第1話 ネトゲとバイトとズリエンヌ
勢いで書いてみました。
時々投稿します。
コメントブクマしてもらえると嬉しいです。
呼んでいただけるだけで充分ですが。
ではお付き合いください。
俺は今からどうなるんだろうか‥。
高校を中退して特にやりたい事もない。
家でネット三昧か。
一時期はネットゲームで神になる!
ってさわいでたな‥。
幸い頭の回転は早く、容量も良い。
1日18時間ログインしてレベ上げなんて普通でさらにこうりつを求める。
楽しいなんて物じゃない。負けてはならないのだ。
だが限界がくる。
強イベントのボスを倒すパーティに必須武器を持っていなかった。
周りの奴らはイベント武器を手に入れる。
俺だけ置いて行かれた気分だった。
時間をかける事はできる。ただ課金はできないので武器が弱いのだ。
ランキング1万人中300位まで上がったがそのイベント攻略ができずにリタイヤしようとした。
俺には無理だった。
そんな時に1人の女の子がゲーム内で話かけてきた。
「セルフィさんは基礎は強いから武器だけ頑張ればいけるよ!少し課金してみよう!」
セルフィとはゲーム内の俺の名前だ。
鈴木優馬のすずきをずっと言っていくと、すずき‥すずぅきぃ‥セルフィ的な感じでつけた。
言ってくれたのはゲーム内のギルド『希望の光』のメンバーで俺より少しランキングの高いズリエンヌさんだ。
ここで俺は課金した。親元なのでご飯代はいらない。お年玉ももうもらえない。
自分で使えるお金の全額8000円を全て石に変えてやった。
結果は微妙なレアが揃っただけだった。
だがあのイベント戦をクリアするのに必要な武器は揃った。
「ズリエンヌさん!やりました!次にあのイベントがくれば次こそ倒します!」
「セルフィさんおめでとう!私ヒーラーだから協力するね!」
ここからはトントン拍子で進めた。
しかしさらなるイベントの時完全に積んだのだ。
必須武器なし。課金する金なし。
これがどれほどの絶望感を生み出しただろうか。
楽しい時間もイベントの時間までだ。
イベントの時間になると黙りこくるしかない。
金があれば‥。
ここで俺はさらなる行動にでた。
まずは目出し帽とジャージを盗みに入った。
ネトゲ内で仲間を募った。
いざ銀行へ出撃。
モデルガン片手に銀行員をおどす。
積まれていく札束。
それを持ち逃げる俺たち。
山分けして課金。
という妄想をするのは得意だ。
ここで行動できれば俺の人生も変わるのだろうな‥
「セルフィさんじゃあ私バイトだからいってくるね!」
ズリエンヌさんはバイトしてるのか。
「最近バイトでも稼げる人は稼げる様になったから頑張らないと!」
ここで目を疑った。バイトでも稼げる?
俺の知ってる社会は正社員ではないとだめ。
さらに正社員でも大学を出ていないと奴隷同様だと聞いたが‥
「ズリエンヌさん、それはどういうことですか?」
「え!?2ヶ月前に日本向上制度ができて、働く人にランクが付けられる様になったの!知らない?」
初めて知った。それもそのはず。俺はゲームか睡眠かの2択の生活しかしていなかったのだから。
「バイトでも次に私はCランクまで上がったから月に20万くらいもらえるよ!」
Cランク‥?なんだそれは。
というよりなんなんだそのワクワクする制度は。
そしてバイトでもある程度稼げているではないか!
「え‥?もしかしてセルフィさんってニー‥」
ズリエンヌさんに嫌われたくないが為に嘘をつくしかなかった。
「A級に決まってるじゃん」
この一言が僕の人生が変わりだす。
「えっ!A級!?すごいじゃないですか!確か前に聞いた時に年齢は私と同じくらいって言ってたから18くらいですよね!?」
「あっ、あぁ‥」
余計な嘘をついてしまった。
「そんな人に会ってみたいものです!」
会ってみたい‥!?それはまずいぞ。
「そういえば8月の31日にオフ会があるって聞きました?その時行きませんか!?」
そういえばそんな話もあったな‥。
「い、行けたら行こうかな‥」
「はい!待ってます!ではバイトなので失礼します!」
俺はスマホをとりあえず落とした。
ランク制度ってなんだ‥
8月31日まであと2ヶ月か‥。
ズリエンヌさんに会ってみたい気持ちはある。
神になるために協力して常に近くにいてくれた。
だが嘘をついたのはまずかった‥
こうなればやるしかない!
ネトゲ界の神になるためにも働こう!!
そしてあわよくばズリエンヌさんと‥
「セルフィさん‥」
「ズリエンヌ‥そんな目で見られると俺、どうにかしちまいそうだぜ‥」
「どうにかしても‥いいですよ‥」
「むふふふふふ」
っと妄想好きな俺の悪い癖だ。
たまに現実世界との境を見失うぜ‥
っと手頃に働けそうな所は‥っと。
『リニューアルオープン!新規メンバーで働きませんか!?Eランクの方でも歓迎!』
とかかれたスーパーの応募広告に目が止まる。
リニューアルオープンか。
人間関係が苦手な俺には新しいコミュニティで0からのスタートの方がやりやすいな。
そうとなればここに決めたぜ!
すぐさま電話番号を登録。鈴木は電話をかけた。
「もっ、ももも、もしもし、すっすいません!応募見かけたのですが‥」
最初こそ緊張したが難なく電話はできた。
そして面接が明日に決まった。
そうとなれば今日はゆっくり‥
レベ上げするか。
ーーーーーー
次の日朝の8時にスーパーに来た。
面接も難なくクリア。
おかしい。何故こんなスムーズに事運ぶのか。
すると店内に集められた鈴木含めた10人に向かって店長らしき人が話しだす。
「集まってくれてありがとう。ここにはバイトランクEからCの子が集まってくれている。中にはまだランクをもらってない子もいた。」
そこで他のみんながキョロキョロしだす。
そういえばみんな首から何かぶら下げて‥
よく見るとそこにはランクDとかかれていた。
って俺だけ無い!
「まぁ、無くても大丈夫だ、問題ない。とりあえずみんなにはこのスーパーで働いてもらう為にまず入りたい部門を決めてもらう。そしてここに4人のエリート達がいる。各部門の最高担当者達だ。」
最初に出てきたのはごつごつしたおっさんだった。
「俺の名前は肉焼蔵だ。精肉を担当している。肉さんと呼んでくれ」
肉さんは体育系バリバリの人だった。
肉には興味ないが面白そうな人だ。
「僕は魚終蔵だ。英語にすると‥?フィッシュフィニッシュ!なんちゃって。まぁ軽くテキパキ仕事できる子おいでね〜!」
「わしの元に来るならば覚悟せい。名前など名乗らん。二つ名は野菜星人と呼ばれた事もある。野菜嫌いも野菜が好きになるほどの知識を持っている。青果は任せなさい。」
おっさんとおじいちゃんしかいないのか‥
少し残念な気持ちである。
「んで最後は俺、品川食王だ!名前から伝わると思うが俺は食品部門担当だ!よろしくな!ちなみに入りたい所に入れない場合もある!人数が偏り過ぎるとダメだからな!まぁとりあえず好きなところに行ってくれ!」
ーーーーー
まぁ、こうなるわな‥。
精肉と鮮魚はうまい具合に別れた。
しかし食品と青果部が合わない。
食品に多く人が集まり青果に人がいない。
と言っても鮮魚と精肉に3人ずつ行ってるので、
食品に4人いるだけだ。
合計10人だから‥まぁ、ね!
「食品が人気過ぎてこまるなぁ‥じゃあみんな何でここに来たか理由教えてくれ!それで決めよう!」と食王さんが言う。
「食品の仕事がしてみたかった」
「食王さんが面白かった」
と1人ずつ答えていく。
こういうの苦手な俺にはハードだな‥
何か考えなきゃ‥
「周り見てると魚さんと肉さんは人行ってるし‥」
俺の前に小柄なDランクカードをぶら下げた男の子が喋り出した。
「それに‥」その子はおじいさんの方をちらみしてからいった。
「野菜が嫌いなんですッ!!」
「ブフォッ」危ない吹きそうになったぜ‥
いまのはセーフとみてほしい。周りの人も笑いをこらえている。
「ほう‥お主‥野菜が嫌いか‥」
おじいちゃんの背景にゴゴゴゴコゴと付けたい。
そう思う一言だった。
「食王さんや‥、ワシから1人もらって良いかのぉ‥その子が欲しい。」
「ふぇ‥」
鈴木は思った。いやこの場にいたみんなが思った。
あいつは終わった‥と。
こうして各部門メンバーが決まった。
この日はここで解散だった。
青果部の子以外は。
「一対一でみっちり仕上げてやるからのぉ‥」
「えっ、え‥」
「安心せい、この時間も給料は貰えると言っていただろう‥」
「はっはぃぃ‥」
こうして2人は青果部の方へと姿を消した。
「鈴木くんって言ったね!君だけ待ってくれないか?大丈夫!青果のおじいちゃんみたいな事じゃなくて職カードの申請手続きをしたいんだ」
ーーーーー
この職カードというのは色々あるそうだ。
バイトカード、正社員カード、社長カード。
それぞれにEからSSSまでのランクがあるらしい。
バイトカード、正社員カードはその会社の貢献度からランクが上がっていくシステムで、バイトカードのランクアップには正社員カードS以上の人が認められれば良いらしい。
正社員カードも同様で社長カードS以上の人に認められれば良いそうだ。
各会社にある程度の基準表があり、それを満たせばランクが上がる。
バイトカードの職種が同じならランクは引き継げるそうだ。
という事は周りのD以上は経験者ということか。
「はい!これに情報登録したからこのカードは君のだ!名前も裏側に記載されてるからね!」
と職カードを渡された。
Eランク。最低レベルのカードを手に入れた。
目標は2ヶ月でAランク。
働くのにワクワクしてきた。
まるでネトゲのイベントに向けて準備をしている気分だ。
人間界イベントは8月31日のオフ会。
それまでにランクを上げてやる‥
そしてズリエンヌさんと‥
「むふふふ」
「え!?鈴木くん!?大丈夫か?」
「失礼します‥」
鈴木は逃げ気味に帰った。
この癖なんとかしとかないとな‥