗い部屋で、今までとは明らかに違う量のご飯を食べて布団にもぐった。この部屋に入る前、あの男に言われたことを思い出した。『おまえは、どうしたい?おまえがさっきの俺との会話を気にして無理矢理王になろうとする必要はない。…おまえは、どうしたい?』…私、私は…。

「王に、なりたい」

べつに、あいつの過去に感動したとか、同情したとかでもない。私は、夢が出来たのだ。一般では目標というのだろうけれど。

「私は、王になりたい…」

 あれこれ考えているうちにいつの間にか寝ていて、気が付いた時にはもう朝になったいた。

 「お、起きたか。はよ。起きて早々悪いんだけど、昨日の返事は?」

「…私は、王になりたい」

私は、王になりたい。それが、昨日自分で出した答えだった。

「それは、昨日俺と話してか?」

「違う!私は、夢が出来た。私は、王になりたい。なれたら、権力をフルに使ってやりたいことがあるんだ。勿論、私は昨日のあんたの無理な夢も叶えるつもりでいるけど…」

「それじゃあ…」

「違うの!そうじゃない。それは国民としての。私は王になって、叶えたい夢がある。だから…」

男はあきれたような顔になった。

「わかった、わかったって。誰もそれじゃダメなんて言ってねえだろ?国王様に伝えるんだよ。…と言っても、もう外にいるけどな」

 「え?…」

私は外を見た。そしたら、部屋の入口から王はどたどたと飛び込んできた。

「そうかそうか。君は城に来てくれるのだな?ようし!今すぐ準備しよう。もう私の子供たちにも伝えてあるからな?君も今日から私の娘だ」

「え、あ、あの、、ってください。このことはまだ親に伝わって…」

「ん?ああ、大丈夫大丈夫。国王のこの私がじきじきにお願いに行けばみんなOKしてくれる。さすが白蝶国の民じゃな。私に協力的だ」

何かすごいな、この国王様…汗。

 「ようし、じゃあ私と共に行こうではないか。さあ、乗って乗って」

私は国王様に背を押され、豪華な車に乗らせてもらった。私はごとごとと車に揺らされながら、国王陛下に訊ねた。

「あ、あの、もしの父と母が良いと言わなかったらどうします?」

「ん?そんなことがあるのか?」

「もしもですよ?もしも…」

王は真顔になった。

「そしたら、つぶす…」

こ…怖っ!声音まで変わってるし…。

「まあ、よほどの事でなければつぶす事もできまい。それに、君が私の娘になるのならば、向こうも私の家族になる。つぶすのはほとんど例外の時だな」

あ、よかった。一応考え方はちゃんとしてるんだ(国王に対して失礼)。

「楽しみだなあ。三国に一人と言われる不老不死の能力者が家族になるのだ。嬉しいことだ」

まあ、それはそうだろう。不老不死という特別な能力が王族の物になるのだ。喜ばしいことだろうな。

 なんて考えているうちに久しぶりの家に着いた。何故だろう?少し緊張する。

 私達は家に入る。

「ただいま、お父さん、お母さん」

とたん、家の2階からどたどたと足音が聞こえた。

「え!?」

「どうしてここに?」

2人とも降りてきたとたん、あんぐりと口を開けた。

「「こ…国王陛下…」」

「うむ」

「ど、どうしたのですか、こんなところに…」

お母さんは国王様に駆け寄って手をもみはじめた。お父さんは慌てて台所に行った。どうやら、お茶の用意をしているらしい。

「いや、お茶はよい。すぐに帰る。おまえたちの返答次第でな」

「はあ……?」

「あのな、おまえらの娘を候補として私の城に欲しいのだ」

お父さんは台所から出てきた。そして、2人そろって口を開いた。

「「ええ!?」」

 しばらくの沈黙の後(沈黙というより2人があたふたしているのを楽しんだ)、2人は顔を見合わせた。

「ほ…本当ですか…!?」

「もちろん」

「ですが、不老不死の能力者はダメなのでは…?」

「ああ、そんなことはもういい。私が決まりを変えた」

「「「えええ!!」」」

今度は私も口をそろえた。もう!?

「だから、おまえらの、娘を欲しい。不老不死で貴重な人材というのはわかるが、城に欲しいのだ。…ダメか?」

「と…とんでもない!良いに決まっているではないですか!私共の娘に目を止めていただけたなんて、嬉しい限りで御座います」

国王様はにっこりした。

「それでは、交渉成立だな」

…いや、今のは交渉だったのでしょうか?一方的だったような…。

「それでは、行くぞ。さっそく、もらうな?おまえらはそのままこの家で過ごすがいい。必要ならば、金も用意しようか?」

「い、いえ。そこまで甘えるわけには…」

 「む?そうか…。では、またな。さ、行くぞ?」

私は再び国王様に背を押され、車に乗り込む。…まさか、こんな簡単に決まるとは…。

「ま、また何時でもお越しください。お待ちしております」

「うむ。それでは、お邪魔したな」

お父さんとお母さんは何度も頭を下げながら私達を見送った。

「それで、国王様」

「いや、お義父さんで良い。私の子供たちにもそう呼んでもらっている。…それよりも、いつまでも君じゃ嫌なのでな、名前を教えてくれぬか?」

「…名前…111番でよろしいでしょうか?」

「いや、だめだ。ちゃんとした名で」

私は失礼かも知れないけど、俯いた。

「名前は、覚えてないのです。今だってまだ5歳なので…」

「そうか?そうには見えないが…」

私は笑った。

「何ででしょうね?初めてあの会社に行ったときも、同じことを言われました。5歳には見えない…て。もしかしたら、生まれつき不老だと赤ん坊のままだから、体も心も急速に成長するんでしょうね?そして、子供とも、大人ともいえない所で成長は止まるのではないでしょうか?」

…と、危ない危ない。話の骨を折る所だった。

「とにかく、名前は覚えてないのです。ごめんなさい」

私は素直に謝った。国王さ…じゃなかった。お義父さんは黙ったままで、表情もうまく見えなかった。

「…ま、良いだろう。もとがない限り、名前は大きく外れて面影はなくなるかもしれんが、よいか?」

「…え?」

「ん?ああ。城に候補として行く者には、新しく名前を付けるのだよ。最初の名前をもとにしてな。……そうだな。最初は暗そうだったから、黒でどうだ?いや、白蝶国だから、白か?どっちがいい?」

いや、正反対の名前を、しかも漢字一文字で出されても…。

「じゃあ、こうしよう。王位に就くまでは君は黒蝶で。王位に就いたら白蝶でどうだ?」

「…それなら」

 お義父さんは愉快そうに笑った。

「そうか、じゃあそうしよう。王位に就くまで自分で覚えておくんだぞ、黒蝶。あと、他の私の娘と息子はお姉さま、お兄様と呼ぶんだぞ?服は黒蝶が寝ている間に寸法を取っておいたから用意してあるはずだ。まあ、後のわからないことは私に聞くか、私の子供たちに聞いておくれ。私も、城に入ったら子供たちを特別扱いできないのだ。だから、一人信頼できる奴を黒蝶につけよう。誰が良い?」

…自分の身を守るためなら、一番上のお姉さまだろう。だが、私にも夢はある。そのお姉さまに王位を譲れと言われたら断ると痛い目を見るだろう。

「なに、そんな難しく考えんでいい。私の命令は絶対だ。それに、そんな事を言われても黒蝶なら断っても何も問題はないだろう?不老不死で死ねないのだから、殺されようとしても死なない」

…それもそうか。私は少し肩の力を抜いた。

「では、お義父さんの信頼できて、それで強い力を持っていて下にも力で影響が出るお姉さまを1人お願いします」

「ん、そうだな。…一番最初に同時期に入れた娘は5人いたな。その中で一番信頼…おっほん!強いのは香奈か。そうだな、香奈にしよう。あいつは何にでも優しく、一番人間らしい。大丈夫だろう」

「ありがとうございます」

 その時、急に車が止まった。

「着きました」

ドアが開いて、最初に目に入った光景は…。

「うわあ、すごい!」

私は地を踏みしめ、豪華な門を見た。ここが、私の暮らす新しい家!

 こんにちは、桜騎です!いやあ、今回はあんまり「死ぬ」というような言葉が出なくてよかったです。…ですが、悲しいことに、王位争いでたくさん血というような言葉が出てくると思います。グロテスク系も私の得意な事ですから、待っていてくださいね!

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